花語り
花に関する物語…のはず
あと主人公の性格がぶれまくるrrrrr
梅雨が明けた夏のとある日
「そうだ、花畑を作ろう」
もう考えるのも馬鹿馬鹿しい皇雅の閃きによって花畑を作ることになった
もちろんチルノも一緒に だ
「なんでいきなりそんなことを思ったのか聞いてもいい?」
「いつだったか…ふとした時思ったのだ、綺麗な花を見たときの気持ちをもっと広めたいと」
その時に思ったであろう率直な気持ちのままにチルノにそう伝える
「どんな花畑なら楽しいかな?目の前に広がる花畑、四季折々の花が咲き、枯れる事もない…そんな花畑はどうだ?」
「皇雅はいつも楽しそうだね」
チルノの言葉に皇雅は満面の笑みで答える
「だって暗い気分で話すことでもないだろう?それに私は笑えるんだ…いいや私だけじゃない、生あるものには感情があるのだからね、表に出したほうがいいに決まってるじゃないか!」
「それもそうだね、ならあたしもそうするわ。薬草とかも置いたらどうかしら?きっとみんなの役に立つわ」
「それはいい!さすがチルノだ、私が考えつかないような事を言ってくれる!相談とはいい物だな」
話がひと段落してから彼らは花を咲かすのにいい場所を選ぶために移動した
ある程度移動した頃だろうか…視界が開けたところに向日葵畑を見つけた
「おや…これは…」
「凄いね…誰が作ったんだろう」
向日葵畑とは言っても大きいのが向日葵というだけで他にも花は咲いている
皇雅は感動したのか少し惚けてその花畑を見ていた
「あら…私の花畑に何か用かしら?妖精は多いのだけれど妖怪はあまり見かけないのだけど…」
向日葵畑に埋もれて見えなかったが日傘を差した女性がいた
女性の手には如雨露が握られていて植物に水をやっていたことが伺われる
「すまない、少しこの花畑に圧倒されていてね。あぁ、私の名前は皇雅という 知っての通り妖だ」
「あたしはチルノ、氷の妖精」
「ご丁寧にどうも、私の名前は風見幽香 妖怪よ」
素っ気ない態度でありながらも彼女は自己紹介してくれた
「この花畑に名前はあるのかい?」
「聞いてどうするの?」
「私が呆けた花畑を私の心に刻むんだ、それはこれから創ろうと思っている花畑のために此処と負けないくらい立派に育つようにと。そう思ってね」
「ただの妖怪が花畑を創るの?」
幽香は「妖怪なのに?」と私の答えが可笑しいのか そう問いかける
「だって綺麗じゃないか。永遠に咲く花があったらどうだろう?四季折々の花があったらどうだろう?そこから見える景色は?そう考えたら創りたくなってしまってね…駄目だったろうか」
「可笑しくはないけど…それはダメよ?」
「それって?」
何がダメだったのだろう と首を傾げ答えを聞く
「花は短い命だからこそ綺麗に咲くのよ?永遠に咲く花は戴けないわ、妖精は死ぬことがないからわからないでしょうけど、妖怪である貴方は別でしょうに」
「そういうものなのか…」
「私の言葉が一般論なのかはわからないけどね、花は永遠を望んではいないわ」
「ではこういうのはどうだろう?根はとても強く、咲き続ける花や四季に関係あらず咲く花。風見の考えを私に教えてくれないか?」
そうね… と一拍置くように間を空けて彼女は答えてくれた
「そういった花はいいと思うわ、全部とまでは無理でしょうけど栄養がなくても育つ花は季節によっては良いでしょうね…こんな感じでいいかしら?」
「十分さ、お礼と言っては何だけど君は何か欲しいものがあるかい?」
「欲しいもの?」
「招かねざる妖がこんな綺麗な場所を創った妖にお礼がしたいのさ。叶わない願い事でもいい、何か言ってくれるかい?」
「そうね…じゃあ私が夢見た能力を…とでも言おうかしら?」
「ではこの言葉を贈ろう。風見幽香が夢見た能力は絶対に叶う。と」
「言いたいことはそれだけ?」
「あと花畑の名前を教えて欲しい。まだ聞いてなかったからね」
私がそう言うと彼女は微かに微笑んで「太陽の畑」と小さく答えてくれた
「ありがとう、私はここに負けないくらいいい花畑を創る。完成したら呼ぶから見に来てくれないか?君が思ったことを私に伝えて欲しいんだ」
「気がむいたら行ってあげるわ」
もう一度「ありがとう」と伝え風見に別れを告げた
彼女から得た知識で彼女と同じくらい素晴らしい畑を創るのだと 胸を躍らせながら
■ ◆ ■ ◆ ■ ◆
「皇雅…か…」
妖にしては珍しい花好きの妖怪。私のように花を冠する妖怪ではなさそうなのに
夢なんて聞いてどうしたかったのだろう…悪い妖怪ではなさそうだったが…
妖精と一緒にいる妖怪なんて初めて見た
「私が夢見た能力は絶対に叶う、か…そんなことあるはずないのにね…」
どうしてだろうか彼が叶うと言ってから出来る気がしてしょうがなかった
「花の言葉がわかるようになって幸せになる…なんて絶対無理なのにね」
叶うはずがないと思っていても言われたことがずっと頭に残って反復される
「っといけない、水をあげる時間だったわね…皇雅達が来たから忘れていたわ」
(いつもありがとう)
ふと誰もいないはずの場所から声が聞こえた
私は「誰?」と声が聞こえたであろう方向に顔を向ける
しかしやはり誰もいない
「気のせいかしら?」
(きょうもあついね)(ゆうかはだいじょうぶ?)(ぼくたちにかまわずにひかげにいきな?)
気のせいではない。声が聞こえた、今度は沢山だ
まさかと思い 花たちに語りかける
「私は大丈夫よ?あなたたちと一緒にいることが一番の薬ですもの」
(きこえるの?)(ゆうかがぼくたちとかいわしてる!)(みんな!ゆうかにぼくたちのこえがとどいたよ!)
これは夢だろうか…花たちの声が聞こえる
今まで長く思ってきたであろう花と会話をしたいという願いが叶ったのだ
叶ったというより夢ではないかという感情が一番に出てしまう
恐る恐る頬に手を伸ばし思いっきり抓ると痛みがあった
夢ではないとそう告げていた
「うっ…」
(ゆうか?)(どうしたの?)(いたいの?)(泣いてる…)
「違うわ…嬉しいのよ、あなた達と話せて嬉しいのよ」
手で溢れる涙を拭いながら彼女は笑顔でそう告げる
次にあの妖怪達に出会ったらまずはなんと言おうか そう考えながら
■ ◆ ■ ◆ ■ ◆
明くる日、皇雅は風見から得た情報で優先的に考えたイメージで花畑を創った
まず名前を決め「月の畑」チルノから変な目で見られたけど皇雅自身はあまり気にしてはいなかった
感嘆するであろう花畑は彼女のような花畑だ では私は何を創ろう?
チルノの言っていた薬草を主として慈しむ花畑をコンセプトに
薬草は人や妖みんなが使う物だ 成らば生える速度は多めにする
花は月下美人、夜香花、ダツラ、烏瓜なんかどうだ?
月光花も忘れてはいけないな…だめだやはり考えることも楽しい
月見草に露草、月橘、月下香に夕萓、合歓の木
果物はどうだ? ドラゴンフルーツは花もつぼみも食べられる
それを食べつつ月と花を見れば楽しいんじゃないか?
風見やチルノと一緒にその光景を見てみたい
そう思い描いた彼の夢が叶う日は近い