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【第19話:悪魔の正体】


ガチャリ。


 屋上のドアが開く。悪魔が屋上に辿り着いた。


「来たか、悪魔。」


正義が息を大きく吸う。


「いや……。

 


 ――星田(ほしだ)(まもる)。」



悪魔がニヤリと笑う。そして、頭を覆っていた布を取る。

 今回のこのゲームの犯人。それは、このゲームで二番目に消されたはずの、星田守だった。



『……何故、わかった?』


「確信は無かったよ。ただ、怪しいなと思った理由は二つある。

 一つは、このゲームは進むごとに人が減っていくということだ。そうすれば、犯人は自然と残ってしまいバレてしまう。

 おれたちは突然のことでパニック状態だったせいもあって気がつかなかったが、悪魔自身がそれに気がつかないはずがない。

 だったら、最初に消えてしまった方がいろいろと都合がいい。

 だから、最初の方に消えた人が怪しいと思ったんだ。」


『なるほど……。さすが平良くんだ。二つ目は?』


「二つ目は、普段の君さ。」

『何……?』


守は聞き返す。


「根拠もなにもないよ。普段の君の姿を思い出したのさ。

 君は、このゲームを始めた理由を話したときに、誰も助けてくれなかったと言っていただろう。

 普段の君は、言われてみると、誰かに助けてほしそうな顔をしていたな……って、後から思ったのさ。」


『なんだ。勘がたまたま当たっただけじゃないか。

 運が良かっただけだな。

 まぁ、そんな勘を当てたところで……。』


守が指を鳴らす構えをし、その手を正義の方へ向ける。



『あとは君を消して全滅(ゲームオーバー)さ。』


「……その指を鳴らすと、人が消せるのかい?」

『うん?興味があるのかい?』

「ああ。教えてくれないか。

 君はその能力を、どうやって手に入れたんだい?」


『……いいだろう。教えてやる。』


悪魔は構えた手を下げ、話を始めた。


『私は人生に嫌気をさし、消えたいと思っていた。

 そんなとき、私のところに本物の“悪魔”が来たのさ。』


守は、悪魔が自分の部屋に来たときのことを話し始めた。


――




『消えたいと思うのか?』



「えっ?!誰だ……?」


 守は自分の部屋で誰かの声がすることに驚いた。

それは、守が出会った悪魔の声だった。


『自分を苦しめた相手を、消したいとは思わないか?』


「……出来るのか?」


『私と契約を交わせばな。』


「契約……?」


『そうだ。そうすれば、お前に“悪魔の力”を与えよう。』


――


『こうして、私は悪魔の力を手に入れたのさ。』


守が自慢げに話す。それに対して正義は尋ねる。


「それが、人を消す力だっていうのか?」

『正確に言うと、少し違う。

 悪魔がくれたのは“無かったことにする能力”』


「無かったことにする……?」


正義はそれを聞いて考え込む。


『そうさ。私が無かったことにしたいと思う対象を頭に浮かべ、それに向けて指を鳴らすことで、その対象を最初から無かったことにすることが出来る。』

「他人の記憶からも消えるということか?」

『その通り。

 例えばここで君を消せば、君の家の近所の人も……君の友達も……君の親すらも!!

 ……君と関わったことのある人は、みんな君のことを忘れる。

 君の存在は初めから、無かったことになるのさ。』


「でも、おれの記憶には、まだクラスのみんなの記憶があるぞ。」


正義は消えていったクラスの人達のことを、まだハッキリと覚えていた。


『それは君が悪魔の作った世界にいるからさ。

 このゲームが終わったら、外に居る人は、みんな忘れるよ。』


「……どうしてこんなことをする?具体的な原因は何だ。」



『そうだね……私が悪魔だと気づけた君に敬意を込めて教えてあげよう。


 私が真に消したかった相手はね……。』


その名を言う直前、守の表情が一気に険しくなる。




力本(りきもと) (つとむ)

 私達の担任さ。』



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