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完全″全″欠  作者: ル・ヴァン
降り立った世界
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異界を知る(2)

 呆然としていたがそんな場合では無いとふと我に帰る。

「イヤイヤ。呆然としていてもどうしようもない。兎に角状況を整理しよう。先ずはここが何処かってのは・・・まぁわかるはずもない。そもそもこんな生物が居るなんてこと事態があり得ないんだけど・・・。」

 とさっきまで踏み続けていた生物を見つめてみる。

 いくらもう異様な頭部が無くなったとは言え、他の部分も異様でしかない。

 そもそも浅黒い緑色の肌の生物なんて存在するのか?まぁ、現にこうして目の前に居るんだから居るんだろうけど・・・。


「ん~。何かの突然変異とか?かな?」

 考えて出た答えがそれだった。それ以上はどうしようもないので考えを切り替える。

 ここが何処かはわからないまでもどうやってここにきたのかだが・・・。


(これもわからないな。そもそも俺は何をしていたんだったっけ?たしか・・・。朝起きて、姉ちゃんと店に行ったんだよな。そして、店の裏口から中に・・・入って・・・。えっ??そしてここに居る???どゆこと????店に入ったらここに出た?????イヤイヤ。あり得ないよ。・・・・結局これもわからないとしか言えないよな。でも、記憶はハッキリしてるから店に入って何かがあったと見て間違いないだろう・・・。ん!?!?ってことは・・・。姉ちゃんは!?!?)


「姉ちゃん!?何処に居るの!?近くに居るんでしょ!?」

 慌てて呼び掛けてみるが返事はない。

(まっまさか姉ちゃんもさっきの奴に襲われてもう・・・。)

 最悪の状況を想像して顔を蒼白にする。

「い、いや。だ、大丈夫だ。何てったってあの姉だ。空手に古流剣術と古武術までも免許皆伝何て言われてるんだ。そんな人が俺ですらなんとかなった奴にどうこうされるとはとてもじゃないが思えないし。」

 取り合えずそんな姉でもやはり心配だが俺がどうにかなったら、最悪死んでしまったらどうにも出来なくなってしまう。


(取り合えず次だな。訳のわからない状況でさっきの音に声。さらに訳がわからなくなって逆に少し落ち着くことが出来たけど・・・。

はぁ~。そもそもレベルって・・・。ゲームかよ。でもハッキリとこれがゲームじゃなくて現実なのはこの腕の痛みで嫌ってほどわかるし・・・。だとすると・・・。まさかの異世界?確かに多少剣と魔法なんてものに憧れはあったけど・・・。

まぁ、取り合えず異世界に来たと仮定して、レベルがあるんなら・・・)


「ステータス。」

 ともしかしたらステータス的なものが出るかと思いそれっぽい言葉を呟く。

が、何も変わらない。

(ん~。そもそもそんな事は起きないのかそれとも・・・)

「メニュー。状態。参照。鑑定。診断。」

 思い付く限りのそれっぽい言葉を並べてみるが、結果は同じ。

(他の方法も試してみるか。)


 そう思い手を上げたり、降り下ろしてみたり、指を鳴らしてみたりした。他にもジャンプ、合掌、額に手を当ててみたりと色々、それはもう色々とやって見たがなにも起きない。

 そこまでして無理と判断する。何かしらの方法が有るのかもしれないが、今それはわからない。だったらそのような現象はないと仮定しておこう。と判断する。


(状況整理はこんなところだね。ほとんどって言うか何もわからない状況がわかったって感じだけど。)

 そんな感じで考えを打ち切る。

 そして新ためて周りを見てみる。

 こんな森の中に居ていつまでも安全に過ごせるわけではない。現にさっきまで死が目前にあったのだ。

(ってか、悠長にここで考えてたらまたさっきみたいな奴に出会うかもしれないじゃん!?急いでここを離れなきゃ。)

 最初にやらなければいけなかったことを今さらながら理解していそいそと行動を起こす。

落ち着いたように思えていたが、そんなことはなかった。

 急いでその場から離れていくが方角も何もわからない。

 太陽を見ることが出来れば恐らくではあるが方角もわかったのだろうが、生憎の森の中。上を見上げても見えるのは枝や葉ばかり、影を見てみるがそれも木に遮られていて森の中は薄暗く、影など見る事は出来なかった。

 方角がわかったとしてもどの方角に行けば良いかわからないのだが。

 溜め息を吐いて仕方なく気だるく重い体をなんとか動かして適当に歩きだした。



 道無き道を進んでいた俺だったが、流石に限界が訪れる。

 腕の血は既に止まっていて命の危機は恐らくないだろう。感染症なんてものがなければだけど・・・。

 限界に来てるのは体力と精神。森の中なので当然足場が悪い。そんな中を恐らく1時間程歩いていて体力が限界、そして腕の痛み。歩き始めたときは困惑や興奮などの感情のお陰か余り気にすることはなかったのだが、少し時間がたったあたりから痛みが顔を出し始めたのだ。


 そして、今は余りの痛さに冷や汗が止まらない状態になってしまった。

 堪らず木に寄りかかりながらズルズルと座り込む。

(どうしよう。なんかなる!なんて思っていなかったけど、まさかこんな絶望的な状況になるなんて・・・)


 なにか助かる方法は無いかとボーッとする頭で必死に考えるが、次第に意識が無くなっていく。

 ヤバいとわかりつつも抗うことが出来ずに俺は意識を手放した。










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