僕だけはお前の幸せを望む
「また、はるが忘れ物したってー」僕はこっそりと母に伝えた。
途端に母の顔が歪む。そして、その顔で、目を合わせようとしないはるを睨みつけた。
「今日は学校休みなさい。はる」
「…」
一瞬びくついたものの、返事は大抵ないのがおきまりだ。
そんでもって、ちょうど僕が朝食のスープの一口目を飲んだ頃
だだだだだ!と自分自身の部屋へ向かう音が聞こえた。
見ての通り、僕は報告をするのだ
家に帰ると電気をつける。少しボロいから二、三秒してから電気がパッとついた。でも、妹の部屋だけはいつも暗いままだ。となりの僕の部屋でさえ暗さに飲み込まれてしまいそうな雰囲気が漂っている。
もちろんのように、妹の分の夜ご飯は無かった。
なので、僕は深夜に冷蔵庫からレトルトカレーとかを、適当に漁って、レンジでチンして、妹の部屋のドアを開けて。
「はる、こっそりもって来てやったぞ。」
「…!」
妹は恐る恐る立ち上がって、そのか細い手が湯気に触れた。
「ありがとう、お兄ちゃん」
何年も切ってもらっていない髪。前髪は顔を覆いかけている。
その髪の毛に僕は手を触れて、顔を見せるようにかきわける。
へにゃりと笑った顔が見えた。
ああ、なんて不細工なんだ。
「お兄ちゃんのお陰で私は生きてるね。本当にごめん。私幸せだよ、お兄ちゃんがいてくれて。」
ドアを閉めるとなにも無かったかのように今日が終わった。明日の朝は早いからもう寝ようか。
僕 だけ は君の幸せを望むのさ。
「おはよう、お母さん。
はるが昨日冷蔵庫漁ってたよ」
僕以外誰もお前の幸せは望まない
望むようにさせてあげない、はる
ひいい恥ずかしい(酷評ください)