はじめに
本エッセイは、「ヒストリカル」キーワードを使っている皆さまを批判・非難する意図のものではありません。念のため。
また、私は統計ド素人です。頑張って簡単なデータを出しましたが学術的な意味での正確さは全く保証しません。考察というよりは単なる所感+αに近いと思って下さい。
なろうに小説を投稿すると、小説情報を登録するときのおすすめキーワードとして「ヒストリカル」が出てくる。私が入り浸る異世界ジャンルではよく見るキーワードだ。ランキングでも同キーワードをつけた小説を頻繁に見かける。
私にはこの「ヒストリカル」の意味がよくわからなかった。なろうの利用マニュアルでは定義されていない。質問板でも「ヒストリカル」検索結果はゼロである。キーワードに「ヒストリカル」を設定しているなろう小説にも特段、他の小説と異なる特徴があるとは思えなかった。
手元の英和辞典によれば、historicalには「史実に基づく、過去の出来事を扱う、歴史上実在した」(※1)という意味がある。なろうの「ヒストリカル」は間違いなくこの意味に由来するのだろう。
が。ここで疑問が一つ。
この「ヒストリカル」、異世界ジャンルのおすすめキーワードとして出てくるんだよね。そして、「異世界」とは現実に近くない世界を意味する。なろうにおいては。(※2)
これ、ジャンルとキーワードが不整合なんじゃないだろうか。
つまり、「異世界」ジャンルの小説とはジャンルの性質上必然的に現実世界から離れた内容のものになる。ということは、ヒストリカルな小説――現実世界の歴史を題材にした小説、は、他のジャンルに比べて少なくなるはずなのだ。
もしかして、なろうの「ヒストリカル」とは私が想定するものとは違った意味を持っているのだろうか。
たとえば、非現実的な創作世界でも歴史小説風にすれば「ヒストリカル」にあたるということだろうか。あるいは、現実に存在する歴史的な事件をモチーフとして使っているが舞台は異世界というような内容を想定したキーワードなんだろうか。
「ヒストリカル」ってなんなんだ。
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という経緯から、「ヒストリカル」について考えてみました。
※1:ジーニアス英和辞典MX(元は第四版)より引用
※2:利用マニュアルの「現実世界[恋愛] 恋愛を主題とし、現実に近い世界を舞台とした小説」の反対解釈より。