28 原子力国家
今年の終戦記念日も間近ですし、ちょいと触れておこうと思います。
東日本大震災において原発が爆発しました。
世界唯一無二の被爆国として名高い日本で60余年を経て再びやっちゃいました、というのは皮肉だとしか言いようがありませんが、三度も大規模被ばくをした国(しかも土地が小さい)ってどうなのよ? と普通なら思います。
今年、初めてアメリカ大統領が平和記念公園に訪れた。
これは快挙です。ありえませんでした。
ですが、オバマ大統領も任期をあとわずかに残すところ、「大統領の実績」として残したかったという側面の方が強いようには思えます。邪推しますが、日本人のオバマ大統領の印象は悪くないでしょう。それに輪をかけて、今回の来訪は「わかる奴」という印象を与えただろうなと思います。
それでも、アメリカの過ちであり、人体実験だった、などと言う謝罪は絶対しません。そして自身らが核を放棄するなどということも絶対しません。ですが日本人は70年の節目に戦争を終わらせたがっている。戦争経験者、被爆体験者は次から次へと鬼籍に入る中、アメリカを本当の意味で許してしまいたいと思っている。もともと日本は水に流してしまう文化です。落とし前つけたら終わりです。
ですが世界は平和にはたどり着いてはいません。アメリカという国を許容させること、すなわちそれは自衛隊がいずれ国軍化するための布石です。昔ほどハードルの高いものではなくなっています。
まず、そういったところから、終戦の決定打となった原爆というものについての話。
広島はウランを使っていました。長崎ではプルトニウム爆弾でした。
当時の放射線の測定記録などはありませんが、いずれも上空の高い位置での猛烈な爆発であったことから、広い範囲に放射性物質を飛散させております。
しかしながら、物質の量的に発電所より少ない(搭載された物質が全て反応したわけではない、らしい)ことから、その地に雨となって降り注いだ経緯もあれど大量に戦後から現在までもとどまっているということではないそうです。本当かどうかは知りませんが。
ちなみにプルトニウムやウランは殆どがアルファ線という放射線を出しますが、これは紙程度でも防げます。なので土やコンクリで埋めてしまうと殆ど放射線が出てこなくなります。
汚染された土砂を撤去し、撤去した後の場所に別の場所から持ってきた土砂で埋めたので広島・長崎は安全なレベルだそうです。
尚、原発の副産物であるヨウ素・セシウムの同位体はベータ線が主な放射線。
アルファ線より透過力に優れるが、なかなかエネルギーが減らないのでこちらは厄介で、防護服と呼ばれるものもこれらの放射線を防ぐ役目はまったくありません。(ですから20キロとか30キロ圏内で防護服を着て避難勧告を行っている人々は解って着ているのか、避難しない住民へのパフォーマンスなのか、物々しい雰囲気を出すには充分な効力を持っていますが)ベータ線はアルミの服なら防護できます。ガンマ線は鉛の鎧が必要です。
で、先にも述べましたが改めて説明しますと、放射性物質は、放射線を発生する物質そのものを指しまして、基本的には目には見えないほど小さいです。ただ被爆地の空気中では何らかのチリや粉塵、あるいは液体などと結びついてセットで飛んでますから、目に見えるといえば見えるといえます。(広島の黒い雨などが典型的な例)
放射能は、放射線を出す能力で放射線はエネルギーです。
その放射線と似ているものでいうと、磁力みたいな感じに捉えればわかりやすいと思います。
磁性体物質(磁石)=磁力を発生させる物質、磁力線=磁力のエネルギー。鉄に磁石くっつけておくと磁石となり、ほうっておけば弱くなってしまうのと近いです。
放射性物質は放射線を出しきると違う物質になり、最終的には放射線出なくなります。この放射線を出さなくなるまでの期間が半減期といわれるものです。ですから半減期が8日のヨウ素131は初期から新たに発生しない限りこの先検出されることはありません。ないはずです。
それでも、農作物や水産物に対してなんら影響がないかといえばそうともいえません。人間でも内部被曝をすれば何らかの疾病を抱えるリスクがあるのですから、それよりも構造が単純な動植物らが、ある程度の期間後に汚染物質を排出するにしても遺伝子に傷がつくということは大いにありえます。
チェルノブイリなどでは未だに奇形の動植物が現出しているそうですから、根の深い問題になることはこの先目に見えています。
というあたりまでが基本的な「放射能」の基礎知識。
数年前、汚染された水をやむを得ず海に放出するという措置をとりましたが、これが排出基準値の100倍の濃度のものですがただ、それでも人体にはほとんど影響のある数値ではないとしているのですが、普通に100倍とかいうアナウンスだけが拡大されてさも大変なことのように一般人は受け取るわけです。
こういった情報があの震災全般に言える対応でマスコミが煽っている側面もありました、人間とはえてして「悪い可能性」のほうを信じたがるものでして、海が汚染された、という事実だけを受け入れがちです。
無論ながら影響がまったくゼロではないのですが、古今東西恐ろしいほどの規模で大気圏内核実験というものが行われて久しいのですが、それとて地球規模で見れば海流や対気流に乗って回りまわって、めぐりめぐって、現在も世界中に撒かれているわけですから、結局はどこの国であろうが一定の確率で放射性物質の影響を受けていると考えられるわけで、それらがいつか知らぬ間に口内に取り込んで内部被曝していることだって大いにありえるわけです。
昔、といっても戦後二十年やそのあたりであちこちの国が核実験を無防備にやっていたんです、海とか地上でね、自国とは関係ない場所で。忘れたんでしょうか? 二十年ほど前はロシアが日本海に核廃棄物捨ててましたし、ねぇ?
そういったことも踏まえつつ、各地で原発がまた再稼働を開始しています。
日本をひとつに、強い国
デマに流されないように
とにかく節約しろ
震災当時たびたびテレビで流れていた公共広告のフレーズの一部ですが、これって戦中に言われてたことと同じなんですよね。
国家規模の災害という風にとらえれば同じで当たり前ですが、実はすごく違和感感じていました。
日本がひとつにならないよう天皇制を拒否させ、独立国家の根幹たる内政への干渉を拒否も出来ず、他国の不法侵略に対して強く抗議することも出来ない上に、デマまがいの報道を面白おかしく普段から垂れ流し、どんどん携帯電話で話しなさい、使いなさいと、コミュニケーション不全の人間を大量生産し、食料の自給率が実際の問題にならないからといって一切この点の改善を試みようとしないところに、自分さえ助かればいいという思いはないにしても、後先の想像力が完全に欠如して、自分の都合のいい情報だけを鵜呑みにする日本という国を痛烈に皮肉ってるCMだと思いました。
私は、ですけどね。
日本は、日本人は、ひとつになってひとつの目標に向かうと、恐ろしく強い底力をひめているとは思います。まあ、今風に言えば、「俺はまだ本気出してない」ってとこでしょうか。
ただ、そういう強大な力をコントロールすることが出来る政府が今のところ存在していないという点では、原子力と似たり寄ったりなのかもしれません。
そして同時に思います。
本当に強い奴は刀を抜かない。世界最古の歴史を持つ国家たる矜持、今一度考えてみるのもよいかもしれません一年に一度くらいは。




