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この世界で生きる者たち  作者: クヤロ
彼らの物語の始まり {春}
7/11

騎士団隊長との邂逅

何者かに呼び止められた彼ら。


「私の仲間を殺したのは貴様だろう?」

「・・・」

威圧感で何も言えない。俺は小声でラスタに話しかけようとした、が

「おいラス・・・おいおい、嘘だろ・・・」

ラスタの姿が見えなくなっていた。奴が俺を見捨てると思ってはいないが如何せんいきなりの事なので動揺を隠しきれない。

「いくら極悪人と言え、名前を名乗るのが騎士としての掟、私は騎士団隊長のヴァルだ!」

嘘だろ・・・普通の騎士ならまだしも騎士隊長かよ・・・。

「さ、さあ?俺はここでくつろいでただけだぜ?」

「ほう?それならなぜこんなに急いで壁が欠けているところに上ろうとしていたんだ?」

「いや、それはだな・・・」

「見苦しいぞ犯罪者!今から貴様を倒し、独房に放り込んでやる!」

言い逃れはできねえ!どうする!?クソ、俺の頭じゃそこまで考えられねえ!

「おいおいおいおい!少し、ま、待ってくれよ!!ほ、ほら!お前の好きな決闘ってやつで決着つけようぜ!?俺も決闘好きだからさ!!」

咄嗟に俺はこう叫んでいた。こいつが決闘に憧れているとかあいつが言ってたが、こんな状況では無理だろ・・・。ああ、俺の人生もここでおわ「決闘?ほう・・・犯罪者にしては潔いじゃないか」り?

「と、いうと・・・?」

驚きを隠せない。もしかしてこれに乗ってくれるのか・・・?

「いいだろう。私も人間だ。最後の望み位叶えてやろう」

と言って俺に腰に差してる2本の剣のうち一本を俺に投げた。

「早く拾え。私は時間がないのでな」

そう言われたので俺は剣を拾って構えた。しかし、俺は剣なんてあまり扱わないのでぎこちない動きだが。

「それでは・・・」

「ちょ!ちょっとまってくれ」

「なんだ?命乞いしても意味はない。貴様はもう一人殺しているのだからな」

まともに戦って勝てる相手じゃねえ。どうにか隙を作って逃げないとな・・・。

「なんであんたは決闘に憧れてるんだ?」

「!・・・何故かって?・・・それはだな・・・」


「おじいちゃん!」

「お~ヴァルかぁ~、どうしたんだい?」

「あのね!今日もお話聞かせて!」

「そんなに聞きたいのかぁ?ほっほっほ、いいぞ~。ワシの可愛い孫だしな!」

と、嬉しそうに髭を触る爺。

「そうじゃな・・・今日はワシの昔の事を話そう」

「昔ワシは騎士隊長だった・・・街の平和を守って市民の笑顔を見る。それだけで力が溢れて犯罪者達を捕まえることができたんじゃ・・・」

「騎士隊長?だったの!?おじいちゃんかっこいいね!」

「ほっほっほ、そんな大層なもんじゃないよ。・・・でもある日、魔物がここまで攻め込んできた。第一防衛拠点は破られ、第二もやられてしまったんじゃ。」

「街?ここに魔物がたくさん来たの?」

「ああ、そうじゃ。ワシは戦ったよ、勿論ワシの仲間も沢山な・・・。それで何時間かした後、遂に敵の大将の元に辿り着いたんじゃ」

「大将?もしかして四天王?」

「いいや、違う。オーガだったなぁ。でも普通のオーガと違う、とても知性的で強かった。仲間が次々とやられていったよ・・・。そこでワシは奴に決闘を申し込んだ。奴はそれを受け入れたんじゃ」

「けっとう?ってなに?おじいちゃん」

「決闘とはね、相手と1対1で戦うことだよ」

「そうなんだ・・・おじいちゃんは勝てた?」

「勝ってなかったらワシはここにいないかもなぁ・・・。まあ続けようか、ワシは激闘の末に奴に勝った。しかし腕は一本持ってかれたがの。ハッハッハ!」

「おじいちゃんの腕が一本のなのってそういう理由だったんだ・・・。私もこんなに強くてかっこいい人になりたい!」


「それから私は剣の稽古を一日何時間もやった。勉学にも励んだ。そしてついに去年騎士隊長になれたのだ」

こいつはあれだな、スイッチが付くとずっと話し続けるタイプの奴だな・・・あっ。

逃げるの忘れてた・・・。

「これで終わりだ。それでは始めようか、行くぞ!」

「ま、まってくれ!」

「どれだけ引き延ばすつもりだ!もう待て{ガシッ}な!?」

いきなり奴が羽交い絞めにされた。俺はこの状況についていけない。すると聞きなれた声が聞こえた。

「いいぞ!早く斬れ!!」

「!!・・・助かる!」

俺は咄嗟に剣を構えて奴に近づいた。

「やめろ!卑怯者め!それが貴様らの「オラァ!!」」

ザシュ、日が沈みかけてたころ、肉を切り裂く音がある路地に響いた。

彼女は油断していた。

仲間を殺した極悪人が潔く決闘をするなんて有り得ないのだ。

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