天語り
短いですけど完成しました
お待たせしました
セリフ多めです
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そういえば
些細な紫からの頼まれごとや、花の世話、修練にお菓子作りに、鬼との宴、
チルノと遊び、風見に花のことを教授してもらう
最近になってやることが増え知人が増える前であったのならば考えられないほどに私の生活は暇がなくなっていた
昔は何かあれば一度は高天原に戻って土産話をしていたのに―――だ
そして冒頭に戻るのだ
そういえば天照は何をしているのだろうか…と
そう思ってから私の行動は早かった
天照のために菓子を作り、花束を繕う
形が崩れないように私の能力で作った背負鞄にそれを入れる
ただの鞄だが『入れたものは壊れない』ようになっている
荷はあまり積めないが菓子を運ぶのにはうってつけだろう
高天原について私は真っ先に天照のもとに急いだ
理由はあれど悪いと思っているのだ。詫びのひとつは言いたい
「天照、天照はいるか?」
今にも走り出しそうな早足で高天原を駆ける
いつもならすぐに見つかるのだが…見つからない
何度か他の神を見つけその度に行方を聞くが「さぁ?」と首を横に振られるだけだった
…本当にどこに行ったんだ
だめでもともと、あの二人にも声をかけてみるか
あの戦い以来会っていないので挨拶も兼ねて
■ ◆ ■ ◆ ■ ◆
諏訪子と尖兵は同じ住処にいるらしい
諏訪大戦の後にそうなったそうだ
詳しくは聞いていないが他の神から居場所を聞き私はそこまでやってきた
「諏訪子、いる…か……ん?」
私が諏訪子のもとへ行くと私を出迎えたのは目玉のついた麦わら帽子だった
その帽子は床にぞんざいに置かれていた
誰の帽子だろうか…少なくとも諏訪子もあの尖兵もかぶっていたところを見ていない
まぁ…だいぶ会っていなかったので知らないだけだが
「う…ごごごご」
「っ!?」
その帽子を拾い上げようと近付くと帽子から声がして、私は思わず飛び退いた
いや待て、今の声は聞き覚えがある
私がこの場に訪れた最大の理由とも言える者の声だ
「諏訪子かい?」
「んぉ?…っ!あ、あんたねぇ…っ…くぅ…」
私の顔を見て飛び起きた諏訪子は二日酔いのように頭を両手で抑え唸る
…二日酔い?
「一体どうしたんだい?酷く頭が痛そうだが」
「痛そうじゃなくて痛いのよ。ったく…私は酒に強くないってのに…でも――さまのお誘いを断るわけには…」
後半は細々と喋っていて聞き取れなかった
酒…?なぜだろう…嫌な予感がしてきた
「…体調が悪いところ申し訳ないが…天照を知らないか…?」
「ん」
すっと頭を最低限だけ動かして指を差す
諏訪子が指差したのは襖だった
あの先にいるのか…
嫌な予感ほど当たるものはないとチルノに言われたが…本当かもしれないな
私は諏訪子を風通しの良い場に運び襖に手をかけた
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「で、ですねぇ…おうがさまはあのスキマにあってからこれっぽっちもあいにきてくれなかった…じゃない…あいにきてくれらくなったんれすよ」
「はい…はい…そうですね。全くあいつは酷い奴ですよね」
「ちがいます。わるいのはおうがさまじゃなくっれあのスキマなんです」
「あー…すいません、て、訂正しますからその手に持った一升瓶を振り回すのはやめてくだささい」
「ですからあのスキマがですねぇ…――」
…なんだこれは
あの天照が酒瓶抱えて振り回しつつあの尖兵に据わった目で私の話をふっかけているところだった
いや諏訪子の状況からしてだいぶあのままなのだろう
会話は天照の一方通行でずっと繰り返し巻き返しだ
私と呑んだ時は泥酔してなかったのか…?
尖兵は酒に強かったようで酌み交わし苦笑しつつも天照を宥めようとしていた
…っといかん、止めないと
「天照」
「はわぁ…おうがさまにあいたいとおもってたらげんちょうらきこえました」
「天照様、後ろ見てください」
尖兵に言われて天照は頭を左右に揺らしながらこちらを見る
「ほぇ…?おうがさまがみえう…?」
「寂しい思いをさせたようだね?」
「…はぅわっ!?」
「?!」
「ぁぅぁぅわたくしとしたことがこんな姿を皇雅様に見られてしまったでもそうなったのも皇雅様いえあのスキマのせいであってでもどんなことがあっても昔はわたくしのもとに来てくれていた皇雅様がこなくなったのは皇雅様のせいでもあるわけででも皇雅様のことをわたくしは悪いとは思ってなくてでもどんな事象であれ結果がこのザマでは皇雅様が私に愛想を尽かして会いに来てくれなくなるいいやそれはダメですでももう見られてますしぁぅぁぅぁぅぁー」
「あ、天照…?ど、どうしたのだ」
「こうなったら…」
私の顔を見て据わっていた目がばっと見開き、早口を言いつつ両手で顔を抑えた途端ぶるぶると体を震わせ始めた
この時点で気付くべきだった
尖兵が手で耳に蓋をしながらそそくさと部屋から離脱していることに
震えが止まり私の方へ向き直ると天照はそのまま私に目掛け飛び込んできた
「っ!?おい天照どうしたというのだ?!」
「ふふっ皇雅様ぁ…」
流石に振りほどくなどできない私は天照にされるがままにされていた
現状、彼女に馬乗りされていて両手を拘束されている
「あ、あまてらす…?」
そしてそのまま…――
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後編に続く…さてどうなることやら?
神様パートです
尖兵尖兵言っておりますが名前聞いてないですもんしょうがないです
酒が絡むと彼女は壊れますね




