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東方神語  作者: 朱莉
語り部:妖
16/26

成語り

はい。投稿スペース遅くなってきましたね

やはり亀更新

くぅ…疲れました。

夏の船の上から見える景色が好きでした

よるは街の光などありませんから甲板で仕事着敷いて星空を見上げて

これだけ聞いたらいいところでした

いやでも…船酔いテメェはダメだ!



では始めます


■  ◆  ■  ◆  ■  ◆


月の畑の花々が咲くのは太陽が沈み向日葵の花が萎み始める時間だ

太陽の畑から移動して、月の畑についた頃に丁度満開するようになっている

幻想郷での太陽と月の位置付けは話し合いの末そういう結果になった

存在の境界をいじるのもいいが思い入れがあるのも事実

ならば残すのも当たり前なのだろう

…以前思っていたことも素敵なのだがね


そしてまだ決まってはいないが太陽と月にかかる道は花道を作ろうとも思っている

現段階では花道か私の店を丁度中心に置くのもいいかな…と悩んでいるのだ

花道ならば迷うこともなく風見自体が飽きることもなさそうなので私としても喜ばしいのだが、綺麗な景色で店をやりたいのも事実

両方にするのは流石に横暴だろうか?

そこについては風見と話し合った上で紫に報告するつもりだ



店自体は手押しの屋台のように小規模で移動するのがいいか…

いややはり最初の思考通り一箇所に備え付けるのも悪くはない



悩みはあれどそれが苦痛にならず楽しい日々を過ごしていた



そんなある日のことだ

私は月の畑で奇妙な蝙蝠に会った。会ったというか見たというのが正しいだろう

ソレは草原の上で綺麗に立っていた

コウモリと言うがあれは妖…いや鬼だろうか

それに近いモノだった。見た目は蝙蝠だが妖気がただの蝙蝠ではないのだ

使い魔の一種だろうか、それとも変化した姿なのだろうか


私がソレを初めて見たときから二日後に同じ気配を持つ蝙蝠が現れた

気になった私は意を決して話しかけた



「もし」

「…」



ソレは反応しない、が、羽を一度羽ばたかせた

しかし目線は月の畑を見続けていた

やはり使い魔かもしくは妖気にあてられて変異した蝙蝠なのだろうか

ならばそれでいい

でも若しかしたら言葉が話せないのかもしれないから



「今から話すことは私の独り言。煩いかもしれないが悪いね蝙蝠さん」



態とらしく咳をして私は話し始める



「ここは月の畑という場所でね…私がある妖怪に聞いて作った花畑なんだ」



木の幹で深く座り込んで月光で木々から漏れる光で花たちは表情を変える



「中には私が作った薬草もあってね、能力を使って採取しても次の日には自生するようになっているのさ」



最近植えた香草を根から抜き取り茎を口に咥え軽く咀嚼する



「私に教えてくれた妖怪は太陽の畑という花畑を持っていてね」



口に広がる香草の香りを楽しみながら私は独り言を続けた



「あれは一見の価値がある。ここを綺麗だと思えた者にはそう言い切れる」



そこまで言うと蝙蝠はやっとこちらを見た

そうしてやっと口を開いてくれた



「ありがとう。私がもし太陽のもとを歩けるようになったらそうさせてもらうわ」



女性らしい高い声でそう言ってくれた

私は笑顔で応えた



「もし、その時が来たらここに来るといい。私の独り言を聞いてくれたお礼をさせておくれ」

「その時が来たらここに来ると思うわ」

「その時が早くに訪れるのを待っているよ」



私がそこまで言うと蝙蝠は飛び去っていった


その蝙蝠はそれ以降、姿を現すことがなかった

力を貯めているのか…はたまた潰えたのか

それは私にはわからないが、きっと後者はない

多分…いや確実に近しいうちに会えると信じてやまなかった



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



それから何年過ぎただろうか

季節も移ろい雪も何度か降った


今日は日差しが弱く日向で過ごすには丁度いい涼しい気候だった

最近の私はこの気候になると月の畑の傍で読書をするようにしている

今でこそやってはいないがナユタに絵本を読んでいたこともあった

最近のナユタはもう一人で難しい本を読めて少し寂しいと思うが…



ちなみに私は以前包帯を顔に巻いていたが今は片目だけ出している

私生活にあたって目など必要としないが流石に文字を読むのは目を出したほうが早い

読むのが早ければそれだけ読める本も増える

だから読書の時は目を出していた

いつも覆っていたので太陽光が眩しくそれですら新鮮に感じられて私は顔にこそ出さないが心の底から嬉しがっていた

そろそろ本を閉じようと思ったとき何故かあの蝙蝠の事を思い出した



あの時の約束事を思い出として扱うようになったのか…と一人呟く

もちろん私はあの時の約束が偽りなどと思っていない

悔やむことがあるとすれば、名前を知らないことだろうか…私もあの蝙蝠もだ

だが場所は変わらず此処のままだ

だから、私が此処にいればいつかは会えるだろう



そう、あの時の記憶を掘り起こしている時に来客があった

客…といっても花畑を見に来た程度だろうが

背はチルノくらいの小さなお嬢さんだった

そのお嬢さんは日傘を深くさしていて顔はよく見えない

…顔が見えないのは私にも言えた義理ではないが。

そのお嬢さんは私より少しだけ離れた場所に腰掛けると月の畑を見ていた


懐かしむように月の畑を見るその瞳に私は何故か覚えがあった

しかし私は、このお嬢さんを見るのは初めてだ

ではなぜ覚えがあるのか…そう思っているとお嬢さんは小さく囁いた



「ここは変わらないのね…」



懐かしむように囁かれたソレは独り言のようだった

しかし…聞き覚えのある声だった

この後の彼女の行動で私の疑問は晴れることになった



「月の畑はいいところね、お兄さん」



そこで初めて彼女が私に顔を向けた

幼さが残るその顔は薄く笑んでいた

日が沈み日傘をさす必要もなくなったのか、日傘を畳む

そして彼女は足元に生えている香草の葉を一枚毟り口に咥えて咀嚼した

彼女はその味を楽しんでいるのか、目を細め深く息を吐いていた

その様があの時の私と同じ動作なのだが私はソレに見惚けた

それは私としては珍しい事だった



「私のこと覚えてない?」



私がずっと見ていたからだろうか

彼女は不安そうにそう告げた

だが私はそのまま見続けていた



「まぁ無理もないわね。だいぶ姿が変わってるもの」



しょうがないと言い聞かせるように彼女は私から視線をずらし月の畑を見直した

そこでやっと私は動く

なぜ動けなかったのかもわからないが喋らねば相手に悪い



「変わらないのは風景だけか…」

「いや、そうじゃないんだ」

「?」

「少し、驚いてね。惚けてたといっても過言ではないよ」

「そうなの?」



私がそう言うと彼女は安心するように胸を撫で下ろす



「私の記憶違いでないなら君はあの蝙蝠かな?」

「えぇそうよ。まだ立派に太陽の下を歩けないけどだいぶマシになったわ」



立派に――ということは先ほどのように日傘なり道具を持ち寄れば歩けるようになったということだろう

現に彼女が来た時もまだ日は落ちていなかった

どんなに日差しが弱くともそれは彼女にとって偉業だったろう

しかもこの短い期間でやり遂げたのだ



「ここに来るので精一杯ね、太陽の畑はまだ私には無理そうよ」

「素直に言ってくれて嬉しいよ。というより私は冗談も看破できずに連れて行きそうだ」



もしも行けるなんて言われていたら連れて行きそうだった

そこいらの配慮はまだ私には足りていない



このあとも私たちは雑談をした

今まであったこと。趣味。些細なこと。なんでもだ

その過程で彼女の名前と種族を聞いた

彼女の名前はレミリア・スカーレット

その彼女の種族は吸血鬼

日光に弱い鬼と軽く説明してくれた

日本では珍しい妖怪だそうで私が不思議そうにしていたら苦笑しつつも答えてくれた


能力はまだわかってないらしい

ツェペシュの末裔がどうとか言われたがツェペシュ自体を知らない私にはよくわからなかった



「最近私に妹ができたの」

「そうか…妹も外に出られるようになったら連れてくるといい。若しくは私から出向こうか」

「そうね。今度はそうしましょうか」



レミリアは立ち上がり裾についた汚れを軽く払う

そして私に向き直りコホンと咳払う



「今度、湖の近くに館を建てるの。門番も居るからあなたの名前を聞いたら通すように命じておくわ」

「お嬢さんだと思っていたがお嬢様だったとはね」

「ふふっ、書庫もあるからナユタ…だっけ?その子と一緒に気楽に来てくれると嬉しいわ」

「そうさせてもらうよ」

「その時が来たらついでであの時のお礼も貰おうかしら」



牙を見せ笑う彼女に思わず苦笑してしまったのは内緒だ


そうして彼女は去っていった



私が彼女の館に行ったら菓子を持っていこう

彼女と会話している時に紅茶が好きだと言っていた

なら茶菓子が妥当だろうか…

花もいいかもしれない


そしてふと思う

なんだかんだ言って誰かに誘われて遊びに行くのはこれが初めてなのではないだろうか

遊びに行く時はもちろんナユタも連れて行こう

書庫があるといっていたのもそうだしレミリアの妹といい友達になれるだろうと信じて



■  ◆  ■  ◆  ■  ◆



それは一種のカリスマパワー。

個人的に紅魔組みは大好きです

原作に於いても二次創作に於いても


前書きに関しては縦読みでした。意味は遅かったですが


香草はミントの口直しみたいに使うものだと思っといてください

まぁいい香りがするなぁ 程度の


最初はタバコのようにしようかと思ったけど違うかなぁって思ったのでこのように


皇雅くんは目で感じるな、心で感じろ!とかそんな部類

読むの遅いけど見なくても読めます


美的センスは人それぞれですよね


今月中に投稿出来て良かったです。

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