その人誰ですか?
友君と過ごす時間は楽しくてあっという間に夕方になった。
「そろそろ帰ろうかな。」
ぼそっと言ってみる。
すぐさま友君にひきとめられる。
「まだ帰さないよ。」
そういいながら抱きしめてきて、熱いキスをされる。
もしかしたらとは思っていたが、意識しないようにしていた。
でもこの間と違って下着も新しいのを買ったし、今日は大丈夫なはず。
「美香さん・・・・・・。」
友君の熱い視線にドキドキする。
服をぬがされかけそうになった時。
ピンポーン♪
インターホンが鳴る。
「無視しよう。」
友君は気にせず続きをしようとすると。
ピンポーン♪ピンポーン♪
「誰だよ・・・・・・。」
不機嫌そうな友君が玄関に向かう。
相手の顔を確認するとさっきは無視しようと言ってたのに、玄関を開けた。
「急にごめんね。」
女の人の声がした。
だけど、見ようとは思わなかった。
「来るときは電話して。 それでどうしたの? 」
「昨日の忘れ物取に来たの。」
昨日来たといった?!
「友樹なんか不機嫌? 誰かいるの?」
しかも呼び捨てする仲なのか。
「ああ。 持ってくるよ少し待って。」
友君がこっちへ歩いてきた。
ソファーのそばにあったストールをつかむと再び玄関に向かった。
「はい。今日はもう帰ってごめんね。」
「OK,また来るね。」
また来る? そんな何度もくる仲なのか?
昨日来たってさっきいってたし。
友君、その人誰ですか?
聞けるはずもない。
重たい存在と思われたくない。
もしかして私みたいな存在が何人もいる?
一瞬でいろいろ考えて頭の中が、いっぱいになった。
友君が、玄関を閉めると再びこっちへくる。
「ごめんね、続きしようか?」
「・・・・・・。」
私の無言の返事も気にせず、再び唇に熱いキスをする。
それから首筋胸元とどんどん下がっていく。
さっきの人がきになってそれどころじゃないこっちは・・・・・・。
そう思って言いかけたその時。
「ごめん。俺やばい、今日の美香さんかわいすぎだし。美香さんも俺の触って。」
そういってる友君の色っぽさに、結局流されてしまった。
友君との二度目のエッチはまだ痛いだけだったけど、優しくしてくれてるし。
その後は腕枕してくれるし。
大丈夫愛されてるはず・・・・・・。
「本当はひきとめておきたいけど。朝までうちにいる?帰る?俺はどっちでもいいけど。」
「明日仕事だし、帰ろうかな。」
泊ってもよかったけど、気を使っちゃうし。
ずうずうしいと思われたくない。
「クールだね。そんなとこも素敵だけど、ちょっとさみしい。」
そんな台詞だけでとっても嬉しい。
友君はまだ若いし、もてそうだし。
体から始まった恋だし、友君は本気じゃないのかもしれない。
だからあまり本気になるな私。
じゃないと別れるとき辛くなる。
「帰るなら送っていくよ。」
友君は、車で家まで送ってくれた。
「送ってくれてありがとう。 おやすみなさい。」
「美香さん好き。」
別れ際に甘くて優しいキス。
やめてほしい。
そんなキスされるともっと好きになってしまう。
「きをつけて帰ってね。」
「じゃあまた会社で。」
去っていく車、体が引き裂かれるようでとってもさびしい。
今日一緒にいた時間が、長すぎたせいだ。
「ただいま。」
「母ちゃん姉ちゃん帰ってきた。」
弟の大きな声。
「遅かったのね。御飯食べる?」
「いらない。お風呂入って寝る。」
夕飯はまだだったけど、胸いっぱいでお腹がすいてなかった。
お風呂につかりながら今日の出来事を思い出す。
友君の手作りのから揚げとっても美味しかった。
お料理が得意という一面もみれて嬉しかった。
途中までは楽しかった。
そうあの女の人が、来るまでは。
いったいどういう関係なの?
考えないようにしようとしても、頭に浮かんでくる。
顔見なくてよかった。
見てしまったら、きっと顔が浮かんで消えない。
友君は好きって言ってくれたのに、とっも不安。
去り際のあんなに優しいキス。
友君は、ほかの子にもしてるの?
あれ・・・・・・涙?
私泣いてるの?
お風呂のお湯で顔を洗って泣いていないふりをする。
誰もみていないのに。
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