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この世界で生きる者たち  作者: クヤロ
何気ない毎日{夏}
10/11

夏の一日

あの日の逃亡から何か月か後、あまりの暑さに彼らはバテそうになっていた。

「あ”っつ”~」

「あ”ぁ・・・。このまま干からびそうだ・・・」

真夏日の昼に俺たちは耐え難い暑さに顔を歪めていた。

「なぁ・・・」

「なんだ・・・」

「近くの川に行って水浴びしようぜ・・・そうじゃねえとこのまま焼け死んじまう・・・」

「ああ・・・そうだな・・・そうしよう・・・」

衰弱しきった弱弱しい声で会話し合う。


「あ~、冷たくて涼しいぜ・・・」

「そうだな・・・ずっと浸かってられそうだ・・・」

気力も何もかも消え去った。このまま水と同化してしまいたいとふと思う。

「しっかしなんでこうも暑いんだ・・・。こんなんじゃ街の方とかは何人かぶっ倒れてそうだな」

「そうだな・・・」

「おい、大丈夫か?」

「ああ・・・。なんかもう、どうでもよくなってきたんだ」

気のない返事を返す。それにラスタは呆れたように

「おいおい・・・。確かにそうしたくなるのは分かるがこのまま衰弱死はごめんだね」

と返す。


「おい、これ見てみろよ」

ラスタが俺を呼ぶ。奴が指をさしたほうを見ると、見事なハンモックが作られていた。

「どうだ?俺が前々から準備して作ってたんだ。これなら少しは楽に・・・って、お前・・・俺を先にそこで寝させるのが道理ってもんじゃないのか?」

また呆れたように言うラスタ。何故なら俺はいまハンモックに乗って寝てるからだ。

「道理なんてものは俺達には必要ねえよ」

「そう言って誤魔化さないでさっさとどけろ。自分の為に作ったんだよこれは」

「じゃあなんで俺に見せたんだよ・・・。寝ろって言ってるようなもんだろ・・・」

「お前、今日はやけにダルそうだな。夏バテとはらしくないな」

俺は比較的健康体だから風邪をひくことも滅多にない。だが暑さには人一倍弱い。

「こんな暑い日に元気でいるお前の方がおかしいな・・・」

「俺はいつでも元気だからな。お前とは違うさ」

と自慢げに言うラスタ。少し調子に乗ってると思いながら俺は眠ろうとする。

「って、おい!早くどけて俺に寝させろよ!」

何か言ってるが気にしないことにした。

自分が最優先なのは無法者ならではの考え。

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