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東方神語  作者: 朱莉
神語
18/26

洩語り



前回から→こうなりました

■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



結論を簡潔言おう

いや彼女自身の問題なので余り言いたくないのだが…


あのあと酒に飲まれて動転し目が回り私に覆いかぶさるように倒れた

倒れた時に大きい音が鳴り二柱も見に来たので嘘ではない

その大きな音のせいで私の目に覆っていた布が酒にまみれて装着できなくなった事はこの際どうでもいいだろう


そして今、天照は諏訪子の横でぐったりしている

諏訪子と神奈子(尖兵から名前を聞いた)の社に巫女がいて今はその巫女に頼んでいる

名前は聞いていないが現人神あらひとがみと言っていたので最近神になった者だろう(こまめに帰っていないので詳しくは知らない)



なぜ天照がこうなったのかと言うと

私が天照に会いに行かなくなり寂しくて酒に逃げたそうな…

最初は一人で飲んでいたらしいが時間が経つにすれ誰かを誘っては飲んでいたらしい

いつもは倒れる前に寝床に着くらしいのだが、私と会った時にたがが外れてあぁなったらしい

その事に神奈子はご愁傷様と目が語っていた

目は口ほどに物を言うとはあの事を言うのだろう




天照と連絡をとる術があればいいのだが…

そうすればこのような事態は減るだろうし何かあれば呼ぶこともできる

神同士、妖同士では方法はある

神力や妖力などそれぞれの力を用いた道具を規定の時間で使えばいい

有名な物で妖側だと合わせ鏡などだろうか?

だが種族が別だとそれは使えなかったりもする…


というよりは、高天原にいる神には―――と付くのだが


何はともあれ一番の術は天照に定期的に会う事だろう

年に一度、会えれば彼女は壊れないので最低限それさえ守れば多分平気だろう


まぁ…こうなってしまった以上私は一月に一度帰るべきなのだろう


天照…君は私に―――



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



先ほど会った妖怪の顔が頭から離れない

神奈子様から聞いた話では天照様の友人と仰った

今まで見てきた妖怪達とは打って変わり美形で喋り方も丁寧だった

個人的に言えば人間、若しくは神であれば友達になりたいと心底思えた

未だ神になって日も浅く肩幅の狭い私にしては珍しく心からそう思える程だった

いや、天照様の友達でしかも高天原にも来れるなら知り合い程度にはなれるのではないだろうか


諏訪子様と神奈子様に聞いていた妖怪像とかけ離れていたのも相まって

あの妖怪の事が全く頭から離れないのだ


一言二言しか会話していなかったから私の名前もあの妖怪の名前も伝えてないし聞いていない

少しもったいないことをしたなぁ…と酒で潰れた二柱を団扇で仰ぎながら私は一人後悔していた



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



「皇雅って言ったっけ?」

「あぁ、君は神奈子だったね」



縁側で一人呆けていた妖の横に腰掛ける

大方早苗に天照を預けていて起きるまで離れることも出来ずこうなっているのだろう



「そうさね。あんた絶対目隠し外したほうがいいと思うよ私は」

「…慣れというのと馴染みというのだよ。天照からは私の前だけで、と頼まれたことはあるな」

「あぁ…そういうことね」



つまりは独り占めしたいほど好みだったわけか。そう一人納得した

前に見た皇雅と今の皇雅だと全く印象が違って距離感が掴めないでいた

前にといってもあの時は会話という会話など一切なかったから知ってるわけではないが…


諏訪子にコイツのことを聞いたときには魂消たもんだ

なにせあの天照様の最初の妖の友人ときたもんだ

それ以外では日本最古の妖で四季を作ったとも聞いた


私と諏訪子は生まれた時期違えどコイツと比べたら年下ってもんじゃない

もしコイツが妖でなく神だったなら頭を下げなきゃならないほど偉くなるはずだろう

流石にあの壁の妖力の量を知っている身からすると、そう思うのはしょうがないと思うんだ



「神奈子は知っているか?」

「ん、何をだい?」

「とある妖が妖と神のために世界を作ったという話を」



軽くだけど聞いたことがあったので頷いた

幻想を集めた世界だったか…

今はまだ平気だが次第に信仰が薄れたら私らもそこに行くのだろうか

その話を聞いたときには都合の良すぎる話と思ったぐらいだったが…



「実はその世界は実際に有ってね。私はそこの管理…というか雑務をしていたんだよ」

「へぇ…ん?それってもしかして―」

「その妖が天照の言っていたスキマ妖怪でね」

「凄い妖も居たもんだねぇ」

「あぁ。私もそう思うよ」



いやあんたも大概だよ…と口から出かけたが口を押さえてその言葉を引っ込める

季節を作る時点で凄いとも私は思うね

直接でないにしろ四季の神が生まれた要因を作った妖だ

凄いと思わないのもどうかと思う

皇雅は普段見えない双眸で私を一見してまた口を開く



「私ができるのは完成形に一手間加える程度…私などいなくともいつかは存在するものでね。そう聞くと君が思うほどのものではないだろう?」



私の心の中を読んだようにそう応えた

その事に驚いているとまた口を開く



「君はわかりやすい神だね。すぐに顔に出る」

「っ…そうかい?」

「あぁ、そんなことなら最初から隠さず話してくれると楽でいいね」

「…」

「…それができたら苦労しないって顔だね。神に寿命などないんだから直していくといいさ、存外高天原の神はそういう性格を好むと覚えておくといい」

「善処するよ」

「ありがとう」



そう言って皇雅はまた私が来る前と同じ状態に戻った


特に話題もないので私は諏訪子達の元に行くことにした



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



「早苗~諏訪子の様子はどうよ?」

「あっ神奈子様。未だこの調子です…あの先ほどの妖は…?」

「妖?あぁ、皇雅のことか」



まるで妖ということを忘れているかのようにあっけらかんに神奈子様は答えた

…というか皇雅という名前なのかぁ…



「皇雅なら縁側に居るよ、話してみたいなら行ってみるかい?友好的な妖だし、介抱くらいなら私が引き受けるよ」

「あ、いえ…や、そ、そうですね。妖にも興味があるので任せてもいいですか?」

「あぁ、行ってきな…ってあれ居ない」



神奈子様から許可を貰った瞬間私は風祝の能力を使ってまで移動した



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



皇雅さん皇雅さんはっと…あ、いた

皇雅さんは縁側でゆったり寛いでいた。お茶が横にあってもいいくらいに

私の視線に気付いたのか、皇雅さんは私が見つけた数秒後に私を見ると口を開いた



「おや、確か…早苗だったかな?」

「は、はい!東風谷早苗といいます!」

「東風谷…珍しい姓だね、私は皇雅。名前は先ほど神奈子から聞いたよ」

「はい!私も先ほど貴方の名前を神奈子様から伺いました」



神奈子様グッジョブと心の中の私がガッツポーズしたことなど顔には出さずに皇雅さんの隣に腰掛ける



「現人神になって日は浅いのかな?」

「そうですね、まだ数年ほどしか経ってませんよ」

「そうか…っと天照はどうだった?」

「未だグロッギ…疲れ果てておりますね、今は神奈子様とチェン…交代しました」



思わず慣れ親しんだ言葉で話す度治しつつ話した

諏訪子様達で通じなくて治す努力はしているが癖の一貫なのでなかなか治らないのが悩みどころ



「あぁ、そうだ。これを…」

「?」



皇雅さんは背負鞄を私に手渡す

ワンショルダーで小型のバックといったサイズだろうか

風呂敷や竹籠とは違った作りの鞄だった



「天照に土産として持ってきたんだがね、流石に酒で潰れたあとでは多いから減らしてくれないかな?」



そう言われ手で「開けて」と促される

封を開け中から出てきたのは金平糖だった

形はまばらだけど色とりどりのそれをシフォン(透ける布)で包装しておりそれがまばらな金平糖を綺麗に整えているように見えた



「綺麗…」

「なかなか星の形にならなくてね…味は保証するよ」

「って、これ貴方が作ったんですか!?」

「知り合いの妖に作り方を教えてもらいつつだけどね」



金平糖のつくり方を知ってる妖怪っているんだなぁと脳内で考えながら一粒口に放り込む



「おいしぃ…」

「そう言ってもらえるとお世辞でも素直に嬉しいよ」

「いえ、お世辞じゃないですよ。本気でそう思いますもん」

「それは良かった…よかったついでに一つ」

「なんでしょう?」



金平糖を口に含みつつ皇雅さんの言葉に耳を傾ける



「無理やり口調を直さずに喋ってもらって結構だよ。全て…というわけではないがニュアンスは私だって通じるよ」

「ぶふっ?!」



思わず吹き出した

古い妖怪だと思って口調を治していたのが気になっていたようだ



「それと、妖怪なんかと知り合いになるのは嫌かも知れないけどよければ友人になってもらえないかな?」

「は、はい!こちらこそ!」

「よろしく」



そういって皇雅さんと握手した

さっき後悔してたことを全てできて私はこの後も暫く舞い上がっていた



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



紫から現代語というのを学んで良かったと思った

ナユタが使い始めていた言葉というのもあって早苗が言い直すたびに壁があるようで嫌だった

まぁ、私が古い妖だと思って善意でしてくれていたのだろうが素で話してくれるほうが、私からすれば素で話してくれた方が好みというだけだ


早苗はあの後金平糖を渡しに行ってくると言って去っていった


天照はいつ目が覚めるのだろうか…



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



艦これやらお祭りの手伝いで遅くなりました

洩矢話でした


目隠しが酒まみれで使えなくなったので皇雅くんはすっぴんになりました

顔以外の布はあるのですが早苗さん曰くイケメンだそうです



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