知らない世界でカツ丼よ!!(後編)
この話を読んで美味しそうと思っていただけたら幸いです。
「東京?千代田区?どこだそこは」
「ここは日本では無いの?」
「二ホン?2本指のことか?」
小娘は警官の言葉を聞き、指を2本見せる警官を見て小娘は目の前が真っ暗になってしまった。何故ならここは恐らく自分が知っている世界ではないのかもしれないからだ。いや、薄々勘づいてはいた。動物の耳や尻尾が生えた人、耳が異様に長い人、角が生えている人もいた。もしかしたらどこかの国でコスプレデーとかかもしれないという希望もあった。しかし目の前にいる警官は犬の耳をつけた警官は、日本と聞いて、指を2本見せた。まだ、確証はないが、恐らく…
「異世界じゃないですかヤダ〜〜〜!!!」
「!?どうしたんだ小娘!」
いきなり意味の分からない言葉を叫んだ小娘におどろく警官。
「小娘じゃないわよ!私には琴音っていう名前があんのよ!小娘小娘しつこい!!」
目に涙を溜めながら、キレ気味に自分の名前を言う小娘……琴音。
「お、おぉ…琴音だな。分かった」
琴音の様子に若干引いた警官。取り敢えず、今にも泣きそうに目の端に涙……………を溜めている琴音を慰めるためにどうしようかと考える。(-_-)ウームと少しの間考えて、
「そうだ!琴音、カツ丼食べるか?」
思いついたのは、食べ物で釣ることだった。
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「何よ!このカツ丼はぁ〜〜〜〜〜!?」
琴音の声がまたもや取り調べ室に木霊する。原因は、彼女の前に置かれているカツ丼だ。警官が、カツ丼を食べるか?と聞いてきて、持ってきたカツ丼は、見た目確かにカツ丼だ。半熟のトロトロ卵がかかっていて、それはもう見事な見た目だった。その見た目に瞳をキラキラとさせながら琴音は豪快にカツ丼を頬貼ったが、その味はとてもひどかっのだ。
「ど、どうしたんだ…?」
カツ丼を食べていなかった警官は、カツ丼を食べて叫ぶ琴音に面食らっていた。
「どうしたもこうしたもないわよ!何よこのカツ丼!味が薄いじゃない!?カツ丼舐めてるの?」
琴音が叫んだ原因は、そう、カツ丼の味だった。そのカツ丼は、味が薄かった。カツの味はする。しかし卵からは醤油どころか出汁の味すらしない。琴音が叫んでしまうのも無理はない。
「し、しかしこのカツ丼は私たちの所ではとても人気なのだ。味がしないはずが……」
「なら、食べてみなさい。本当にコレがあなた達が絶賛するカツ丼なのかしら?」
琴音にそう言われ、恐る恐る食べてみる警官。そして、カツ丼よを口に含んだとき、彼は驚愕した表情で琴音を見た。
「私を厨房へ連れていきなさい。美味しいカツ丼を作ってあげる。」
警官がその時みた琴音の顔は、それはもうキラキラした目をしていた。
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「ここがあの女のハウスね!!」
警察署内の厨房に着くなりいきなり叫び出した琴音に、ここまで連れてきた警官は、白い目を向けながら、
「おい、本当に美味しいカツ丼が食えるんだろうな?」
「ええ、もちろんよ?あ、そう言えばちゃんとあなた何か食べられないものは無い?玉ねぎとか、キノコとか。」
「あ、ああ。一応なんでも食べられるぞ。」
「そう、犬の耳なんて付けてるから玉ねぎはてっきりダメなんだと思ってたけど……大丈夫なら使うわね。」
中々に失礼な事を言っている気がするが、まあ、彼女なりの気遣いなのだろう。
「さて、それでは作っていきますか。」
先ずはカツ以外の材料の準備だ。と言っても玉ねぎを薄くスライスするくらいだ。玉ねぎのスライスがおわったら、次は豚肉だ。豚肉はフォークでぶすぶすと刺していく。
「なんでフォークを肉に突き刺しているんだ?」
「こうすると肉が柔らかくなるって聞いたからよ。」
琴音は警官の疑問に答えながら、豚肉に塩コショウをまぶし、小麦粉、卵、パン粉の順に衣をつけ、たっぷりの油で揚げていく。きつね色に揚がったら、バットにキッチンペーパーを敷いて、カツを冷まして置く。
そうしたら後は一気に仕上げるだけである。
まずはどんぶり用の鍋を用意する。そこにだし汁、醤油、みりんを少し加えて玉ねぎのスライスを加え、半透明になるまで煮る。玉ねぎを煮ている間に卵を用意し白身と黄身がちょうどいいくらいになるまで混ぜる。
「美味しそうな匂いだな〜」
隣で料理を見ていた犬の警官が鼻をスンスンとしながらそういう。
「あともうちょっとで完成よ。丼にご飯をよそってちょうだい。」
「おう分かった!」
琴音は鍋から目を離さずそういう。
玉ねぎが煮えたら、次はカツを加え少し衣が、煮汁を吸ってしんなりしたら今度は卵を半量加え蓋をする。少しして卵が少し固まったら、残りの卵と、三葉を加え、蓋をするして卵が半熟になるまで待つ。卵が半熟になったら丼によそったご飯の上乗せて、
「これで完成よ。」
カツ丼の完成である。
「うおおおおぉ!美味そうだ!」
警官は大歓喜し、すぐテーブルの方へカツ丼を持っていた。苦笑しながら警官の後を追いかけ、対面に座った。
「「頂きます!」」
手を合わせ、2人でそういった後、警官は、カツ丼を頬張った。その瞬間彼は目を光らせ、
「美味い!トロトロ卵とダシを吸い込んだカツが絡み合って、ご飯が進むぞ!」
そう言いながら彼はあっという間にカツ丼を食べ進める。
「琴音!このカツ丼はまだ作れるか!?」
相当美味しかったのだろう、警官は目をきらきらさせながらおかわりを要求してきた。
「ええ、あなたよく食べそうだったしおかわりも用意してあるわよ。」
琴音がそう言うと、「やった!」と笑顔で丼を差し出す警官。
「そんなに美味しいなら私も食べたいな〜」
するとその時、食堂の入口から聞きなれない声が聞こえてくる。
そこに居たのは……
「OKAMAだ……」
「誰がオカマよ!」
スーツを着たOKAMAが立っていた。
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