作戦と噂
計画を思いついてから1日後。
やる気満々のラスタと少し不安気味の彼。
何気ない一日のいつもとは違う会話
「決行まであと1日か」
俺はつぶやく。しかしラスタにも聞こえていたようで、
「そうだな。まあいざとなれば荷物放り出して逃げればいいだろ」
「そうならないことを祈るがな」
「俺に任せとけよ」
奴は自信ありげに言う。
「ところで、俺の服とかはあるのか?商人は一人だったんだろ?」
昨日から気になっていたことを聞く。
「全く、護衛ってのを知ってるか?」
「そのことについては俺は疎いんでな」
「常識の範囲内だろ・・・。まあ俺たちが常識なんて語れないがな」
自虐的にラスタは言う。
「そんなこと気にしても何にもならねえよ。せいぜい街でどうするかの作戦くらい立ててろ」
「そうしよう。と言いたいが昨日のうちに大まかな作戦は決まってるんだ。今から言うから聞いてろよ」
ラスタの言う作戦はこうだ。
まず商人のカードを見せて観光と言い街に入る。
次に持ってきた売れそうな物を質屋に売る。
それで手に入れた金で食料や武器を買う。武器を買う時に理由を聞かれたら護衛に持たせると言う。
そしてしばらく観光してから退散する。
「観光なんてしない方がいいんじゃないか?」
「観光しに来て観光しない奴がどこにいるんだよ」
まさにその通りだ。何とも言えない。しかしリスクが伴うことも言わないとな。
「街にいる時間が長いほど俺たちを疑問に思うやつも増えるだろう。最悪の事態だってあるんだ。1~2時間程度街を見たら帰るぞ」
「しょうがねえな、4時間くらいブラブラしたかったんだけどな」
言っておいて正解だったようだ。4時間もいたらさすがにまずいだろう。
その日の夜、外にいたラスタが話しかけてきた
「なあなあ、こんな噂を聞いたんだ」
「なんの噂だ?」
「それはだな、街を守る騎士団ってのがあるだろ?そこの騎士隊長が女なんだよ」
「それがどうしたんだよ」
「まだ終わってないぞ。それにその女騎士隊長は決闘に憧れてらしくてな」
「はぁ、そんな情報どっから手に入れてきた?それにそんなこと俺達にはあまり関係ないだろ」
呆れながら俺は言った
「実は今日下見の為に街の周囲を見て回ったんだ。その時門番の話し声が聞こえてな。盗み聞きしたってわけだ」
「やけに見張りが長いと思ったら下見に行ってたのか。」
「ああ、それと門番は新人らしい。これなら難なく入れそうだな」
「そうだな。成功することを祈るよ」
「今日で2回も祈ったな。俺たちは無神論者じゃねえのか?」
「お前の穴だらけの計画に不安しかないからだ・・・」
主人公の名前はまだ出しません。
それが今作のキーワードになる
かもしれないので