死闘・・・・・・??
2015/3/4
《纒龍》の説明と使用時の説明や状況の加筆をしました。
領主からの依頼を終わらせ、予定よりも多い報酬をもらった俺は、翌日から自分を強化することを考えた。
この世界は危険に満ちている。死と隣り合わせと行って良いくらいに。
なので、自分の命くらい守れるように力を付けるために、レベル上げと技能や性質などの強化を考えたのだ。
話のついでに、この辺りに生息する魔物を紹介しよう。
言わずもなが最底辺はゴブリン。あの醜態で最底辺とはなかなか実際の異世界は世知辛い。
次いで、ワルフと言う犬の魔物。これはゴブリンのように醜態な見た目ではなかったが、けして可愛いわけでもない。普通に汚い獣って感じで、ヨダレはダラダラ垂らしているし、目も血走っていて常に獲物を探している。
最底辺グループとしてはこの2種類の名前が上がる。ギルドが推奨する討伐開始ギルドランクはE。
ギルドが推奨する討伐開始ギルドランク(通称、推奨ランク)は推奨してるだけで、例えギルドランクがFでも、間引きが目的の討伐依頼ならば推奨ランクがSでも受けることが出来る。
勿論人命、人の救出や村の驚異として発生した討伐依頼はギルドの信頼に関わるので受けるのは無理だし。どんな事態になってもギルドは一切の責任は負わない。例えそれが命であっても、だ。
話がそれてしまったが元に戻そう。
次は中堅層の魔物だが、これは2種類。
1種類目はワックン。名前だけ聞くと笑えたり、聞く人によっては可愛いとさえ思うかもしれないが、その生態は厭らしいの一言に尽きる。
その生態とは、擬態である。魔物としての強さはハッキリ言って雑魚。だが、擬態がちょっとやそっとでは見破れない。その擬態するものは木。
この魔物は木に擬態することで、自分の目の前を生物が通ると、幹が実に全体の3分の2ほどが真ん中から縦にパックリと割れて中にはビッシリと鋭い歯が並んでいる。更に、中からツタが伸びてきて、獲物を捕獲。中に引きずり込んでボリボリと食べる魔物である。
推奨ランクはC。これは強さよりもその厭らしさを評価した推奨ランクのようだ。
もう一種類は、テイルモンキー。
体格は普通の日本猿の様な感じだが顔に愛嬌など全く無い。もっとも視線を下に向ければ、そんなことを悠長に考えてなどいられないだろう。尻尾が異常に太く、長く発達し、尻尾の部分の毛は刃物の様になっているからだ。
その見た目から想像出来るように、尻尾を使って襲いかかる。
推奨ランクはC。この魔物は純粋に強さで評価されている。
いよいよこの辺りに生息する中でも頂点になる魔物たち。種類は3種類。
先ずは言わずもながで、リザード。
これの見た目についてはもう説明は要らないだろう。あの沼で見たあいつである。
推奨ランクはB。最底辺とは言え、流石竜種である。
知能はそれほど無いらしいが、その体躯から発揮される力と火炎のブレスが主な攻撃手段だ。
当然ながら肉食で、生き物を見つけたら襲いかかり、その生き物を食べる。
あとの2種類だが、こいつらは生き物を襲うことは無い、草食の魔物だ。
でも推奨ランクはA。
種族名は、ユニコーンとペガサス。
名前から想像出来る通りで、強さはハッキリ言って出鱈目らしい。ランクSに近いAだと受付嬢が言っていた。
一応推奨ランクは付いているが、間引きが必要ない程の生息数だし、人も襲わないので間引き目的の依頼など存在しないらしい。
そもそも挑もうとすら思いませんけどね。そんな強大な力は要りません。
さて、一通りこの辺りの魔物事情を説明させてもらったが、先ずはゴブリンやワルフ(狼の魔物)を相手にレベルあげをする。
最終目標としてテイルモンキーを楽に倒せるくらいにはなりたい。出来ればリザードも討伐したい。
リザードに関しては出来ればと言うのを強調させてもらう。
そんな風に目標を定めてから先ずは装備を整える。
村にある店は二つ。1つが野菜を買った店で、この店は食料品を扱っている。
もう1つが目的の品を置いてある雑貨屋。簡単な薬品類や田舎レベルの武具、生活用品などなどごちゃ混ぜで扱っている店で買い物をした。
買ったものは『剣』、『革製の防具』、『下級生命薬』だ。
因みに鑑定すると、
『鉄の剣』 ランクE-
量産された鉄で出来た両刃の剣。
製作者:コラン
『革の鎧』 ランクE-
革で出来た鎧。
胸、腹、股間を覆うように作られている。
肘と膝を部分的に取り付けるパーツも含まれている。
製作者:コラン
『革のブーツ』 ランクE-
革で出来ている膝下まであるブーツ。
製作者:コラン
となっている。
個人的には籠手が欲しかったのだが、生憎とグローブしか置いていなかった。あれはあれで防具としては良いのだろうが、分厚い革の手袋なんて着けていては剣を握る感覚が鈍くなってしまう為俺は遠慮した。なので、今の装備としては『腕:無し』となる。
これらの装備を着こみ(現代服の上から・・・)毎日ギルドに通い、間引きの依頼を受けてレベル上げに勤しむ日を一巡り(一週間)過ごしたのだが、ゴブリンだけ異様に討伐数が少なく、ジーナに毎日ゴブリンについて聞かれていた。
何か理由があるのだろうが、新人には用がないとバッサリ切られてしまった。
そうして、テイルモンキーでもある程度楽に倒せるようになり、そろそろ強化に集中するのは良いかな~。と考えていた。
取り合え一巡りの成果はこんな感じになった。
レベル:3→28 SP:7
称号:狭間を越えし者 職業:サムライ
腕力:B 脚力:B
俊敏:B 知能:S(C)
魔力:A 体力:S
精神:S(D)
習得技能
料理:4→5 格闘術:1→5
異界刀術:2 剣術:1→5
異界の体術:1→5
創造『雷』<new> 雷操術<new>
創造魔術<new>
鑑定:5→10<Max> 気配察知:5<new>
習得性質
技能獲得システム 性質獲得システム
SP還元 SP獲得上昇
体力消費減<new> 魔力消費減<new>
危機察知<new> マッピング<new>
戦技
格闘術:砕脚
重脚
剣 術:嵐激
瞬雷
魔術
創造魔術:治癒
再生<new>
状態回帰<new>
纒龍
妖精遊戯
魔銃<new>
精霊舞踏
こんな感じ。
またもやイタ魔術を作ったのだが、後悔は無い!
そしてSPが勿体ないので作ったら即ポイント還元して他に回してある。
他の変更点で、新たに加わった技能等の説明はこんな感じ。
先ずは新しい技能
《創造『雷』》
[小さな雷の球を手の上に作り出すことが出来る。]
《雷操術》
[雷を自在に扱うことが出来る。]
最初は《雷操術》だけ獲得したのだが、いざ使おうとしたら使えなかった。
試しに静電気を起こしたら問題なく使えたのだが、戦闘中にシュコシュコと静電気を起こすわけにもいかないので、《創造『雷』》を獲得した。
次に性質。
《体力消費減》
[体力の消費を抑える。]
《魔力消費減》
[魔力の消費を抑える。]
となっている。
勘違いしそうになるが、体力とはHPではなく純粋に体力、つまりスタミナである。
そもそも生命力、HPを数値やランクで表せれるはずが無い。それは、ゲームだから可能なのだろう。
故に、人間は普通に死ねる。と言うこと。
どんなに強くても、どんなに弱くても『死にやすさ』は変わらない。
最後にお待ちかね。イタ魔術の紹介である。
前に作った戦技と魔術についても説明をしようと思う。
最初は戦技、格闘術を紹介しよう。
《砕脚》
[蹴りの威力を上げる技]
《重脚》
[オリジナル技。踵による蹴りの威力を上げる技]
剣術
《嵐激》
[オリジナル技。嵐のような斬激を復数回行う技]
瞬雷
[オリジナル技。瞬間的な移動速度を上げて同時に剣を振るう技]
最後に魔術。
《治癒》
[オリジナル魔術。生物を癒す魔術]
《再生》
[オリジナル魔術。生物の欠損部分を癒す魔術]
《状態回帰》
[オリジナル魔術。生物の異常を癒す魔術]
《纒龍》
[オリジナル魔術。魔力を使い龍を模した膜を自身に纏わせて強化する。]
《妖精遊戯》
[オリジナル魔術。霧を生み出す魔術。霧には、消臭、麻痺が付与される。]
《魔銃》
[オリジナル魔術。小さな魔力の塊を飛ばす魔術]
《精霊舞踏》
[オリジナル魔術。火、水、風、土の塊を生み出し操作出来る魔術。魔力の込める量によって塊の数を増やせる。]
これらが説明となる。効果としても書かれているまんまだ。
只1つ補足を入れると、戦技も魔力を使う。と言うこと。
魔術の用に魔力を違う『存在』に変えないだけだ。
今言ったように、魔術とは一言で言えば魔力を違う存在に変える、『魔力の変換』である(多分)。
知識としては説明できないが、例えば魔力を炎に変換するイメージをしながら魔力を操作すれば出来てしまう。という感じ。
ちゃんと創造魔術以外の魔術で試したので間違いない。物質を作ることは簡単だ。
でも、これを戦闘に使えるようにすのは無理。普通の魔術ではイメージで出来るのは炎を只作るだけや、水を出すだけなのだ。
それ故に創造魔術の利便性がかなり高く感じる。
今回も作ったらすぐに創造技能は還元したが、いつかは常に獲得していたいと思う。
だって、絶対便利だし。
話を戻そう。
魔術に関してはほぼ感覚的に理解しているだけなので、ちゃんとした定義があるかもしれないが今はそういう風に理解している。
一方戦技は、魔力を『自動的』に体に纏わせて使う。
当然纏わせるのに使う魔力は消費するが、魔術より消費が少ない。当然と言えば当然かもしれないが。
戦技が『自動的』に魔力を纏うと言うことは、『自発的』に使うことも出来るはず。
・・・と言うか出来た。・・・が、かなり難易度が高い。しかし、戦技より魔力消費の効率が良い。
これは実験したので間違いない。
どうやったかと言えば、先ずは『戦技創造』で身体強化的なものを作って、実際に使用して木を殴る。
へし折れました・・・。
次に魔力が回復(時間経過で回復します)するのを待ってから、同じ量の魔力を纏い木を殴る。
同じようにへし折れました・・・。
結果。自発的にやると使用していた魔力を解除と同時に何割か吸収したような感じだった。
(感覚的なものです!)
なので、自発的に使用すればお得!なのだ。
完全に物にすれば戦技を使わずとも戦技と同じ威力の攻撃を低魔力で使うことが出来る。
わざわざ作る必要もない。
正に一石二鳥なのだ。
となれば、ここで登場『獲得システム』二つ。
探しました。探しに探して・・・無かった。
つまり魔力を自発的に纏うのは、あの有名なシステム外スキル的なやつなのだろうか・・・orz
たが、これは使えたら役立つものなので地道に練習していこうと思う。きっと出来るようになるはずだ。
この様な成果を出すだけではなく、シェイラルカに夕飯を作って一緒に食べたり、何時までも現代の服もあれなので服を買ったり(かなり質素で着心地は最悪)、村のおっちゃんと酒を飲んだり、領主のメイドさんたちと料理話で盛り上がったりとして、一巡りを過ごした。
そして、強化はもういいだろうと今日を最後にする。
今日は依頼は何も受けない。と言うか目的の依頼がなかったので、仕方なく受けずにいるだけなのだが。
因みにギルドランクは昨日でDになっている。
早くない?と思ったが、ジーナ曰く、ここからが本番。らしい。今まではお試し期間とか練習とかそんな感じらしい。
なので、Dには誰でも簡単に上げることが出来るそうだ。但し、魔物討伐の依頼を一度でも受けていないとギルドはDランクの依頼を受諾させない。
実質、Eと変わらない。
それを聞いたとき思わず思ったことが、「だったらなんでソウルにランク出るようにしたんだろう?」である。怖くて聞けなかったが・・・
だって、いつも不機嫌なのだよ。あの人。
俺には無理!
ってな訳で、依頼無しの状態で向かうのは沼。
つまりリザードである。
現状でも旅をするなら問題ないと言われたのだが、どうせなら華々しい最後を飾ろうと思ったのだ。
何せドラゴンだ。実在していて、戦える力がある。ならば、男の子だったら一度は戦いたいと思うだろう?(中身は25歳だが・・・・)
そんなことは関係ない!
準備を整えて、いざ沼へ!
沼への道のりは簡単だ。何故ならば既にマッピングは完了しているからだ。
だが、森の全容はまだ把握していない。既に10㎞四方程はマッピングしているのだが・・・。
まぁ、コンプリートする気はない。どうやらこれ以上探索すると化け物に出会う確率がハネ上がるようなのだ。
むざむざ死ににいくようなものなので、これ以上のマッピングは控えたのだった。
などと考えながらサクサク進む。
魔物は気配察知で感知したら遭遇しないように進んで行って1鐘(一時間)程で到着した。
黄金に色付く稲穂が見える。
と、同時に稲穂の向こう側に赤黒い存在が目に入る。
今回は身を隠すこともせずに相手の方に堂々と進む。
当然向こうもこちらの存在を感知してこちらを向いた。
前足を支えに上体を上げる。5m程の巨体から濃厚な力が溢れている。
俺を正面に捉えて、咆哮。
同時に鳥のが一斉に羽ばたき、耳が痛いほどの静寂が訪れた。
ユラリと剣を抜く。片手で剣を握り半身で構える。
力は余り入れずに自然体で、体は熱く燃えたぎり、心は恐怖と歓喜で騒ぎ散らす。
だが、頭は冷静で静かだ。騒ぐ心と体を理性がコントロールし次第に手綱をしっかりと握り、戦闘状態が整う。この間僅か一瞬の出来事。
次の瞬間には呟きを残して俺の体はリザードの後ろにあった。
「『瞬雷』」
静から動の瞬間的な移行をしての攻撃だったのだが、流石は竜。
瞬きの間に20m程移動しながらの一閃だったんだが、首を狙った一撃を腕を上げて鱗で受けられてしまった。
ダメージはほぼ無いだろう。
ギャリギャリと剣を受ける音からしてかなりの固さだ。『瞬雷』は体全体を魔力で強化、特に腕と脚。そして、剣自体にも魔力が大量にだが限りなく薄く剣に纏り、強度は勿論のこと切れ味を格段に上がっている。具体的に言えば鉄の剣を木で出来た剣で切れる。・・・んだが・・・。
予想以上に強い。何度も言ってるけど、流石は竜だ。
なんて暢気に感じていると、悪寒が体を駆け巡る。
危機察知によって危険を感じ取ったが、既にリザードは動きを開始していた。
巨体からは想像できないスピードで頭を此方に向けてきた。
しかも俺はリザードから見て右後ろに要るのに、わざわざ左回りで・・・・。つまり、尻尾での振り払い。
(チッ。もう少し距離を取るべきだった!)
後ろにとんでも間に合わないと判断し、やや左に行くように上へ跳んでなんとか回避する。
が・・・
まだ悪寒が体を駆け巡っていた。
急いで回避した尻尾からリザードの体へと視線を向けると、リザードは振り返りながら口を大きく広げて俺へと迫ってきていた。
空中に居るため回避行動も出来ない。
(魔力が勿体ないが、仕方ない!)
「『精霊舞踏』!!」
瞬く間に俺の周囲に4つの属性の球が生成される。
風と火の球を混ぜ合わせながら口の中へと向かわせる。風と火を合わせたことで威力を底上げしている。
残りの水と土はそれぞれ眼に向けて放つ。
「グギャャャャャャ!!!」
ダメージを受けて、思わず後ろへと1歩2歩と後ずさりながら叫ぶ。
なんとか危機をやり過ごし地面に降り立ち、様子を伺う。
口の中を焼かれ、土の塊で片眼を抉られ、もう片眼は水圧で(一時的なものだろうが)眼を開けれなくなっている。
魔術は効果あり、鱗にも多少ダメージを与えられるようだ。
多少なりともダメージが無いとへこむだろうが・・・。何せ『精霊舞踏』は現在の最大魔力3割も使うのだ。
戦技は大体1割弱ほどしか使わない。
それを考えれば多少なりともダメージがなくては困る。だが、実に3倍の魔力を使ってなんとか鱗が削れる程度。
底辺の竜種でこれほどの固さがあるのだった。
(これは・・・不味いな。マジで撤退を考えないといけないか・・・?)
『精霊舞踏』を使えばいくらなんでも少しは肉が抉れる程度は威力があると思っていたのだが、実際は鱗が剥がれただけ。
実際にリザードは片眼の周辺から少量の血を流してはいるが、既に両目を開けて此方を睨んでいる。
低い唸りをしながら此方を警戒しているリザードに、こちらもまた半身で剣を構える。
残りの魔力は、『瞬雷』で1割弱、『精霊舞踏』で3割を消費しているため、6割程しか残っていない。
いざというときの撤退で『妖精遊戯』で1割の魔力を使うため、使える魔力は5割程しかない。
どうするかと考えながらリザードど睨み合う。
先に動いたのはリザードだった。
頭を持ち上げて、大きく息を吸う様な行動。
(ゲッ!?まさか火のブレスか!?)
咄嗟に回避行動も含めて『瞬雷』を使用して、リザードの喉を狙い、切りつけながらブレスの範囲外に逃げる。
リザードの後方に退避が成功して振り返ると、俺がいた所に真っ赤な炎が吐かれていた。
木々は燃えることなく炭となり、後に残るのは蒸気だけであった。
(どんだけ高温なんだよ・・・。普通炎は燃え移るものだろう・・・)
通常では考えられない現象に冷や汗が流れる。
因みに『瞬雷』でのダメージは皮一枚切れてる程度であった。
これではただ無駄に魔力を消費するだけ・・・
(これでダメなら撤退だな!!!)
一か八かの賭けに出る。
剣を鞘に納めて、魔力を集中。
魔力が体からユラユラと立ち上る。
「『纒龍』!!!」
漂っていただけの魔力を、半透明の緑色になり俺の体に纏わせていく。
次第に形が定まり、東洋の龍を形作る。
と言っても、身長170cmしかないので、あまり東洋の龍には見えず、西洋と東洋を合わせたリュウのように見える。
上半身を倒して構える姿は、獣のような構え。
その身を包むのは半透明の緑色をした異形のリュウ。
頭から先に伸びているように東洋の龍の頭。角を2本生やし、その根本付近にある瞳は絶対強者の輝きを宿した金色。
大きい口からはなんであろうと噛み砕く牙が並んでいて、その上にある鼻の横からはユラユラと2本の髭が左右に伸びている。
腕は同化するように同じ位置にあり、自身の手より少し先に龍の手がある。
指は三本。三角を作るように生える指には鋭利そうな太い爪。
足も同化するようにあり。一回り大きい。
指も手と同じく三本だが、2本は指の方向にあり、もう1本は踵から伸びている。
臀部からは長い胴体が続き、次第に細くなって尻尾になっている。
『纒龍』。
その姿はゲームで出てくるようなリザードマンのような姿に似ているが、もし並んだとしても存在感は桁違いだろう。
また、実最の戦闘力も桁違いであろう。
この世界のリザードマン的なものがどの程度かはわからないが・・・。
だかしかし、当然その強力な力は長続きはしない。
4割の魔力を使って1分程しか持たないのだ。
故に最初から全力で力を振るう。
だが、普通の体で全力を振るえば周りには勿論の事、自分にも影響が出るのは当然だろう。それは勿論悪い意味での影響だ。
だが、この場合は俺には影響はない。
『纒龍』は俺を半物質化した魔力が包んでいる。それは勿論俺の強化の意味があるが、力を振るうのに掛かってくる負荷から守ってくれている。
軽く走れば『瞬雷』と同じスピードが出るため。
全力で走れば《音速》を出すことになる。
力を込めて走れば地面は爆発したように飛び散り、音速であるために空気の壁を破る音が辺りに鳴り響く。
そして、リザードはそんな光景や音に驚く暇はない。何故ならそんなことに気付いたときには俺はもう眼前に迫っているからだ。
正に一瞬で詰めより、軽く飛び上がってから宙返りをするように爪(手)を振るう。その一撃でリザードの肩口が抉れ、そのまま宙返りを続けて尻尾を首辺りに叩きつける。
叩きつけられたリザードはその巨体が嘘のようにバウンドしながら吹っ飛んでいった。
何本もの木をなぎ倒してやっと止まったリザードは立ち上がる力もなく、肩口と首が抉れ、大量の血を流している。
最早、虫の息であった。
(・・・・・・・・・命の危機以外は・・・・・・使うと不味いな・・・・・・。)
確かに強力に作った。その結果が自分の使えるものの中で一番魔力消費が激しい。
が、ここまでとは予想していなかった。
ランクBのリザードを一人で相手をしようと思ったら、只の人ならばレベル70以上必要らしいのだ。そのレベル70でもギリギリ勝てるかどうかと言う感じ。
だが、『纒龍』を使ったレベル28の俺が、ほぼ一瞬といえる時間で倒してしまった。その事実は正に異様だった。
気を取り直し、最後の反撃がないかとゆっくりと注意しながら近づき、抉れた首の部分に止めとして腕を降り下ろした。