第3話 二人の部屋
「紀奈紅…蓮のこと知ってるのか?」
「うん…だ…だって、幼馴染だ…もの…」
「お…幼馴染!?」
舜斗は、びっくりしているよう。
「憶えていてくれたんだ〜♪きなちゃんお久しぶり〜」
雪ちゃんは、手をひらひらしながら言う。
「蓮と幼馴染ってことは…。紀奈紅…もしかして…金持ち!?」
そうだけど…。
「わ…私…の家は…ゲホッ…」
あぁ、だめ…喋れない。
「だめでしょ?舜斗。きなちゃん、喘息なんだからさ」
雪ちゃんは、私の口を手でふせいで、言う。
「あのね、きなちゃんの家は、鹿王院家なんだよ?」
「え?あそこぉ!?」
舜斗が、信じられないというように叫ぶ。
「お…大声だしたらダメ…ハァハァ…」
舜斗は、苦笑して、
「お前もな」
と言った。
胸がカァと熱くなる。
何で…?
「鹿王院家って、世界の企業の半分以上を持っているっていうあれ?」
舜斗が、私に聞く。
そんなに、見つめないで…。
私は、うなずく。
「すげー!超お嬢様じゃん!」
「だから、言ったでしょ?」
雪ちゃんと舜斗がわいわい喋ってる。
ズキッ!
やだ…もっと苦しくなってきた。
「ハァ、ハァ…ゲホッ…く…苦しいよ…舜斗…」
胸をしめつけるみたいに、苦しい…。
「大丈夫か?ヤバイ…どうする、蓮!?」
舜斗に抱きついている力が強くなる。
喘息の最悪の、パターンだ…。
「僕達の、部屋に入れよう」
「え?待て。オレ達より、専門の人にまかせた方が…」
「バカか?お前、寮の扉は、11時30分に閉まるだろう?階の扉も」
「あ、そうだったな…じゃあ、オレ達の部屋か…」
舜斗は、悩んでるよう…。
そら、そうだよね。
男子寮は、女子禁止だもの。
「ゲホッ…ゲホッ…ハァ、ハァ…ゲホッ」
い、息が出来ない…!
「紀奈紅…!」
舜斗は、私をギュッと抱いて、一番端っこの部屋に走って言った。
2…299室。
「オレと、蓮だけの部屋だからだれも、こないぞ」
〈ガチャ〉
その部屋は、10畳ぐらいの部屋。
男の子の部屋って汚いと思ってた。
以外とキレイ…。
「ここ、実は5人部屋なんだよな〜」
「舜斗、僕がきなちゃん持つ布団しいて」
舜斗が、雪ちゃんに私を渡そうとする。
やだ…!舜斗に抱いといて欲しい…!
「きなちゃん…」
雪ちゃんは、私の気持ちが分かったのか、複雑な顔をして、布団を出し始めた。
布団を敷きおわると、舜斗は、私を寝かした。
もうちょっと、抱いといて欲しかったな…。
「蓮、手際いいな…」
「幼稚園のころ、よくきなちゃんの喘息の世話してたから」
「ふ〜ん。」
舜斗は、私の横にストンっと座った。
「紀奈紅…大丈夫?」
「うん…ハァ…ゲホッ…」
舜斗は、私のおでこをコツンっと人差し指で触った。
「嘘つくなって!」
舜斗は、ニコッと笑った。
ドキッ
うれしくなる…。
苦しくなる。
「あ、ちょっと、トイレ」
舜斗は、立った。
「蓮、紀奈紅のことよろしくな」
雪ちゃんは、うなずく。
〈ガチャ〉
舜斗が、出て行った。
何で、こんなに寂しい気持ちになるんだろう。
「さ・て・と…」
雪ちゃんが、私をジッと見る。
そ…そんなに見つめられたら…恥ずかしいよぉ…。
「二人っきりだね♪きなちゃん」
え?
「ちょっと、お話し聞いてくれる?」
雪ちゃん…?
3日に一回が目安なのに更新しまくってますね…m(_ _)m
すいません…。