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プロローグ

ここは、一生ジャンクシティ、通称ゴミック。

その名の通りゴミみたいな、終わってる、使いものにならない、弱い存在が寄り添って暮らす、古い街。

このゴミックに能力者は居ない。奴らは、優れた街で有意義に暮らしている。

このゴミックで満足してる奴らの有意義とは大違い。金、権力、欲望のかかり方が全然違う。

もう、なんでもしちゃってるしー、ヤバイのだ、優れた街の連中は。


「なあ有名なコジマタケシ、知ってるか?へへっ俺がいいこと教えてやるよ

もちろん条件は、アイスクリームとエロ本と寝る場所、そして優雅に舞うことも重要だな」


そんな終わってるゴミックの義務教育施設、港高校である取引が行われていた。

この施設は、10歳になってから義務で入学し、10歳で卒業するというマジモンの愚か者が入る施設である。

こう見ると本当に終わっていると思うだろう。

だがしかし、授業内容は、落語のみという、落語ファンにはたまらない作りとなっている。


「なんて?もう一回言って聞き取れなかった」


「お前、やばない?」


このガキ、コジマ・タケシは、この世界の誰よりも集中力が無なのだ。無いとかじゃなくてもう無なのだ。

勉強、スポーツ、ましては娯楽も、全部一瞬でやめてしまう。

主に3大欲求を重点に生きていて、自慰、食う、寝るを得意とする。

と言っても一応、常識と恥じらいはあるようで、人前で自慰をすることはないようだ。

取り柄は、容姿端麗。黒い髪と黒い瞳、長身、イケメンなのだ。


「物々交換しようってこと」


「ああ、最初っからそう言えよ、いいよ、はよして」


こいつは、タケシの友達ではない。名をヴァルトハーゼ、貧乏で家がない人だ。

こいつももちろん容姿端麗、金髪、レッドアイ、長身でイケメンなのだ。


「じゃあ、、、、知ってるか?コーヒー飲むと勉強が捗るらしい」


「へえすげえ、早速家で試すか、じゃあ金とカギやるから物はどうにかしてな」


「お前、カギ渡したら家で試せないじゃん、馬鹿かよ」


正直タケシは、自分で何言ってるかなど覚えてはいなかった。


そのまま何事もなかったかのようにさっさと帰り始めるタケシ。そして、しなやかな歩行、なのに疾風のような足並み、そして天空を辿るヴァルトハーゼ。

この時ヴァルトハーゼは、何故か『能力者』に成っていた。



ーーーーーーーーーーーーーーー


「ついたぞ」

「おう」


そこには、とても大きな城があった。

隣の4階建マンションと張り合っている。


「ていうかさ、お前だれなん?俺物覚え悪いんよ」


「俺?俺は、ヴァルトハーゼ、貧乏だ。」


「ああ、失敬、俺は、タケシ、勉強が出来ない、城住みの男だ。」


そしてタケシは、足元にあった、ブラックコーヒーに手をとった。

ちなみにまだ城に入っていない。


「グビグボイ」


「いい飲みっぷりだねえ、よっ大統領!」


その時だった。タケシの視界がぼやけ始める。


「なんだ?なんだ?突然、メガネが曇ったぞ、えっとえろお、拭かないおおおお」


「え?曇っとらんが」


そう、別に曇っていない。ただタケシの視力が異常をきたしているのだ。


「嘘だぁおお?だてらんだじゃん」


「何言ってんだよお前、大丈夫か?変なもんでも食ったか?」


タケシは、腕が上がらなかった、メガネも外せないし口も何もかも『操作』できなかった。

しかし、そんな中でもタケシの頭の中は、クリアだった。


(俺・・・いや、違う。一人称から違う気がする。

今この時より我は、完全に変異してしまった。それでも本質、即ち己のルサンチマンは、一切変わっていない。

我は、今でもゴミックが優れていると、確信している。この底辺が究極に高い位置にあると。

だかしかしなぜだろうか、この快感は。どうしようもなく弱い立場の主張だった我が

コンプレックスの塊だったこの根性が、心の底から快感なのだ。

もう『きみルサンチマン酷いよ』『我ギギギなり!!!』ではない、これは新たなる希望のルサンチマン、

その名も、全能感覚、何も出来ないはずの我が全てを覆せるような感覚。

もはや、ファイナル<全能感覚>なのだ。今こそ、己の覚醒の時。いざゆかん、究極の世界へ。)


「いふぇんのふぁん、・・・い、ざ、ゆ、か、ん・・・」


「はあ?だから・・・」


瞬間、タケシは、自らの状態の変化を察して、いつもの10+1000倍のスピード、3秒くらいで終わる気持ちで考察を始めた。


(我の体は、まだ変化に追いついていない。そして皮肉な話だがそのまま追いつけない、何故なら今この場で死ぬのだ、そう)


「ちょっとそこの二人、質問いいかしら?」


田舎の異端審問会の総督、アゼル・ザ・シュバイン・組子がタケシ達の前に現れた。


「誰?俺貧乏ね、こっちが馬鹿、イカれちゃったんだよこいつ」


「・・・(もう終わったな、しかし実に快感だった、このまま死ぬのも悪くない)」


「あなた達、異端でしょ?ぶっちゃけ早く帰りたいのよ」


装置がビンビン音を鳴らしていて異端を示している。

未登録の能力者が今死のうとしているのだ。


「俺貧乏だし、ありえねえってそれ壊れてるでしょ?」


「ごめんめんどい」


薄々と刀の塊が城の前に現れる。このままタケシ達は、でっかい一つの刀の塊に成ろうとしている。

残念だがタケシとヴァルトハーゼは、ここで死ぬのだ。


「なあ、なあ、なあ、お姉さん、約束してくれねえかな?俺貧乏でさ、アイスってやつを食べたいんだわ」


「無理ね」


「じゃあ、エロ本が見たいんだわ。」


「それも無理」


「じゃあ、もし俺が死んだら、叶えてくれよ、すべて、一生」


「・・・いいわ、いいから早く死んで頂戴」


数秒後、楽勝で城の前に刀の塊が1つ出来た。

もちろん2つの命がこの世から消え去った・・・



しかし



「はああ?」


そこにあった刀の塊は、ぶち壊れて、


「何か」が生まれた。それは、決して存在してはならない者、これはもう人ではない。

甘い匂いとエロスが混ざり、その姿は、まるで願望欲望、これこそが最後である。、



「我は、アイスクリームエロ本マン、全能の力をもつ貧乏だ。すべてが快感だ」



イカれた野郎と田舎の異端審問会総督は、睨み合う、まさに今すべてを掛けた最終戦争が始まろうとしていた。

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