異世界転職代理人
リアルの前職が転職エージェントだったので、それを生かした作品はないかなと思ったところ
なさそうだったので自分で書いてみました。
初めての作品なので、設定や文字にお見苦しいところあるかと思いますがよろしくお願いします。
○ラゴンクエストをダー○神殿無しでプレイすることを想像してほしい。
しかも、そのキャラが、何に向いたステータスなのかがわからないlv1の時点で、戦士なのか、魔法使いなのか、僧侶なのか、職種を選ばないといけないとしたら、失敗したキャラメイクとなる確率は高くなるだろう。
攻略は、まあ大変になる。
自分が転生したことに気づいたあとに、この世界で抱いた感想はまあ色々あるが、特に驚いたのはそれだった。
この世界では人は、向き不向きに限らず、その職業を変えることができない。
しかも、そのクラスを決めねばならないのは、個人差はあるが、おおよそ10歳より前となっている。前世での知識を考えると、二次性徴の前には、ということであろうか。
そうでなければ、自動的に無職となりどの職業にも向かないバラバラなスキル取得やクラス補正がつくことになる。うっかり無職になってしまうのを避けるために、だいたいは8歳か9歳で特定のクラスに「就職」するのが普通だ。
しかしながら、人の才能が8歳や9歳でそうそう分かるだろうか?
早熟の天才を除いて、多くが親の家業、農家や職人、商人、戦士、騎士、魔術師、医師、あるいは王ですら、を選択することになる。
だが、向いていない場合も多い。
その辺の騎士よりも強い農民、逆に剣よりも鍬をもつ方が向いている剣士、魔術師の素養が高いためやたらと鑑定のスキルが高い商人、読み書き算術が苦手などころか誰もついてこない、魅力に欠ける王などなど、この世界では当たり前の光景だ。
こんな有様では、当然他種族への対抗は難しい。長い歴史の中で、人類のテリトリーはじわじわと圧迫され、人間だけの国はもう数カ国しかない、という状態に追い込まれている。
とはいえ、まだ保ているのは、山がちな地形もあるが、まさにその一部の早熟の天才や選んだクラスが適合している運の良い人々、クラスは違うものの、有能な人材がその才能を生かして地道に国を支えた結果だ。
某剣の世界のラノベとは違って、天職というわけではないので、クラスは固定なものの、実際に就く仕事は固定ではない。つまり、先程のその辺の向いてない騎士よりも強い農民クラスも、仕事としての騎士になることも可能なのだ。
物語で有名なのが、商人将軍である。
商人のクラスでありながら、卓越した剣の腕前を持ち、騎士団長になり、将軍として戦を指揮して何度も魔物の軍勢を打ちやぶり、100年の平和を築いたという。
無職大魔導師も有名だ。
無職のクラスでありながら、魔術適性が高く、様々な魔道具を開発して戦場で無双したという。彼は一生未婚で魔術に人生を捧げたと言う。
そういった事例もあるにはあるが、クラスによるボーナスやスキルは大きく、子供のうちに選ぶ以上、代々農家、代々騎士と、かなりの身分や職業が家柄により固定化されてしまっているのだ。
この世界がそんな状態であることは当たり前だと思っていたのだが、
それがおかしいと気づいたのは、自分が転生者だと"思い出した"、7歳に行われた職業選択の儀式のときだった。
「やだやだやだやだやだ!農民なんて絶対やだーーーー!ダサいもん!」
「ルート、よく聞け!剣士や騎士なんかになっても飯は食えないんだよ!!うちは代々農民。農民になるしかないんだ!」
「そうよ。うちは貧乏だから、クラスも自由には選べないの。しょうがないのよ!男の子なんだから我慢しなさい!!」
「やだよ!剣でかっこよく魔物を倒すんだよ!」
「剣士になって、命をかけるなんて、そんな危ないことさせたくないの、分かるわね?」
貧乏な農家にとって、労働力はなんとしても早く確保したい。貧しいほどクラス選択は早い年齢で行われるのが一般的だ。まして、ルートの家は、もう亡くなった祖父が農民ではなく、剣士を選んでしまったために収穫が減り、貧しくなってしまったという経緯もあった。
剣士に憧れて、毎日棒切れを振り回していたルートも、抵抗の甲斐なく、引きずられるようにして、職業選択の儀式を行うべく、教会に連れて行かれてしまったのだった。
魔物の襲来に怯えつつも、ごく普通に農民として生き、幸せに暮らすこともあり得たのがルールだった。この儀式までは。
就職の儀式は2時間にも及ぶので、引きずってきた両親は家に帰ってしまったようだ。ルートはうんざりしつつ、悲しみつつ、長い儀式が終わるのを待っていたが、ついに儀式も最後の瞬間となった。
「農民で良いね?では神に祈りなさい。ディサイドクラス!!!!」
ルートは明らかに不服だったが、やむなく、司祭の言葉に従い、神さまとやらに農民になるよう、お祈りをした瞬間、凄まじい光が当たりを包み込んだ。
?!!??!!
一瞬で光は収まったが、司祭はとてつもなく驚いていた。
「な、なんだ!こ、こんなことは初めてだ!!
の、農民への転職でこんなことが???
ほ、本当に農民なのか?アプライジングクラス!」
「ん?商人??農民ではなく?
しかし、一体先程の光は…一体…なんなのだ…
と、とにかく、君は今日から商人だ。
農民でなくて本当に良かったのか?両親にドヤされるぞ、、ま、まあ、早く帰りたまえ」
動揺を隠せないまま、トントンとルートの肩を叩いて、退出していく司祭。
彼もまた、代々司祭のクラス、そしてジョブを持つ一族だ。
だが、ルート当人はそれどころじゃなかった。
思い出した、思い出した。
あ、思い出した。ああ、あ?ええ?
あーーー思い出した。
ってか、え?マジか?
これ?!て、て?て、転生?そんなのある?
うそん!
えええ?!
待て待て待て、落ち着け、落ち着け
俺は誰だ
ルート、そうルートって名前をつけられて育った、、、
そう、この世界で育った、、育った、、、、
俺だ!!
俺だーーーー!!!
よし落ち着こう、深呼吸だ、深呼吸
すー はー すー はー
ま、まず、まずはクラスの確認だ、さっき司祭が商人って言ってたな。
まあ確かに、ビジネスマン、もとい社畜の会社員、そりゃ商人以外居ないよな。
まあそりゃなあ、でもうち農家だぞ?
帰ったら父さんと母さんに、怒られるよなあ
農民クラスじゃないと、作物の出来が悪いんだっけ?
商人クラスのスキルで、高く売れればそれで良いか、むしろ村のものを町に売りに行っても良いな、うちの村、商人クラス居なかったからな、よし、それでいこうそれで。うっかり金持ちになったりな。
って、なに馴染んでんだよ、俺すごいな。こんな順応性高かったか?
まてまてまて、考えることが多すぎてショートしそうだ。
落ち着け。落ち着こう。
転生だ。てか、死んだ?え、俺死んだの??いつ?あー過労死か、最近徹夜しまくってたし、休みも取ってなかったからなあ。なんもしてないのに心臓バクバクしてたし。やばいとちょっと思ってたのに、、自分は大丈夫だと思ってたが、やっぱダメだったか…。なんか、思ってたよりも納得だな、、てか驚かないもんだなあ、こんな落ち着くものか?ああ、今生きてるからか。幽霊とかもこんな気持ちなのかな。あ、自分の死に納得してたら化けて出てこないかー。
にしても、この世界、クラス固定ってやばくない?農民選んだらほぼ農民しかできなくなるし、まあ代々世襲の仕事をするのが効率は良くなるわな。合理的。
前世?前世ってことで良いんだよな?は転職エージェントだったからか、この世界の、クラスが固定化されるって結構厳しいよなあ。
ゲームでも職業が固定化なんて、今どき、あんまないもんな。もしくは職業に応じてステータス伸びるか、自分でステータス振れるか。
でもリアルで、ステータス振りなんて無いし、その職業に就いたって、それに向いてるわけでもないからなあ。
向いてない職業でしか居られないなんて、つらいよなあ。人はちゃんと自分が生かせる場所があるはずなんだから、俺みたいな転職エージェントが儲かるわけだけど。
でも会社員だったから、商人は分かるけど、転職エージェントの方はどうなるんだろう?
お、クラスがついたからか、魔法が使えるみたいだな、やり方もなんとなく分かる。クラスが見れる魔法か。商人の詳細とかも分かりそうだし、見てみようか。
なになに、
アプライジングトゥルークラス!!
ん?
んん??
サブクラス
『転職代理人』