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43 コロンブスな話


一応、西洋史では惑星を認識できたのは、ガリレオないしコペルニクスの生きた時代以降、つまり17世紀以降ごろになります。


さらに地球が天体だと認識したのは18から19世紀くらいになります。


ではそれより昔の人々の地球世界観とはどういうものだったかというと。


海路と陸路を駆使して中国まで旅をして帰ってきたのがマルコポーロ。東の果てにはジパングという黄金の国があるという伝聞を広めた。これが13世紀のできごと。


15世紀(1492年)コロンブスが大西洋を渡りアメリカ大陸を発見した。

16世紀のマゼランの艦隊が海路のみで地で世界一周(1519~1522年)をした。


コロンブスは地球が丸いと唱え、西回りでインドに到達できると信じて西回り航路を選択した。ゆえ、コロンブスは常識を打ち破る先駆者の象徴として後世に語り継がれ「コロンブスの卵」などという言葉が生まれたのです。


というのがわりと言われていること。


他方、ヨーロッパ人は地球は盆の上に乗っかっており、天球が空にかぶさっていると。だからそれに異を唱えるとガリレオのように捕らえられ裁判にかけられた、というのも割と信じられています。


だがガリレオや地動説を唱えたコペルニクスが生きた時代はコロンブスよりも100年も後になる。


ここで「?」となるだろうか。なるでしょうね。


実は、地球が星であるという以前に「球体」であると認識したのはいつごろだったのだろうかというと、球体説は紀元前六世紀のギリシア哲学まで遡り、地球がお盆の上に乗っているという考え方は、既に紀元前三世紀頃にほぼ駆逐されています。AD世紀以降というのはほぼ地球は丸いと考えられていたそうです。


知っている人はしっている。知らない人はへぇ? という話。


ではなぜ、現在、コロンブスが地球を「球体だと証明した」かのようないわれになっているのかと申しますと。


これには少しばかりややこしい話が有り、かなり後年(20世紀前半)の話なのですが、『地球平面説の神話』というキリスト教の内輪もめによる流言飛語が世界的な誤解として広まっただけなのです。

 

有名な話ではコロンブスと当時のヨーロッパ人のやり取りを描いたアメリカのワシントン・アーヴィングという作家の書いた『コロンブスの生涯とその航海』、(1828年) でコロンブスの伝記として書かれたフィクションが招いたことなのです。


「カソリックのヨーロッパ人は中世においても地球が平面だと信じていた」というネガティブキャンペーンをプロテスタントの連中が行ったとされています。が、当然ながらコロンブスでなくとも15世紀のヨーロッパ人は地球が球体であることは承知しています。


この近年(19世紀です)に行われたプロテスタントのキャンペーンのおかげで、中世ヨーロッパ人は愚かだったと今でも世界の多くの人々が信じていることで、英国の歴史学協会は今でもその火消しに追われているのだそうです。


我々の認識に錯誤があるのは、『天動説=地球平面説VS地動説=地球球体説』という構図が割と単純で分かりやすかったせいで、 天動説と地動説の問題は、地球が丸いことを前提として論じられていましたので、けしてヨーロッパ人がアホで間抜けだったわけではございません。この当時、地球平面説を信じている人間など居なかったといってもいいでしょう。


ちなみに、織田信長ですら地球儀持ってましたから。


いわゆる日本人がかなり多く信じている、「コロンブスが蒙昧無知な輩の言説を尻目に、危険な航海を果敢に成し遂げ、地球が丸いことを身を持って証明しようとした先駆者」というアーヴィングの話は荒唐無稽な英雄譚であり、当の欧州の人々からすればいい迷惑だっただろうなと。


ま、いつの時代も小説家は想像を駆使して話を面白くしていた、といういい実例でありますし、アメリカという国を肯定的に捉えるため、という恣意も少なからずあっただろうなとは思います。実際アメリカはコロンブスデーとして祝日の設定をしています。


一応記しておくと、コロンブスはマルコポーロの東方見聞録に影響を受けて、西回りで黄金の国ジパングにたどり着けるものだと信じていた。なぜなら地球は丸いから。これがそもそもの誤解の根拠ではあります。


コロンブスはすでに地球が丸いことを認識しているし、だから西回りでアジアを目指した、ということです。


であるから、アメリカにたどり着いた時アジアに来てしまったと錯覚し、現地民のことを「インディアン」と称してしまったのは有名な話。


そもそも西回りが近いという主張そのものが怪しかったので、船員は不安いっぱいだったのだが、案の定コロンブスは思い込みもあり完全に距離を見誤っており、既にインドまでの距離がわかっている上に、地球の円周距離も遥か昔に算出されていたのだから、これを「間違う」ことができたコロンブスは確かに普通の人ではない能力の持ち主だったといっても良いとは思います。

(ちなみに卵を割って立てる逸話も諸説紛紛というか、他人の話だったりする)


(*コロンブスが根拠としたのはトスカッネリ(1474年)の円周距離で、それよりも4千年も前(紀元前3世紀)現在の円周距離の16パーセントという驚異の誤差で算出していたエラトステネス(紀元前200年くらいのギリシャ人)よりもはるかに小さく見積もられていた。ギリシャ人すごいぞ!)


無論、そんな彼だったので、アメリカ大陸がなくとも太平洋を渡りきることはできなかっただろうと思われまして、(実際マゼラン艦隊が死ぬ思いでマゼラン海峡を抜けたのは有名な話)アメリカ大陸を発見した偉人どころか、アメリカ大陸に助けられた異人であり、なのに現地人を虐殺し、奴隷にしようなどと図々しいことをさっそく考えたそうです。


ちなみにコロンブスは死ぬまでアメリカをアジアだと強く信じていたそうですが、実はコロンブスが上陸したのは現バハマやキューバ、ドミニカなどの島々で、現アメリカ大陸には一度も上陸を果たせなかったそうな。


じゃあ、いったい誰が最初にアメリカ大陸に上陸したんだ? 


という話になりますと、北欧のヴァイキングだとかいう話もありますが、私的にはネイティブアメリカン(インディアン)がおりますゆえ、確実に起源は、モンゴロイドである我々アジア人が、現在のベーリング海峡を渡って発見したのがアメリカだろうと、そう考えています。


南洋の島々、南米に関しても、やはりモンゴロイドが広く分布していますから、実のところ世界を制しているのが白人連中などというのも実は笑止で、人種的にもっとも版図を広げたのはモンゴロイドという歴史は揺るぎがない事実で、中世以降の歴史観など、所詮は白人のいいように書き換えられた歴史だと断じてもよいわけです。

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