異界を知る(3)
「ザバァーン」
「うわぁ!?」
「いい加減起きろ。」
衝撃がいきなり襲いかかり、反射的に上半身を起こした俺に冷たく言い放つ女性が一人佇んでいた。その手に桶を持って・・・
「やっと起きたか・・・。全く、私もそんなに暇じゃないんだ。」
桶を適当に側の井戸の近くに放り投げる。
その人は一言で言うなら戦士だった。
あまり着心地の良さそうではない少し茶色が入った白の半袖の服と茶色の膝上までの長さのズボン。その上に、何らかの革で出来た鎧を着ていた。鎧と言っても全身にではなく、部分的なもので胸から腹、肘、股間部分に膝まであるブーツの様な物、動きやすさを重点に置いたような鎧だ。
そして何より、腰にぶら下げている物が目を引く。
誰がみてもそれは剣であった。
その現代人にとっては奇抜としか言えない様な服装に気を取られて呆けていると
「おい。まだ寝てるのか?」
座り込む俺に視線を合わせるようにしゃがみこみ顔を覗き込んできた。
そこで初めて顔をはっきりと確認できた。
そこには20歳前後くらいの美人が居た。
肌は少し焼けてる程度であまり気にならないが、俺が気になったのは瞳だった。その瞳は澄みきった緑色だった。
(綺麗な緑だな~。緑の瞳なんて実際にいるだね~。
それに、スタイルが・・・・)
思わず心の中でガッツポーズしてしまうほどだった。
胸は鎧のせいであまりわからないが、胸がわからずとも他の部分は鎧が体にフィットしていてもろにわかる。
腕や足、そしてウエスト。無駄な肉がついておらず、かといって女性特有の柔らかさもある。見事なモデル体型ではなかろうか?
そして、その見事な体に威勢の良い顔つきと言えば良いのか、とても凛々しいと言うか野性的、と言える美しさを持つ女性だった。その野性的な美人に緑の瞳で見られると思わず緊張してしまう程の美貌を感じた。
「あ、い、いや起きまし・・・た!?」
「な、なんだ!?」
俺の上げた声に驚いて立ち上がり、俺に背を向けて剣をいつでも抜けるように手を添えて周りを見渡し始める。さっきまで見えなかったが、後ろの腰、お尻の少し上にポーチが付いていた。
そんな後ろ姿も格好よく、そして美しい。
が、そんな事は関係ないとばかりに俺は、一点に目を向けて固まっていた。
それは彼女の髪の毛。
明らかにその髪は異常だった。
緑の瞳ならば、外国人に居るかもしれないが、この髪はいくら探しても地球には居ないだろう。彼女の髪の毛は・・・水色だった。
確かに髪の毛を染めてしまえばそのような色にするのも可能だろうが、わざわざ水色なんかに染める奇抜な人はそうはいないだろう。
何より彼女の髪は腰まである毛先から根本まで綺麗に水色なのだ。
俺は髪を染めたことがないから余りわからないが生え際なんかは多少地毛の色が見えても良いはずだ。だが、彼女の髪は違う。
そして、不自然さがない。水色なんて色の髪をしていれば多少の違和感を覚えても良いはずなのに、全く感じることはない。
「なんだ。一体?何に驚いたんだ?」
再び俺へと視線を向けて訪ねてくる彼女。
「い、いや。すいません。水色の髪を初めて見たもので・・・つい驚いてしまいました。」
「ん?そんなに珍しい色でもないと思うが・・・。私の髪より君の髪の方が珍しいと思うぞ?」
「え?俺ですか?」
前髪を摘まんで視線を上にやって自分の髪を見る。
そこには生まれてこのかた染めていない黒の髪があった。
「普通だと思うんですが・・・?」
「いや、まぁそんな事はどうでも良い。
それよりも、君はなんで森の中に?しかもそんな上等な服で武器も持たずに・・・死にたがりか?」
上等な服?普通の白のTシャツに一応綿100%のジャケットを羽織っていて、下はジーパン。そんなのが上等な服なのだろうか?
武器?そんなの持ってたら捕まりますよ?
(・・・うん。これはもう決定かな~。ここは・・・・異世界・・・。)
「え~と・・・・・・・・・・」
(何をどう言えば良いかな?真っ正直に「異世界から来ました!だから服はこんなだし、武器なんて必要ない場所から来たので持っていません!」とでも言えば良いかな?
・・・・あり得ないでしょ。却下!)
「ま~言いたくないなら別に良いんだが・・・君は・・・あ~名はなんと言う?」
「あっ、す、すいません。えっと、先ずは助けてもらったようでありがとうございます。」
慌てて立ち上がり周りが森では無いことに今更ながら気付き、頭を下げる。
「それで、俺の名前は・・・」
そこで再び固まる俺。何故か自分の名前が出てこないのだ。
(あれ・・・・なんで・・・・。俺の名前は・・・。名前だよ・・・自分の名前だよ?
それが・・・なんで・・・なんでわからないんだよ!?)
「どうした?まさか名も言いたくないのか?」
「イヤイヤ。そうじゃないんですけど・・・」
問われてなんとか自分の世界から戻ってくる。
「えっと・・・それが名前が・・・わからなくてですね。」
「名がわからない?」
「はい。」
頷くと同時に項垂れる。
「ん?そう・・・か・・・それは~、記憶が無い?のか?それなら《ソウル》はわかるか?」
「そうる?」
(また訳のわからん・・・・あっ頭痛が・・・。)
「ソウルもわからないか。やはり・・・記憶が無いようだな。」
もうその手で行くしかないかな。と判断して慎重にボロが出ないように言葉を選ぶ。
もっとも、後で気づいたのだが髪の色に驚いた時点で記憶喪失が嘘だとばれる可能性が大だったのだが。
「え~っと。多分?そんな感じじゃないかなって・・・」
「ま~そうだろうな。名もわからず、ソウルもわからないなんてあり得ないからな。
さて、さっきから話に出ているソウルの事だが、生憎私も忙しい。簡単に説明だけする。そのあとは私の部屋で待っていてくれ。」
(へっ部屋で!?!?)
「い、イヤイヤ。それはちょっと不味い気がするんですが・・・」
「別に変な理由じゃない。それにこの村で変な噂などたたないよ。
記憶が無くてもその辺の、変な事はわかるんだな?
まぁ、別に良いが。
では、早速。先ずどちらの手でもいいから胸の中心に手のひらを当てる。そして・・・《ソウル》。」
そう言うと彼女はゆっくり手を前に出していくと、胸から一枚の青いカードが現れる。
空中に浮いていたカードを手に取り、
「これがソウルだ。ここには色々と自分の事が書いてある。名は勿論の事だが最も特質すべきなのは『強さ』が書かれていることだ。」
(なるほどなるほど。では俺も早速・・・)
「えっと。《ソウル》?」
そう口にすると右手をおいていた胸から何かが手を押しながら出てくるのを感じる。
そして、目の前には一枚のカード。それを恐る恐る手に取ってみる。
「よし。では、一番上に名が書かれているはずだ。」
「えっと。蒼?って書いてあります。」
ん~。全く持って聞き覚えも何もない。ホントにこれが俺の名前?と言うのが正直なところだった。
「そうか。ソウというのか。私の名はシェイラルカ。よろしくな。」
ニッって感じで笑う彼女。シェイラルカの初めて見る笑顔だった。
「よっよろしくです。」
「ああ。それでソウルの消し方だが、これといってない。一度手で持ったら、手を離してしまえば勝手に消えてくれる。」
そう言って地面に落とすようにソウルを手放す。
すると地面に落ちる前に光の粒になって消えていく。
「なるほど。」
同じように俺もソウルから手を離す。
そして同じように光の粒になって消える。
(おぉ。なんかキレイ!)
「さて、自己紹介も出来たしそろそろ行こうか。こっちだ付いてきてくれ。」
そう言って身を翻して歩きだすシェイラルカ。俺は慌ててその背を追いかける。
彼女の後を付いていきながら周りをキョロキョロと見渡す。
とても小さい村で、さっきまで居た井戸のある場所から村全体を容易に見渡すことができる程小さい。
道は土のままだし、家もはっきり言えば粗悪。
まぁ、一軒だけ少し立派な家はあったが、現代日本出身から見ればそれも質素である。
「寂しい村だろう?」
「いっいえ。穏やかで良い村だと思います。」
考えが顔に出てしまっていたのだろう。シェイラルカに話を振られて慌てて否定する。
「別に良いさ。本当の事だからな。
さ、着いた。ここが私の泊まっている宿だ。」
そう言って立ち止まったのは他の家と変わらない大きさなのに宿だと言う。
(部屋在るの?)
そう思いつつ彼女に続いて宿の中に入る。
宿に入って直ぐ横にL字型のカウンターがあり、その横を通って行くと左右に一部屋ずつあった。
部屋はとても狭く、恐らく四畳程しかない。
そこにベッドだけが置かれていた。
宿の一室。
案内を済ませたシェイラルカは、用を済ませてくるといって再び出ていった。夕方には帰ると言っていたのでもう少し時間はあると思う。
そこで再び状況整理をしようと落ち着けて考えれるように座る場所を探す。
だが、椅子がない。あるのはベッドだけ。
「さ、流石にベッドは・・・不味いよね。
そ、それに、さっき水をかけられたのが乾いてないしね。仕方ない。そうだよ。仕方ないんだよ。」
自分はへたれじゃない!気遣いの出来る紳士なんだ!と自分に言い聞かせて、壁を背もたれにして床に座り込んだ。
先ずは彼女に感謝。
こんな見ず知らずの男を助けてくれるだけじゃなく世話まで焼いてくれて・・・
現代人じゃあり得ないだろう。可哀想と思いながらも見て見ぬふりをするだろうし、俺もそうするはずだ・・・。
(良し!じゃあ先ずはやはりと言うかなんと言うか、ここは異世界でした。から始まるよね。
流石にソウルなんて物を見せられたらね・・・。
他にも色々とあったけど現代でも説明できないこともないからな~。
唯一あの生物が説明に苦しむぐらいだ。)
異世界と理解して、慌てたり落ち込んだりすることなく、ワクワクしていた。
だが、ワクワクしていて油断すると、あのモンスターとしか言えないような奴等に殺される事になるだろう。
少し前の実体験のように、あれはかなり危なかった事を思い出す。
(あの時は危なかったよな~。
・・・・・・・ん!?あれ!?腕が痛くない!!!)
慌てて噛まれたはずの腕を見てみる。
服は破れているが、その下の肌はどうにもなってなかった。
「嘘だろ?治ってる・・・」
落ち着け。と自分に言い聞かせる。ここは異世界だ。
異世界ってことは魔法もあるに違いない。
魔法じゃなくてもスッゴク効く傷薬的なものがあってもおかしくない。
多分これもシェイラルカが治してくれたんだろう。
(あとで新ためてお礼言わなきゃ。
じゃあ次!
店に入ってからの記憶はやっぱりないな。
それに名前も・・・。他の人の名前は・・・やばい。これも出てこないじゃん。)
思わず頭を抱える。
なんで記憶は残ってるのに名前だけが?それも人の名前だけが記憶から抜けている。唯一関係は覚えているのが救いだろう。
姉の名前はわからないが、顔は覚えてるし姉ってこともわかる。
だから会えば万事解決!とは行かなくてもなんとかなるだろうと判断する。
それにここに来たことがそもそもの原因ならばもとの世界に帰れば大丈夫だろう。
来れたのならば、帰る方法も必ずあるだろう。
それはさておき、此れからどうしたものかと言うことだが・・・。
取り合えず姉がこっちに来ているとしてもあの姉のことだから大丈夫だろう。
恐らく俺を探し回るか、異世界と気づいて帰る方法を探すか。
それじゃあ俺もそうすれば良いだろうと判断して、次の事を考え始める。
(同じことしてれば噂が流れたり、どっかでばったり出くわすなんて事になるだろうし?
さて、取り合えず目標はこれで良いだろう。それじゃあ~・・・いよいよこれだな。)
「《ソウル》。」
ここが異世界ならば、あの異様な生物はモンスターってところだろうから、姉を探すにしろ帰る方法を探すにしろ戦う力は必要だろうと思い、自分の強さを確認するためソウルを取り出す。
(さっきは名前しか見てないし・・・
むぅ~~~???)
ソウルを確認すると
名前:蒼 年齢:18 性別:男
レベル:1 称号:狭間を越えし者 職業:なし
SP:10
腕力:B 脚力:B
俊敏:B 知能:S(C)
魔力:A 体力:S
精神:S(D)
習得技能
調理:4 格闘術:1 刀術:1
異界の体術:1
習得性質
技能獲得システム 性質獲得システム バーサク
戦技
格闘術:砕脚
魔術
なし
(え~・・・、先ずツッコミたい・・・なぜ18歳???まぁ若くなるのは悪いことではないんたが・・・なんで?
それに、レベル上がったっていってたのに1じゃん。なんで?)
結局答えなんてわかるわけがないので、異世界だからだろう!と言うのと、レベル0スタートだったのだろうと強引に考えを打ち切る。
ステータスは数字ではなくランク?形式のようだ。どの程度なのかわからないが、雰囲気からして悪くはないだろう。
だが、知能と精神の括弧が気になった。
これはあとでシェイラルカに質問する事で解決できるだろう。
他にも所謂スキルらしきものと攻撃技らしきものがある。
大体の物が説明無しでも予想できたる。
『料理』はそのまま料理に関する技術だろう。
『刀術』と『格闘術』は現代で習った古流剣術と空手の影響してのことだと予測出来る。横の数字もレベルと予測出来る。
どちらも頑張って通っていたのだが基礎しかまともに出来なかったのでレベル1で当たり前だろう。
『異界の体術』は、古武術だと思われる。
これも才能が無かったのだが、古流剣術や空手より酷く、基礎すら完全には出来なかった苦い思い出がある。
次に『バーサク』。これはなぜ有るのかは判らないが、効果は雰囲気で判る。
だが、2つだけ予想が難しい物があった。
『技能獲得システム』と『性質獲得システム』だ。
(ん~。恐らく技能や性質は『経験』をして獲得するものだろうけど、わざわざこうやって表記するってことはそれとは違うシステムってことかな?
でも、どうやってこのシステムを使えるんだろう?いや、そもそも使えるものなのかな?)
ソウルを片手に首を傾げる。
ふと、こういう異世界ものの定番でどうにかなるかな?と思い実際にやってみる。
(先ずはっと、頭の中で説明が出るように考えて・・・じゃダメか。え~っとあとは、あぁ・・・一番手っ取り早い・・・タップ!おぉ!出た出た。何々?)
タップをしてみるとソウルの表示が変わる。
どこかでよく見るように右上にバツマークがあり、タップした『技能獲得システム』の名前と説明が書かれていた。
書かれている内容は・・・
技能獲得システム
SPを使用して技能を獲得することができる。
技能のレベルを上げることも出来る。
かなり簡単な説明だけであった。
そしてその説明の下の方に『技能を獲得』と書いてある。早速とばかりにタップしてみる。
するとまた表示が変わり、ズラッと技能が書かれていた。
(わお!てっきり技能を確認とか視認とかしないと駄目かと思っていたんだが・・・多分これは全種類あるな。
なんたるチート!!!チート万歳!!!)
年甲斐もなくはしゃぎ、早速とばかりに指で上下に動かすと表示がスクロールされて色々な技能が表示される。
こういう世界では必須だろうと自分が思うのは鑑定のような感じの技能だったので探してみる。
すると、それらしき物を発見できた。
『鑑定』、『診断』、『分析』。
名前だけじゃ判らずタップしてみるが、表示されるのは消費されるSPと獲得するかの確認メッセージだけだった。
(むぅ。どうしよう。消費されるSPはどれも1だし、3つとも獲得出来るけど・・・でも先に他のところも確認しとこう。)
表示を最初のステータスまで戻す。
確認の為、他の技能や性質をタップしてみる。するとちゃんと説明が表示される。
それを確認すると次に『性質獲得システム』をタップして獲得出来る性質を表示させる。
(色々あるな~。おっ。これとか面白そうだな~。)
ふと、目が止まったのは『戦技創造』と『魔術創造』だった。
(うげ。SP足りないじゃん・・・。ま~見るからに強力だしな~。30Pか~。どう足掻いても今は無理だね。)
他にも無いかと色々見てみると、『SP還元』と『SP獲得値上昇』があった。
SPの獲得方法がわからないけどどっちも必要だろう。
そう判断して消費SPを確認する。
どちらも消費SPは5。どちらも獲得出来るが、SP獲得方法が判断できるまでは『SP獲得上昇』は後回しにしようと判断して『SP還元』を獲得してみようと思い立つ。
これでもし間違えて獲得したり、思ったのと違う物を獲得してもやり直せるだろう。
(よし、これで一番最もらしい名前の『鑑定』も獲得してみよう。)
そうして、『鑑定』も獲得して、『SP還元』と『鑑定』の説明を確認する。
SP還元
習得した技能と性質を失う変わりにSPに還元することが出来る。
鑑定
物質の名称、説明や用途、作成されたものの場合は作成者を知ることが出来る。
狙い通りの効果で思わずニヤリとする。
(あと残ってるSPは保留に・・・いや・・・待てよ『バーサク』は最初から持ってたけどこれは還元できるのかな?)
そう思い『バーサク』をタップしてみる。
すると、先程までなかった『SP還元』の文字があった。
『バーサク』の効果はちょっと気分的に好きになれない。
そんな『バーサク』の効果は
バーサク
精神が不安定な状況が続くと自動で発動。
痛みをあまり感じなくなり、敵を排除出来るまでか、体に限界が来るまで攻撃のみ行動する。
(う~ん。好きになれないな~。
よし!還元だ!)
するとSPが19に変化する。
つまり、『バーサク』の還元Pは15Pと言うことだった。
早速とばかりに『鑑定』のレベルを上げることにする。
(レベルはどうやって上げるんだろう?)
『鑑定』をタップして隅々まで見てみるが、それらしきものは見当たらない。
(ん~。まさかあの獲得出来る物の一覧からまた探さなきゃいけないのか?
それは、めんどくさいな~。もっと手軽にレベル上げたい・・・。お!?)
などと考えていたら表示が変わった。
『鑑定』のレベルを2に上げますか?
消費SP2
驚いて慌ててOKをタップする。
すると、ステータスの表示がSP17に、『鑑定』のレベルが2にそれぞれ変わる
。
そして確認も兼ねてもう一度レベルアップの表示を出そうとする。
(最初のステータス表記のところから出来るかな?
『鑑定』のレベルを上げたい。と考えれば・・・おぉ。出た!
消費SPは3か。レベル毎にプラス1で上げれるのかな?試しに『剣術』は・・・
2Pか。多分プラス1だろうな。
一応『調理』は・・・9P。うん。プラス1だね。んじゃあ取り合えず『鑑定』のレベルを上げよう。)
そう考えて『鑑定』のレベルを5まで上げる。
SPを12消費して、残り5Pになった。
もういいかと思ったのだが、ふと『SP獲得値上昇』もとっておくべきかと判断して、習得しておいた。
これでSPは0になった。
確認はこんなものだろうと思い、ソウルを消して今日の出来事を振り返る。
(疲れたな~。色々といきなりが多かったし・・・。いきなり森の中だし、いきなり襲われるし、なんとかアイツは殺せた・・・け・・・ど・・・。
あっ!なんか普通に今までスルーしてたけど・・・俺生き物を殺したんだ。
でも、なんか実感がない。死んでる姿も見てて、頭が無くなるまで踏んでいたのが自分だとちゃんと認識もしてるのに・・・なんかこう夢の中の出来事みたいにしか思えないんだよね。
多分、『バーサク』が発動してたと思うからその影響かな?
ってかあの時に『バーサク』を獲得したんじゃ・・・
なんにしてもこれから先に通常の精神状態で殺したときが問題かな?心構えだけはしておこう。効果があるか判んないけど・・・
さて、次は・・・・・
あぁ。そう言えば普通に言葉通じてたな~。また異世界なのに日本語ってのが笑える。
百歩譲っても英語辺りだろうに・・・)
今更ながらの異世界摩訶不思議現象を思い、苦笑を浮かべた時、
「帰ってきたよ~。」
シェイラルカが帰ってきたのだった。
「私疲れてます!」ってオーラを全快に放つ彼女を出迎えるため立ち上がる。
「お帰りなさい。シェイラルカさん。」