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【第7話:一日目が終わる】


「大変だ!!!昭子が居なくなった!!!」

「な、なんやとぉ?!」


 正義が、大慌てで教室に入ってきた。教室中の人が一気にそこに注目する。


「どうしよう……ほんの一瞬、ほんの一瞬なんだ……。ほんの一瞬目を離しただけで……。」

「お、落ち着け。とりあえず、みんなで探すんや。」


「待って下さい。さっきから気になっていましたの。もう一人……居ないですわ。」

「なんやと……?誰がおらんのや、真里菜!」

「渡瀬……歩。」


その名を聞いて、みんなが周りを見渡す。確かに、渡瀬の姿がない。


「そういえば、一時間ぐらい前にちょっとトイレに行くとか言って教室を出ていったのを私見たよ。でも、今考えたら、トイレのある方向とは逆に出て行ってたような……。」


千尋が1時間前の記憶を思い出す。


「待て……もしかして……。あいつが悪魔なんじゃ……。だとしたら……昭子が危ない!」

「急ぐで!!手分けして探すんや!でも絶対一人になったらあかんで!必ず二人以上で行動するんや!!」


正義と勝はペアになって学校中を探し回る。音楽室、家庭科室、理科室……。


「あかん、どこにもおらんな……。」

「おい、勝。あそこのドア、開いてないか?」


その教室はパソコン室だった。二人が中に入ると、一つだけ電源がついているパソコンがあった。暗闇の中で、そのパソコンだけが怪しく光っている。急いでそのパソコンのところへ行き、画面を覗き込んだ。すると、その画面には……。



『渡瀬 歩、照屋 昭子、消滅完了。残り24人。』


ドンッ!!!


「クソ!!遅かったか……。」


勝が、壁に拳を叩きつける。


「くそ……くそ!!!なんで……こんなことに!!目の前に居たのに……守れなかった……!!おれが……あの一瞬……昭子から目を離さなければ……!!」


正義が床にかがみこみ、両手の拳をドンドンと床にたたきつける。正義の脳裏には、昭子の言葉が蘇ってくる。



「また、困ったら……助けてね。」


――


「約束……したばっかりじゃないか……!!」


床にかがみこむ正義の拳に、大粒の涙がこぼれていった。


「許さない……絶対に許さない……悪魔め……。こうなったら……おれが絶対に見つけ出してやる……!!」




 昭子を探しに行った人たちも教室に戻り、悪魔は渡瀬でもなかったということを話し、約一時間が経過していた。

残っているのは現在24人。教室で、これからのことを話し合った。


「もう22:30か。まだ、あと六日もあるんやな。どうやって乗り切ったらええんやろ。」


「食べ物は、ご丁寧に家庭科室にたっぷりとありました。悪魔は、私達を()えさせたりはしないみたいですわね。生かして、自分が消すことを楽しむ。完全に遊ばれていますわ。」


「どこまでもふざけたやつや……。でも、どうにも今は食欲が出えへん。汗かいて気持ち悪いわ。」


「シャワーは、体育館の奥に職員シャワー室というところがあったよ。水が出るかは分からないけど。」


「おっ、千尋ナイスや!あとでさっそく行ってみよう!正義、寝るとこはどないする?」


「とりあえず、寝床は体育館と格技室でいいんじゃないか。女子が体育館で、男子が格技室でそれぞれマットを敷いて寝よう。24人なら、余裕で寝られるだろう。」


みんなが良い案だと納得した。そこに、千尋が疑問を(てい)する。


「でもさ、夜とかも悪魔は襲ってくるんじゃないかな?」


「うん。千尋の言う通り、おれも夜に襲ってくる可能性を考えている。朝起きたら、誰かが消えていた、なんていう事態は避けたい。だから、寝る時間は交代制にして、お互いを見張り合おう。二人一組でペアを組んで、起きているんだ。」


「あ、待って。それだと、片方が悪魔だったときに大変じゃないかな。せめて、三人一組とかの方が……。」


「なるほど、それがいい。じゃあ、おれは一番辛い真ん中の時間帯をやろう。」


「あ、じゃあ私も。」


千尋が正義に続いて手をあげる。


「じゃあ私もやりますわ。」


みんなで話し合いながら、深夜の見張り当番を決めていった。


「じゃあ、おやすみ。」


 こうして、悪魔のゲームの一日目が終了した。

中学校全校生徒、教師を合わせて304人。

うち、一日目の脱落者は280人。

2年B組だけで考えると、全人数は生徒31人と担任1人。

うち、脱落者は生徒7人と担任1人。

残っているのは、24人。ゲーム最終日まで、あと六日。


 ゲームはまだ、始まったばかりなのであった。



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