マペット
「ま...マペット!?」
マペット...大人が使ういわゆるパートナー的存在である。
食事したり、泣いたり笑ったりとする事ができるのだ。
本来なら成人の儀で初めて出会えるのだ。が、マペットが使えるようになっている高校生は年々増え続けているのだ。
ちなみにマペットにも種類があるあり、人型、妖精型、昆虫型、ロボット型、悪魔型の五つあるのだ。
そしてマペットが使える高校生だけが集まり競う大会「マークル・ハイスクーラー・エファンス(MHE)」が毎年行われており、マークル王国の首都、フィンデバーテでも予選大会が行われたりしている。
ここ20年増え続けており今じゃ高校生の目標はマペット召喚すること。なんて言う高校が出てくるほど増えている。マークル王国の経済的にも出てくるとプラスになるのでマークルは禁止にはしていない。
「よう、相棒。よろしく頼むぜ!」
赤いマフラーに赤い服を着ており、片腕は鎧がついている。身長はイジャより少し高く、髪は紅い。まるで紅蓮の炎のように紅い。瞳も紅くなっている。
「あ...うん」
立ち上がるといきなり罵声が飛んでくる。
「なんでお前なんかが使えるんだ!」
「使えるだけ無駄だ!」
いつもの事だ。と思っていたが今回だけは違った。
何で?
涙が出てくる。何でみんなは僕の努力を認めてくれないの?非常に悔しかった。
すると炎の人型マペットがイジャの前に出る。
「おい。努力を認めてやれよ馬鹿たれが!」
剣を抜き一振りすると炎の斬撃が壁を破壊する。
強い。
皆は確信した。そのマペットは強いと。マペットは。
「俺は炎の勇者ボルグ。以後お見知り置きを」
と言うとイジャの手の甲にある紋章が光り、紋章の中に入っていった。マペットは紋章の中に入らないのだが。
「...なんで僕が...」
と呟きながら扉を開け外に出た。皆も不満そうにしながら帰るのだった。
アンナはイジャを元気づけようとする
「大丈夫だよ!皆羨ましいんだよ!」
「なんで?ある意味自分は嫌なんだけど...」
「マイナスに考えない!」
と言うとアンナはイジャの手を握る。
「ボルグが認めんじゃないの?イジャの事。じゃないとマペットとして現れないよ!」
「...そうかな。」
なんて言うとアンナの手を振り払い、早足で家に向けて帰るのだった。
「あ...」
追いかけたくても追いかけれない。そんな気がしてただただ立ち尽くすアンナだった。
ー大丈夫よ。
声がする。アンナには聞こえた。
「誰!?」
返事はするが帰ってこない。変だと思いまた歩き出す。
本人も気づいていないが、指につけている指輪が少しだけ蒼く光った。
それが彼女を成長させる光になる事をまだ知らなかった。