旅立ち・裏
番外編です。
短いです。
すいません。・・・・・・・・(泣)
私がこの程度の地位なのは可笑しい。
そもそも私がこんな地位でなかったら、あの方はあんな奴をお選びにはならなかったのだ。私こそが相応しい・・・・
あの方は騙されているのだ。
王と彼奴によって・・・・
きっとあの方は私が相応しいと気付いてくれる。
いや、必ず気付く。気付くのも時間の問題だ。
だが、あの方のために、あの方の時間が無駄にならないようにしなければ・・・・
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先ずは私に相応しいだけの地位と領地だ。
しかし、残念ながら今は地位を上げる為に必要な事がいくつも欠けている。
だからと言って王を討つのは愚策だ。兵力も足りない。何より信用でき、尚且つ優秀な駒が必要になってくる。
故に『まだ』王を討つのは早い。
だが、領地はどうにでもなる。
この国に必要の無い者から取り上げればいい。
功績としては小さいだろうから地位の向上は望めないだろう。
手始めにあの田舎騎士のヴィンスからだ。
『騎士』など名前負けもいいところの奴だが・・・あいつの女は中々の美貌を持っている。妾くらいにはしてやってもいいな・・・・。
フハハ、あの女も泣いて喜ぶだろう。
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策を考え、一番私に疑いがかからない方法として魔物を使うことが最良だ。
裏の世界には魔物を金で買うことも出来るが、裏とはいえ足が付く可能性はある。
そう考え、周辺に野良の魔物で使える奴がいないか調べることにし、あの森の調査をした。
結果。ゴブリンの上位種、『コブリンオーク』が居ることがわかった。
そいつをヴィンスの居る村まで誘いだし、襲わせればいい。
そして、異変を感じたと言って私が颯爽と現れればいいのだ。もしかしたらあいつの女も死んでしまうかもしれんが、それならそれでどうでもいい。
コブリンオークを誘い出すのは裏の者に任せればどうとでもやってくれるだろう。
あぁ。あいつが死ぬのを間近で見れないのは残念だが、結果はわかりきっている。
その結果を思うと・・・・顔がついついにやけてしまう。
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そろそろ結果を見に行こうかと考えていると、なんとあいつの女がこの町に入ったと言う知らせが届いた。
時間的に襲われる前に村を出たのだろうとは考えられたのだが、このタイミングで、となると少し不安を覚えた。
妾にしてやろうと思っていたが、仕方なく裏の者に宿に居る間に始末するように言い渡した。
当然賢い私は物取りの仕業に見せるように言い渡した。
だが、私の計画は大いに狂わされた。
裏の者を退け、私にまで会いに来たのだ。
更にヴィンスの死の報せを持ってきた。時間的には無理なはずだ。何故?とは思うが私が顔に出すわけがない。
更に話を聞いていくと、この女はこのまま王都に行くなどとぬかしている。
そんな事をされたらせっかく私の領地になる物が王に取り上げられる。
裏の者を退けたとなると、腕に覚えのある者が付いているのだろうことは想像できる。
恐らくこの女の薄汚れた娘か、後ろの汚いハンターだろう。
たが、どんな強者であろうと油断していれば、命を落とす。私の私兵を護衛に付けて油断したところを道中で始末すればいいと考えた。
しかし、私の折角の好意をあっさりと断った。
私は怒りで二の句が告げなかった。
その隙にそそくさと出ていったのだ。
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私は諦めない。
あの方と私の輝かしい未来のために!
邪魔する者は許さない。
その夜。
私はあいつらを必ず始末すると固く心に誓い。今後の計画を練ってから眠りについた。