街の門へ
いよいよ作戦当日。
彼らの作戦は上手くいくのでしょうか。
「よし、出発するぞ」
商人の服に身を包んだラスタが言った。
「上手くいくんだろうな」
「まだ言ってんのかよ。大丈夫だって」
不安な俺なんてどこ吹く風といった感じ、能天気な野郎だ。
~門~
「でけえな、さすが街と言ったところか」
「何評論家気取ってんだよ。さっさとやるぞ」
適当にあしらわれた。
「あの、通行証の提示をお願いします・・・」
まさに新人って感じの若い男だ。
「ああ、これを頼むよ」
完全になりきってるが、傍から見るとただのいかついやつだな。
「このカード・・・商人の方ですか?今回はどの様な要件で・・・」
「いや、今日は観光で来たんだ。最近は取引ばかりで疲れていたからね」
作戦通りに返している。演技がうまい奴だよ、全く。
「あのぉ、それならこれとは別の通行証が必要なのですが・・・」
「な、なに?」
マジかよ。これはまずい事態になったな。
「あの、いかがなされました?」
拙いな、思考が停止してるのかすげえ間抜け面になってやがる。
仕方ねえ、こいつは新人のはずだ、それならこの嘘が通じるかもしれない!
「あ、ああ。君は見た限り新人だね?」
「はい。そうですが・・・」
「実は商人のカードは一応観光目的でも使用できるんだ」
「そ、そうだったんですか?先輩には別の物だと言われましたが・・・」
少し手ごわいな・・・。
「きっとその先輩は少し間違ってしまったのだろう。私はかれこれ何年も商人をやってるから信用してほしいがね」
「そうだったんですね・・・。それじゃあ通行を許可します。ごゆっくりお楽しみください」
ふう、何とか行けたようだ。
「いつまでボーっとしてんだ。ほら、行くぞ」
「え?あ、ああ」
やっと我に返ったのか間抜け面からいつもの顔に戻った。
「いやあ、助かったよ。お前の方が商人役に向いてたかもな!」
「馬鹿じゃねえかてめえ、こっちは心臓バクバクだったよ」
下手したら捕まってたかもしれないのに呑気な野郎だ。
「悪かったって・・・。それじゃあまずはこの高そうな宝石を質屋に行って売るか」
「質屋の場所わかるのか?俺はこの街に来たことがないからよくわからんな」
「・・・」
「おい、どうした?」
「・・・いや、俺もわからん・・・」
「は?」
「だって俺もここに来たの初めてだし・・・」
「下調べもしてねえのかよ。それでよくここに来る気になったな」
「うるせえ!なら誰かに聞けばいいだろ!」
逆ギレしやがった。
何とか危機を脱した二人。
しかしまた次の災難が彼らを襲う(迷子)