第16話 絶望
「夜空達の過去」を消しました…。すいません…。いつかは復活させるつもりです。
私はしばらく固まっていた。
“アリエナイ”
その考えだけが頭をよぎった。
私が…死ぬの??
後…1年で…。
なぜ死ななければならない?
私にとってはありえないことだらけだった。
本当に。
「美虎さん…」
どれぐらいたっただろうか。
やっと私は口を開いた。
美虎さんは安心顔を一瞬した。
「私…後1年ですか…??」
美虎さんが申し訳ないように言う。
「そう…」
頭の中であの考えがまた現れる。
“アリエナイ”
涙を出したい。
「あれっ…?」
涙が出てこない。
まるで…泉が乾ききったような…そんな感覚。
今…竜牙の気持ちが分かったような気がした。
自分が絶望に立たされたときの気持ち。
ヤダ…。
私は拳を開く。
汗びっしょりの…手。
「紀奈紅ちゃん…」
美虎さんが静かに言う。
私は笑顔で答える。
「ありがとうございました。さようなら」
お辞儀をして部屋を出て行く。
「待ちなさい!」
今の私には聞こえない。
いっそのことどこかに消えてしまいたかった。
暗闇に―
外は暗くなっていた。
私はうつらな目を空に向ける。
“ホシガナイ”
“クライ”
“ツキモナイ”
頭がおかしくなりそうだった。
でもそれを止めたのは―
「きなちゃん!!」
この声…。
「雪ちゃん…?」
私はうつらな目のままその人のほうをむく。
その時の雪ちゃんの顔は今までに見た事がないぐらい悲しそうな顔をしていた。
「どうしたの…?きなちゃん」
雪ちゃんの可愛らしい顔が歪む。
私は雪ちゃんに抱きついて泣き叫びたかった。
でもそれはできない。
誰にも話せない。
誰にも打ち明けられない。
私だけの秘密。
「何にもない」
私はまたユラッと動き出す。
真っ青な顔をした雪ちゃんが止めにきたけど今の私には通用しない。
雪ちゃんは…悲しそうなでも…悔しそうな顔をしていた。
夜の街にきた。
キャバクラや見るのもいやになる店がいっぱいある。
でもそれは昔の私。
今はここで遊んで全てを忘れたかった。
「おっ!!可愛い子発見!!」
男が近づいてきた。
私はとびきりの笑顔をみせた。
「私と…遊んでよ」
男が言う前に私は言った。
男の顔が笑いで歪む。
「その代わり大人数で」
男は不服そうな顔をした。
「…いいぞ…」
そして全員彼女持ちの子を連れてきた。
たぶん私と二人っきりで遊びたいらしい。
「行こう」
男の手を握る。
タバコ臭い匂いがする。
「オレの名前は雨宮 瑚絽都。お前は??」
「鹿王院 紀奈紅」
男の目がカッと開く。
「オレのことこれから瑚絽都ってよんでくれよな。紀奈紅」
男のズボンに目を落とす。
汚い…。
「その制服は京蘭校だろ?」
瑚絽都が私の制服を指して言う。
「そう…京蘭…」
瑚絽都はハンサムな顔をしている。
うっとりするぐらいだ。
「今日は二人だけで遊ぼ…」
私は甘えた声を出す。
もう…ヒトと会いたくなくなっていた。
「あぁ」
瑚絽都が私の腕を引っ張る。
あぁ何でこんな奴を信じられるんだろう。
私の頭がおかしくなってるせい…?