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17 低燃費は人を幸せにするか

皆様御存知でしたか?


ガソリン高騰時に適用される「トリガー条項」というのを。ガソリンの平均価格が三ヶ月連続でガソリン価格が1リットル当たり160円を越えるコンボをかますと発動する政府の必殺技で、揮発油税の上乗せ分(暫定税率)25・1円分の課税を停止し、軽油取引税も減税するという特別措置であります。


そして逆に停止後3カ月連続で130円を下回ったら、課税停止が解除されるという制度があります。


いや、正確にはありました、という方が正しいかもしれない。


ま、海外の諸事情で民生が圧迫されてはたまらんという事で、こういう特別条項を設定したんですが、現在はこの必殺技が禁じ手とされています。


過去民主党政権時代に一度この技をキメ、国民は大歓迎したんですが、税収はそりゃもうひどい有様で、ガソリンから税金取れないとこれくらい困るのかと体現してくれたおかげで、現在の自民党は「あの技は使うべきではない!」と技の名前を口にするのも憚っているわけです。


そもそも、トリガー条項廃止案が浮上したのは、ガソリン高騰が止まらないかもしれないという危機感から、このままでは大幅な税収減となるとビビったからであり、何だ、結局そういう局面にぶち当たったら約束を反故にするんだったらなんだってありじゃないか、って|普通の常識的なまともな(・・・・・・・・・・)思考能力を持っている人間なら思います。


が、そんな折に東日本大震災が発生、財源確保のためにトリガー条項は当面凍結する方針となって久しいのです。


今は落ち着いていますが、このガソリン価格。

乗り物に乗らない人からするとピンと来ないかもしれませんが、ガソリン価格が高騰して、まあそれこそ160円が三ヶ月やら続くと、低燃費車が売れたりします。


ちなみに燃費って言葉、何の略かというと「燃料消費率」です。


もっぱら「低燃費」という言葉を使う場合は「低い燃料費」ということになるんでしょうけど、「燃費(燃料消費率)がいい」と使うのが正しい使い方です。


そんな折にさてさて、久しぶりでなんですが、三菱がまたやっちまいました。

燃費競争やら環境基準やらでデリケートな車業界に水を差してくれます。


先のワーゲン社のガス偽装問題の時は三菱ビビっていただろうなと思います。


というか、十数年前にリコール隠しでさんざん叩かれたのにまたやるか? 信頼失墜でしょうが。

これ詐欺事件として立件してもいいんですけどね。

偽装該当車種の購入者が集団訴訟して、全額返金を要求してもいい事件です。


だって経営陣は知ってたんだもん。「絶対負けられない戦いがそこにはある」、といったかどうかは知りませんが、それに近い言葉で檄を飛ばしていたわけです。


ま、しかしですな。大した問題ではないとも言えます。

燃費が悪くなったとて死ぬわけじゃあありませんから。


少しこの点から問題を考えたいのだが、ここ十年くらいは低燃費をスローガンにして、プリウス筆頭でハイブリッドが隆盛。

軽自動車をはじめとしたガソリンエンジン車もあれやこれやの試行錯誤を重ねて、性能を落とさずより低燃費に、よりクリーンにを目指した開発競争が行われてきていた。


低燃費にこだわるのはガソリンの高騰で、車の乗り控えが起きるという懸念からです。懐事情から車の所有を諦めるきっかけにもなりかねない。逆に言うとそれ以上の魅力を車に示せなくなったんですが、とにかく車に対するネガティブイメージを払拭したくくて仕方がなかったんです。


一般庶民はガソリンが高くなれば燃費のいいクルマに乗り換えるほど愚直です。

したがって、メーカーは燃費の良い車の開発を急いだ。


競合する機種は各メーカーにあり、互いに睨みをきかせる。その中での開発陣の苦悩。


バレなきゃいいか、と。


バレなきゃよかったね。


庶民は思ったほど燃費が良くなくても、不正されてるなんて疑いもしないから。それよりもプラセボ効果のほうが大きいから。


ちなみにタイヤの空気圧高めに入れるだけで燃費向上するんですけどね。


私はこの不毛とも思える低燃費競争はそろそろ止めていたらどうだろうかとは思います。

無論技術を突き詰めてゆくという点においては十二分に意義があります。

しかしながら、燃料消費率を基準にエンジンやシャーシ、ボディ、フェアリングがデザインされパッケージングされてゆく様は見ていて悲しくなります。


今の若い人たちが車に乗らないのって、単にカッコいいと思えないから欲しくないんじゃないでしょうか。車から物語性奪った結果、ユーザーへの訴求力がなくなっただけではないでしょうか。

車には元来的に道具以上の夢がありました。それを家電レベルまでに貶めてしまった結果なのではないでしょうか。


ここまでを犠牲にして低燃費車を選択しても、おそらく燃費による恩恵を受けている人はごく少ないでしょう。 お父さんお小遣い増えました? 夕飯の食材レベル上がりました? 家族に笑顔が増えました? なんとなくガソリン代が安くなった、その程度ではないでしょうか。


しかもガソリンというものが変動価格性の商品である限り、より実感しにくい。


良いことが増えたのなら何も言うことはありません。 そういう方は過去を捨てて未来を選択しても良かったのです。浮いたガソリン代以上に車のローンを払い続けていても、幸せなら何も言うことはありません。


ですが、新しいもの、新しい技術、高効率、合理性、それらが必ずしもあなた方を幸せにするとは限りません。


目下わたしゃ、好きな車も好きなバイクも、ガソリンをガンガン炊いて走るつもりです。


毎年高額な税金と維持費を払い続けているのですから。


ガソリンがなくなるというなら、なくなる前に使い倒す。環境規制でも敷かれて運行禁止にされる前に乗り回す。投資した分以上のものを得られるような生き方をします。


これ、人として当然だと思います。そのためにお金稼いでいるんですから。



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