逃亡
ヴァルを倒した二人は脱出を試みる
「ふう・・・なんとか殺れたな」
「そうだな・・・。全く、お前に見捨てられたかと思ったよ」
「悪いな、なんとか裏に回って押さえつけられないか試してたんだ」
こいつも悪気があったわけではないしな。これ以上責めるのはお門違いだ。
「何はともあれ、助かったよ。やつとまともに戦って勝てるような自信は俺には無かったからな」
「まあ騎士団隊長を殺したんだ。捕まったら即死刑だろうな」
ラスタが言う。まさにその通りだ。
「そうならない為にもさっさと上って逃げるぞ」
{おい!こっちにいたぞ!!}「「!!」」
「早く逃げるぞ!お前から行け!」
「ああ!」
ラスタが壁を乗り越えようとする。
「早くしろ!兵士が来ちまう!!」
「分かってる!だから急いでるんだ!!」
「カ...ハ...」
「!?・・・奴が生きてる・・・」
腹を切り裂いたはずだ。何で生きてるんだ・・・?
「よし!お前もこい!!早くしろ!!!」
ラスタが呼ぶ。出来るならこいつを始末したい。しかし兵士も来てるし時間もない。
「あ、ああ!今行く!」
「いたぞ!追え!」
今俺たちは森に向かって逃げている。
「クソ!しつこい奴らだ!」
「おい!向こう側を見ろ!入り組んでるから逃げれるかもしれん!」
ラスタが指をさした方を見ると、森の近くの岩が固まっているところがあった
「まずはあっちに逃げて兵士を撒いてからにしないと俺たちの隠れ家がバレちまう」
「ああ、その通りだ」
「よし・・・行くぞ!!」
俺たちはそこに走っていった。
「おい!いたか!?」
「いえ、見当たりませんでした」
「クソ、早く捕まえないとな・・・」
「多分奥に入っていったのかもしれません」
「そうかもしれないな、よし!進むぞ!」
そう言って追っ手の兵士たちは奥に進んでいった。
「ふう、なんとか撒けたな」
「ああ」
「よし、森まであともう少しだ、行くぞ」
「ここまで来たら大丈夫だろ」
森に入った俺たちは川の近くで休んでいた。
「まったく、やっぱり観光なんてしない方がよかっただろ?」
「でも逃げれたからいいだろ?」
「それは結果論だろ?何回ヒヤヒヤしたことか。俺の寿命が縮まった気がするよ」
俺の言葉にラスタは少し機嫌を悪くしたようだ
「じゃあそのまま死ねばいいじゃねえか」
こんなどきつい言葉を言ってくるのはいつもの事だが、俺は毎回怒っている。
「こっちのセリフだ・・・」
しかし今は疲れていて怒る気にもなれない。
「今日は散々だった。さっさと帰るぞ」
「そうだな、俺も今日は疲れた・・・」
なんとか逃げ切った二人、暫くは外に出れないかもしれない。