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現実恋愛、きっとシリーズ。

私は君に恋しない、だけどきっと愛する。

作者: あさだ あさわ

※こちらは完全に前作のアフターストーリーです。

この作品を読む前に【一生届く事の無い想い、幼馴染はきっと近くて遠い。】を読むことを強くオススメします。


https://ncode.syosetu.com/n0866el/

とある少女は、同級生の少年に恋をした。


それはとても綺麗な感情ではなく、独占欲だったのかもしれない。



自分にはこの人しかいない、この人には自分しかいない、自分しかこの人を守れない。


彼女はそんな気持ちを少年に一方的に押し付けていたのかもしれない。


少女の名前は『河瀬(かわせ) エリナ』。



二人が高校三年の卒業式の日。


卒業式が終わった後、エリナは少年に思いを告げる覚悟をしていた。


そして卒業式が終わり、彼女は勇気をありったけの振り絞り少年に言った。



「君の今までどんな思い出いたか分かってるつもり。

 それでも君が嫌じゃなければ、私と付き合ってください!」



そしてエリナの言葉に少年は答えた。



「・・・ごめんエリナ。 俺はきっと、エリナに恋をできない。」



続けて少年は言った。



「エリナはきっと俺の一番になれないし、そんな中途半端な気持ちで付き合えない。」



エリナは少年の言葉の意味を理解できなかった。


フラれた事は分かる、だけどなぜフラれたのか。

エリナは意味が全くわからなかった。


そしてエリナは少年に言った。



「なんで・・・? 私は、君に前に進んで欲しくて今までずっと一緒にいたのに・・・。」



続けてエリナは言った。



「君を分かってあげれるのも、守ってあげれるのも私しかいないんだよ!?」



彼女はつい声を荒げてしまっていた。

そうすると少年は冷静にエリナに言った。



「・・・ごめんな、エリナ。」




『ごめんな、エリナ。』その一言だけで少女の恋は終わった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


それから、七年後。



彼女は大学を卒業し、流れるように就職した。


彼女は職場での大きな即戦力となった。


仕事を覚えるまで時間はそう長くは無く。


覚えてからは誰よりも早く仕事をこなし、他の新入社員の分までもエリナはこなしていた。



そんなエリナが入社して二年目のある日の事。


エリナは仕事を終え、いつも通り帰ろうとしていた。


その時、一人の男がエリナを呼んだ。



「エリナさん! ちょっと待って!」



職場の同期の男がエリナに話しかけてきたのだ。


そして、その男にエリナが自分に気が付いた事を確認すると言った。



「僕、エリナさんと同期の者なんですけど!

 いつも僕の分までやって頂きありがとうございます!」



そう言われると、えりなは男に言った。



「別にやる事ないからやってるだけだよ、それじゃ。」



そう言ってエリナはその場から去ろうとした。


そんな彼女を見て男は勇気を振り絞り、エリナに言った。



「あの! 今日お時間あるようでしたら僕と食事に行きませんか・・・?」



エリナは驚いた。

職場であそこまで愛想の無い自分が、何故名前も知らない職場の男に食事に誘われたのか。


そんな疑問をエリナは直球に男に問いかけた。



「私はアナタの名前も知らない、そして何で貴方は私なんかを食事に誘うの?」



そうすると、男はエリナに答えた。



「すみません! 俺の名前は『中原 宏一(なかはら こういち)』といいます!」



そして男は続けてエリナに言った。



「誘った理由は・・・。

 なんというかエリナさんの楽しそうな顔している所を見たこと無くて・・・。」



エリナはその意味をわからなかった。


何故自分が楽しそうな顔をしている所を見たことないだけで食事に誘うのか。


そして、えりなは宏一にすこし興味が湧いた。


そしてエリナは宏一に言った。



「意味分かんない、だけど これから予定ないし、食事くらいならいいよ。」



そして宏一は目を輝かせ、エリナに言った。



「ホントですか!?

 それじゃあ、僕美味しいお店知ってるんでそこでご飯奢ります!」



そして、エリナは宏一に連れられ店へと向かった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


店に着くと二人は注文を済ませ、食事を食べながら話をした。


職場での話や、休日の過ごし方。


そんな他愛のない話を振ってくる宏一に対し、エリナは退屈に思っていた。


いや、()()()()()()()と思っていた。



そしてエリナは、宏一に言った。



「ねえ そんな事どうでもいいけど、君は本当になんで私を食事に誘ったの?」



さっきまでの明るい表情をしていた宏一は、少し戸惑った表情を見せた。


そうすると、宏一はエリナに言った。



「なんか、今にも壊れそうな表情をいつもしているから・・・。」



エリナは不機嫌な顔になった。


そんなエリナを見かねて、宏一はすぐに弁解した。



「いや なんと言うかその、冷たい表情というか。」



そして続けて宏一は言った。



「守ってあげたいなって、そう思ったんです。」


「・・・。」



宏一の言葉でエリナは思い出した。


昔自分がとある少年に抱いていた気持ち。


最初はエリナも今の宏一と同じ気持ちであったな っと。


そしてエリナは宏一に言った。



「君、もしかして私の事気になってるの?」



その言葉に宏一は顔を赤くした、図星だった。


宏一はいつも他の人の分まで仕事をこなしているエリナを魅力的に思っていた。


そして見ているうちに、エリナの表情、言葉、そういう物を愛おしく思えていた。


そして宏一は冷静になり、エリナに言った。



「はい、気になっています。」



素直に宏一はエリナに答えた。


その言葉にエリナはため息を吐いた。


そしてエリナは宏一に言った。



「ふーん、そっか。 けど、やめといたほうがいいと思うよ。」



宏一はその言葉に強気で答えた。



「やめません、こうやって食事をエリナさんがしてくれた事を僕はチャンスだと思ってます。」



エリナは宏一の姿を昔の自分に重ねた。


そうするとエリナに怒りの感情が押し寄せてきた。


そしてエリナは宏一に言った。



「やめてよ、やめてちょうだいよ・・・。」



エリナの目に、涙がこぼれた。


昔の自分の愚かさ、そして今の自分の惨めさ。


そんな自分が情けなかった。



そんなエリナを見かねて、宏一はエリナを抱きしめた。


そして宏一はエリナに言った。



「多分、エリナさんは過去に何かあったんだと思います。

 その事で心に大きな穴が空いてしまったんですよね、きっと。」



エリナは宏一のその言葉の暖かさを感じた。


そして宏一に抱きしめられた時、

昔自分が恋をしていた少年に抱きしめられた事を思い出した。


その抱きしめられた時の暖かさは少し違って。


あの時抱きしめられたのは自分ではなく、他の誰かに対する感情だったのだな っと。


そしてエリナは涙を拭いて宏一に言った。



「いくら私の事気になってるからって、抱きしめるなんてセクハラだよ・・・。」



そして宏一は慌てて離し、エリナに言った。



「すみません! つい、抱きしめたくなったので・・・!」



そしてエリナは宏一にいった。



「冗談だよ。 ごめんね急に泣いて、もう大丈夫だから。」



その言葉に宏一は安心して何も言わずに優しく笑った。


そしてエリナも宏一のその笑顔に、どこか安心感を覚えた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


それから半年後。


二人は仕事終わりに良く食事に行くようになった。


食事に行くだけではなく、休日に遊んだり、飲みにも行くようにもなった。



そんなある日、エリナは()()の自分の事を宏一に告げる覚悟をした。




いつも通り、仕事終わりにエリナは宏一に連れられ店へと着いた。


注文を済ませ、食事を待ってる間にエリナは宏一に言った。



「宏一くん、昔の私の事話してもいいかな?」



宏一は驚いた。


エリナがまさか自分から昔の話をしてくれるなんて思っても居なかった。


そして宏一はエリナの言葉に優しく頷いた。


そしてエリナは言った。



「やっぱり、宏一くんは優しいんだね。」



そしてエリナは昔の話をした。


小学生の時、少年に出会ったこと。


中学で別れ、そして高校で再開した時のこと。


そして、最後に自分が少年にフラれたこと。


全てを宏一に話した。



それを何も言わずに聞いた宏一はエリナに言った。



「・・・エリナさんは、優しいんですね。」



そしてエリナは言った。



「ううん 優しくなんかないよ、優しく振る舞っていた自分に酔っていただけ。」



そんなエリナを見て宏一は言った。



「僕が最初に食事に誘った時。

 エリナさんが何故僕に『やめて』と言って、泣いたのかが分かりました。」



続けて宏一は言った。



「けど、僕はエリナさんはきっと前にすすめる人だと思います。」



エリナは少しその言葉を聞いて安心した。


そして宏一は続けていった。



「進めないとしても、僕が背中を押しますから。 だからエリナさんは前へすすめます、絶対に!」



エリナは宏一の言葉が嬉しかった。


きっとエリナは、この言葉がずっと欲しかったのだ。


自分は前へと進める、そう言ってもらいたかったのだ。



そしてエリナは宏一に言った。



「ありがとう、宏一くんだとちょっと頼りないけどね。」



その彼女の言葉が、どこか安心していることを宏一は分った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


それから一ヶ月後。


宏一はエリナと休日会う約束をした。


そこで宏一はエリナに想いを伝えようと決意した。


エリナが自分を振ったってかまわない だからエリナに想いを伝えよう、そう決意した。




当日。


エリナはいつも通りの服で、いつも通りに来た。


そして宏一はエリナに言った。



「今日は、いつもと違うお店に行きませんか?」




そして宏一は いつも二人がいく店では無く、小洒落た店へとエリナを連れて行った。


店に着くとエリナは言った。



「どうしたの? こんなお洒落なお店につれてくるなんて珍しいね。」



そんなエリナ言葉でさえも、宏一をドキッとさせてしまう。


エリナはもしかして気付いたのか? そんな緊張感持った。



それから、店は違えどいつも通りにエリナと話し、いつも通りのところで遊んだ。




そして夜。


宏一はエリナを夜景へと連れて行った。


雰囲気を作るため。 いや、素直に彼女にその夜景を見せたかったから。



そして夜景が綺麗な場所へと着くと、エリナは宏一に言った。



「・・・すごい綺麗だね、ここの夜景。」



そして、宏一は言った。



「綺麗なんです、ここの夜景。

 僕が落ち込んだり、疲れたりしたときによくここへくるんですよ。」




二人は夜景に見惚れていた。


それからちょっと時間が経ち、宏一は勇気を振り絞りエリナに言った。



「エリナさん。 僕、エリナさんの事好きです! 恋をしました!」



エリナは驚いた。


そして同時に、今日宏一が様子がおかしかった意味にも気がついた。


そして、エリナは考えた。


自分が宏一をどう思っているか、宏一とどういう関係になりたいか。



宏一が想いを伝えてから十分ほどエリナは考えた。


そして、エリナは自分が宏一に対して抱いてる感情を知った。




そして、それ同時にあの時の少年の言葉の意味を知った。


その上で、エリナは宏一に言った。



「・・・そっか。 色々わかった気がする。」



続けてエリナは言った。



「うん、私も宏一くんの事が好き。」



その言葉に宏一はまだ安堵しなかった、なぜならエリナはまだ答えを言っていないからだ。


そしてエリナは答えた。



「私は宏一くんに恋をしない、だけどきっと愛することはできると思う。」


「・・・。」


「だから、答えは喜んで。 私と付き合ってください。」



宏一は、正直最後のエリナの言葉の意味をわからなかった。


しかし エリナは前へ進んだ、それだけはハッキリとわかった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――


それから一年後。


二人の関係は良好で、それからどんどん親しくなっていった。



そして宏一はエリナに一年前の言葉の意味を尋ねた。



「エリナ、あの時言った言葉の意味教えてくれないか?」



そして、エリナは答えた。



「きっとね、宏一。 恋をするのは簡単で、愛することは難しいことなんだよ。」



宏一は黙ってエリナの言葉を聞き続けた。



「けど簡単な恋は一度きりで、難しい愛することは何度でもできるんだよね。」


「・・・うん。」


「愛って難しい感情だけど、私は分かるよ。」



そしてエリナは言った。



「私は今一番宏一くんの事を愛してる、ってね。」

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