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42 バーチャルリアリティ入門

ヴァーチャルリアリティ、という言葉を聞いたことがあると思います。

仮想現実というやつですな。


仮想の現実ですから、現実じゃあないんですが、現実っぽく見える仮想という感じです。似てますが仮想と仮性は違います。


少し脱線しますが、仮性包茎というのは男子のシンボルが皮を被っていることをいうのですが、これが実は欧米では『ナチュラルペニス』と呼ばれておりごく自然な状態だと言われております。

ではナチュラルではないペニスとは何なのかというと、いわゆる『ムケチング』を指しまして、どうやら一部の文化圏で行われる、新生児男子に対する割礼という、皮をちょん切り、頭を出すというヤヴァンな儀式めいた、児童虐待を受けたモノを言うそうです。


であるからして多くの成人男性のお頭がコンニチワしているというのは大いなる誤解であり、自然な状態では皮は被っているものだ、という主張があります。したがって美容整形などで「男の自信を取り戻す」とかそういう根も葉もないスローガンには騙されてはいけないのですよ、と


こういうの言い出す団体ってだいたい知れてるんですが、日本は割礼の習慣はないですし、半分くらいの人はホッカムリしていないんですけど、そのあたりはどう説明をつけるつもりなのか、私にはよくわかりません。というか、世界の何十パーセントの男性が皮をかぶってるかどうかなんて一体どうやって調べたのかそっちの方が興味がありますが。


なので仮性包茎という言葉があるのは日本くらいなものなんだそうです。


というわけだそうです。紳士淑女の皆さん安心してください、正常だそうです。


私は責任持ちませんが。


バーチャルリアリティの話でした。


バーチャルリアリティの『バーチャル』は日本ではしばしば『仮想』と訳されるのですが、そのおかげで私が仮性包茎の話をせねばならなかったわけですが、実は本来『バーチャル』は『仮想』とは真逆の意味です。


本来のバーチャルは『実質的な』という意味があり、現在使われているような『現実にはない』的な意味ではありません。

これがどのように変質して『仮想』とされたのかと言いますと、英語のバーチャルは「表面上は違うが実質そのものである様子で、実質上」と訳されるのに対し、日本ではこれが「現実そっくりだが仮想の世界である様子」とされてしまったところによります。


はい、全然わかりませんね。


つまり本来の「現実世界の実質的で本質的な部分を提示する」というのがバーチャルのもともとで、


「車を運転する」という本質だけを取り出した状態がバーチャルリアルです。


これでもわからなければ


車を運転する際に発生する振動や、空気の流れおよび風の音、各種のG、エンジン音、流れる景色、運転操作そのものを「現実」から一部またはその全てをピックアップして提示する行為、ということです。


ですからバーチャル体験というのは、外見的にはただ椅子に座っているだけなのに、本人は車を運転しているような体感が得られるわけです。ある意味では人間の五感をだましているだけなのですが、可動筐体式のアーケードゲームやシミュレーターなどはバーチャルリアルに分類してもいいわけです。


もっといえばCDで音楽を聴くのも、実は「音の部分」だけを抽出して、さもアーティストがそこで歌っているかのような体感を得ることが出来るものですから、バーチャルリアルの一種なのです。


バーチャルが『実質、本質』を指しているというのはわかったと思います。


ですんで『仮想』というのは日本における誤訳になってしまうのですが、妙にマッチしてるのは、これ意訳だからともいえます。


仮想現実を扱った作品でよく知られているのが『マトリクス』や仮想の電脳世界を使う『攻殻機動隊』『アバター』などが有名なところでしょうか。

現代の我々はバーチャルという言葉を正確につかむより先に、これら作品から受ける影響が多大であったため、あるいは同時期インターネットが普及し、仮想的なメル友や仮想座団室的なチャットルームなど、現実にいるのに、対話会話という実質的な部分にのみ注視したコミュニケーションをとる手段を得ました。


これを、本来に意味のバーチャルととるか、曲解したバーチャル(仮想)とるかはそれぞれ個人で違ったかとは思いますが、多くの日本人が、本来のコミュニケーションではなく『仮の』と据え置いたのは、上記のようなSF作品の影響と密接につながってしまった結果だと思っています。


言葉だけの問題なのでどうでもいいと言えばいいんですが、そういう背景があってバーチャルリアリティは仮想現実と訳されるようになったということです。


ただ、面白いことに、ネットの常時オンライン化が進むと、本来「本質的で実質的」であったバーチャルが逆転現象を起こして、より密接にリアルへとつながってゆこうとするため、バーチャルリアルは本当のリアルへと接近してゆきます。


現況もっともそれに近い現象が起きているのが、MMO(マッシブリー・マルチプレイヤーズ・オンラインゲーム)という大規模多人数同時参加型オンラインゲームという分野で、同時に多人数が同じゲームサーバーにログインし、その場でアバターを操作してゲームプレイするという、まさしく異世界に転移したとでも言えるような遊び方ができるようになりました。


この辺りは『ピーターパン』や『不思議の国のアリス』とか『ナルニア国物語』で現実世界の子供が異世界で活躍する物語に通じます。ま、わくわくしますわね。


むろん画面で見る限り二次元ですから表向きはゲームをしているにすぎませんが、画面上の人物というのはいずこかのプレイヤーであり、それぞれに個々の人格を持ち携えているという点で、オンラインゲーム上で人間関係が発生したりします。そのため予測不能な従来のゲーム展開となることも往々にしてあります。


詳しく書くと長くなるので割愛しますが、このゲームの延長線上にあるのがSF作品『アヴァロン』や『ソードアートオンライン』などに見られるVRMMO(バーチャルリアリティMMO)という、脳に直接機器が作用して、電気信号で脳をだましてゲーム世界にダイブする、といった設定のゲームになります。ちなみにゲーム世界で死んでも現実には死にません。


これを逆手に取ったのが『マトリクス』の世界になります。(あっちは死にますがね)


この辺になってくると、じゃあ人間が認識しているのはどちらも同じなのだから、どっちが本当なの? どっちでもいいじゃん、という議論も沸き起こってきて、『アバター』なんかではまさしくそういう結論に至ったわけで、ある意味人間の本質的な部分が見えたともいえるわけです。


ただ、実際のMMORPGなんかをやってみればわかると思いますが、お金もかかりますし、苦労しなければ強くなりませんし、コミュニケーションも取らなくてはいけないし、強大な敵を倒して前に進むこともままなりません。


ここのところ、人の「魂」を本質としたときに、実はこの世のすべてというのは日本人が想起する、仮想現実とも言い換えることが出来るわけでして、人間の体を持ってこの世界にログインしているだけ、ともいえるのではないかと。


そんなわけで我々は普段からゲームをやってるようなもんなんですから、楽しくいきましょうや、ってスタンスで生きてみるのもよいのではと。



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