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コメディー

満天の……

作者: 山目 広介

 満天の星。天に星が満ちていることを表す言葉。


 その日は昼間だというのに薄暗かった。

 空を見上げて、辺りを見渡す。そこには一様に灰色が覆い尽くしている。

 満天の、UFO……

 常軌を逸している。

 オカルト写真撮り放題だよ。わ~い。

 って多すぎて珍しくも何ともない。おかげで価値が下落しちゃったけどな。

 それより日照権の侵害で訴えてくれないかな、誰か。

 いつまで居座っているんだろう。邪魔だろ。

 このままじゃ作物に被害が出るだろ、確実に。

 せめてピコピコ光って代わりしろよッ!

 花屋のバイトのかわいこちゃんに貰った家庭菜園の野菜が枯れちゃうだろ。


 翌日。

――ピコピコ

 その日外に出てみると、変な音とともに眩しいくらいに明るかった。

 UFOが朝になったら光っていた。

 しかも俺の声を真似たピコピコという音付きで、だ。喧しい。


 夜? そんな時間帯のはずだった。

 しかし未だにUFOがピコピコ言いながら光っていた。

 おいおい。UFOどもはバカか。昼と夜の違いも分からんのかよッ!?

 プラネタリウムのようにしろよ。後は月の模倣もな。そのくらい考えろよ。


 さらに翌日の夜。

 近所のプラネタリウムの音声と映像が何故か流れていた、満天に……

 この声。プラネタリウムのバイトもしてたんだ、彼女。

 件のプラネタリウムは潰れるのかと心配してたら昼間に元のプラネタリウムだということで賑わっていた。商魂たくましい。


 これまでの事をちょっと考えていた。

 もしかしたら俺はUFOにサンプルとして心読まれてるのか?

 よしッ! 告白だ。満天の演出だ。これはいけるッ!

 そして夜。バイト終わりに彼女を呼び出す。さあ告白だ。


「好きです、付き合ってください」


 空には『好きです』と演出されている。ふふふ、豪華だろう。これで彼女もイチコロさ。


「ごめんなさい、付き合っている人がいるの」


 タイミングを計ったように空一杯に『祝! おめでとうww』といった言葉が溢れている。

 偶に『どうでもいいけど古いよね、思考パターンが』とか『営業スマイルに騙される正に童貞ww』とか腹立たしい。

 チクショー! フラれたのに祝うんじゃねー!! しかも分かっていてやっているのか草まで生やしやがって。ふざけているだろッ! ぜったいに。


 そして夜空には俺のフラれた様子が映し出されていた。

 確かに成功したらハッピーな俺を満天に映すように願ったけど、失敗を晒しやがって。

 UFOなんて消えちまえッ!!


 翌日。

 しかし嘲笑うかのようにいる、満天のUFOは。


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