第15話 宣告
「こんにちわぁ…」
私は少し遠慮しながら声を出す。
「来てくれたの??」
そこにいたのは黒髪の美しい女性。
うっとりするほど綺麗。
そして私の目標のヒト。
「はい!美虎さん!!」
美虎さんはホッとしたような顔をみせる。
「ほら…前に…来てくれなかったでしょ??」
「あ…あれは時間がなかったんです!!」
後ろでじぃやがため息をついているのが分かる。
だって本当は舜斗達と文化祭の準備してたんだもん。
「―っで…舜斗はこの頃どんなかんぢ??」
美虎さんは舜斗の母親。
『あいつ超ウザーイ!!』って舜斗がいつも言ってるけど私は美虎さんのことが大好きなのを知っている。
「そんなにあっりませ〜んよぉ!怪我もしてませんしぃ♪」
「ふ〜ん。ならいいのよ♪」
美虎さんは私の様子を見る。
「お嬢様。わたくしは外でまってますね」
じぃやは待合室にもどって行った。
美虎さんがニヤリと笑う。
「あたしが…聞きたいのはそっちじゃなくてぇ」
私もニヤリと笑う。
「私と舜斗の恋…ですかぁ??」
「そうよっ!!!!!!!」
美虎さんは私が舜斗のことをスキなのを知っている。
中2のときに口が滑ってしまったのだ。
でも今は言ってよかったと思ってる。
いい相談相手になったからね!
「小学校の頃から変わってませんよぉ。ぜんぜ〜ん進展なしぃ」
「うそぉ。あたしが紀奈紅ちゃんぐらいのときはもう舜也とラブラブだったわよぉ」
美虎さんが勝ち誇ったように笑う。
「でも…私だって…」
言い返せない…。
おもわず半泣きになる。
「私って…ダメなのかなぁ…」
「ダイジョウブよ!!ゆっくりなれときなさい」
私は涙をふく。
「ですよねぇ!!」
「そうよっ!!」
その時私の頭にある考えがよぎる。
“ワタシハイツマデイキラレル??”
私はその考えを消すように首をふる。
しばらく…沈黙が続く。
「…検査…するよ…??」
沈黙を破った美虎さんの声。
「………は………」
“はい”
この言葉が出てこなかった。
寿命を聞くのが怖かった。
私の手に汗がにじむ
“ワタシハイツマデイキラレル??”
“コワイ…”
“シニタクナイ…”
目の前がぐらっとした。
『ダイジョウブ』…。
「はい」
焦点が合わない目を美虎さんに向けた。
「分かったわ」
“カクゴハシナキャ…”
―1時間後
美虎さんが座っている椅子が〈ギー〉と鳴る。
緊張が頂点に達した。
心臓の鼓動が早くなる。
〈ドクン…ドクン〉
私は美虎さんの顔をみなかった。
怖くて…見れなかった…。
「…紀奈紅ちゃんの寿命は…」
私は拳を握り締める。
“コワイ!”
“コワイ!”
「あと…約1年…で…死ぬ…可能性が99%…です…」
その瞬間目の前が真っ暗になった。
“ワタシアト1ネンデシヌノ??”
“コワイヨ…”
“シニタクナイヨォ…”
“モット…”
“モット…”
“シュントトイッショニイタイヨォ…”