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32 華麗なる妄想

恋とは妄想である。しかも最も愚かで最も華麗な。


というところから今回は入りたいと思います。



脳科学の分野から言えば、恋など神経細胞の活動の一種であり、動物的な見地から自身がより良い遺伝子を残すためにより良い種を得るための反応手段といわれるところでしょう。


恋に落ちると、不思議なことに相手のことが唯一番で、その人のためには何だってやろうという気になってしまう。これを読めるくらいの人ならば一度くらいはその経験に陥ったことはあるだろうからあえて説明はしませんが、まさに常軌を逸した精神状態になることも珍しくありません。


ところがそんな狂った恋心には実は寿命があると言われておりまして、まあ「恋のカウントダウン」とでも申しましょうか、これも脳科学の分野では一般的な説で三年から四年といわれております。


昔の大ヒット曲「三年目の浮気」というのがありましたが、これと同じように結婚には3年目の山があり大抵は運命の岐路を見据えることがあるようです。


恋に落ちてから3年というのは、つまるところ結ばれて子が育つまでの期間と捉えて言うようでして、(大昔は恋した瞬間に性交を行ったわけです)人間の子供は他の野生動物と違って生まれた瞬間から立って歩くことも出来なければ這い回ることすら出来ないという、まさに「腹の中から出てきただけ」の状態で外界と接触します。


そういった中、ろくに動き回れない母子が生存してゆくためには食料や身の回りの世話をしてくれるパートナーが必要になります、そこで夫というオスの存在が必要になってきます。


人間が「つがい」で行動しなければいけない理由は子孫を安全に残すという理由だけで、逆に言うと子供にそれほど手がかからなくなった時点で夫の役目は必要がなくなります。子供が3歳にもなればいっぱしに歩き回りもし、自分で物を食べるようにもなる、それを機にオスの本能を支配下においていた「恋のプログラム」が解除されオスはメスの元から去り、新たな種つけをするために他のメスを求めるという行動に出るそうな。


まだ人間が今ほど多くなく生態的に脆弱な時代ではまず「種の存続」を最優先させますから、オスもメスもより多くの子供を作ること、あるいはより良い種を残すために順列組み合わせで性交を行って分母を増やし、その中の優勢な種を残すということが本能的に行われていても少しも不思議ではないでしょう。


逆にいえばそういう行動がなければ(一対の夫婦間のみの)遺伝子のレベルでは単一のものが生まれやすく、環境に順応するフレキシブルな能力が狭まるわけで、父あるいは母の遺伝の一部かその片方のほとんどか、二つを半分ずつしたものを併せ持つ子供しか生まれないということは、最悪遺伝的疾患などで全滅ともなりかねないわけで、1×1=1にしてしまうことと同じで一夫一婦制は人類社会としてはデメリットなわけです。


ですから一人の母体から確実に最低でも1を残すことを最大の目的とすると人類のオスである男はより多くのメスである女と交わり種付けをしなければいけないのです。それは人類の存続のためであって、けして男側の都合のいい理論ではないのです。もっといえば強い種を得るために、女もより多くの男と交わることで選択の余地(この場合受精の権利と同義)が生まれることはけして悪いことではありません。


ですから恋が三年で終わり、浮気心が発生するというのはそういう時代の名残なのであって、浮気者=種の保存欲の強い人=生命力が強い人、というポジティブな見識を持つことも必要かと。


では話を現代に戻しまして、恋という妄想についてお話を進めますと。


生態学的あるいは脳科学的には、一連の種付けプログラムである、というのは前述の通りですが、では「人を好きになる気持ち」が3年ほどで冷めてしまうのかといいますと、現代においては全くもって正確な数値ではありません。


事実10年付き合って結婚に至ったカップルもいれば、行きずりで出来ちゃってその後の数十年を共にしている夫婦もあるでしょう。それは当然ながら複雑化した人間社会の影響であり、思考という人類が開発した能力が本能を押さえ込んでプログラムを改変していっているためでありまして、恋の果てに何かがあるのだと錯覚するような概念を作り出したのだといえます。


エロゲーがやりたくてパソコンを始めたらいつの間にかパソコンの仕組みを理解し詳しくなってしまった、といった感じが近いかもしれませんね。


すなわち人はそれを愛と呼ぶ。


かどうかは知りませんが、まあそんな感じなんじゃないかなと。






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