予兆からの予想外
朝。二階から降りて来ると父はニュースを見ながら朝食を食べ、母は洗濯物などを干していた。
「はよー...」
ふわぁっとあくびをしながら二人に挨拶した。
「ん?あぁ。おはよう。」
いつもは笑顔なのだが今回は真剣な顔だった。
最初は疑ったがふとニュースを見ると父の顔が真剣なのも納得した。
「ブオロード、首都フィンデバーテでは連続殺人事件が多発しております。外出する時は気をつけて外出をしてください。現在警察が捜査をしており...」
リモコンでテレビの電源を切った。気味が悪かったのだろう。それはすぐに察した。
「マークル王国には首都と14の州があるのはわかるな?」
イジャは朝ごはんを食べるためにイスに座ると同時に父の口が開いた。
「うん....。首都フィンデバーテ。ブオロード州、ボファンザギ州、アグネス州、ニベダンテ州、コールイアン州、マタカナハ州、ニファ州、スイバレ州、ジョンド州、ヘンナリーア州、ギャールガン州、ホウタン州、グファン州、最後にレブン州。だよね」
口早く自慢げに言った。
「そうだな。連続殺人事件が今も起こっているのはここ、フィンデバーテとブオロード。事実、マークル伝説に由来している州だ。」
考えながらゆっくり話す。ハムを食べ、飲み込む。
「何故ブオロードとフィンデバーテが....。」
悲しい顔になる。イジャは初めて父が悲しい顔になるのみ見た。何故か自分も悲しくなった。
学校に行く準備をし、家を出た。母からは気をつけなさいよ。としか言われなかった。
しばらく歩いていた。ただ、歩いていては暇なのでボルグに話しかけた。
「なんでマペットが高校生でも使えるの?」
素朴な質問だ。誰もが思う事であるが大抵のマペットは口をつぐむ。
「知りたいか?」
調子に乗った笑いも混じった声が聞こえた。手の甲にある紋章から通じて話している。
「いいから。教えてよ」
「わかったぜ。長くなるぞ?」
「じゃぁ、簡潔に頼むよ。」
「オーケー。まずマペットの世界にもランク付けがあるんだ。強さによって変わるぜ。で、おれは上位だったんだ。上位にいると高校で召喚される事ができるんだ。」
「へぇ...」
と感心するとアンナが走ってきた。おはよと声をかける。
ただ、もう学校に到着した。やはり都会なだけあって朝なのに学校の周りには人が多い。
学校はここ最近楽しいものだ。と感じてきている。
今までは馬鹿にされてきたが今は友達も増えた。
アダルとはライバル関係にあり、友達ながらも暇さえあれば勝負!という感じだ。
アダル自身も早くマペットを扱いたいとうずうずしているらしい。
授業が3時間目終わり休み時間が訪れた。
ガヤガヤと談笑している。
が何故かイジャは違った。
「トイレ行こうっと....」
立ち上がろうとしたが何故か痛みが走り立てなかった。
この痛みはボルグがワザと送った痛みだ。
「ここにいろ!」
頭に叩き込まれるように声がした。
その直後。一階では悲鳴がした。
談笑の声などのせいで聞こえにくかったが確かにした。
階段をドタドタと荒々しい登りの音がし、
いきなり銃乱射する音がした。
最初はどうした?と言う声がしたがドアが荒々しく開けられると銃が向けられた。
「ふせろ!」
悲鳴が聞こえたがピタリとやんだ。
これが「恐怖」と認識した。
「たったらぶっ殺すぞ!」
大きな声が響く。勿論立つ馬鹿はいなかった。
イジャは伏せながらも周囲を必死に見渡した。
犯人は四人。マペットも四体いた。妖精?とロボットが二体ずついた。
「やばい事になったぞ...」
小さく呟いた。それに反応する様に手の甲についている紋章からゴオッと炎が出た。