表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇職『翻訳家』が、古代龍の愚痴を聞きながら異世界飯で聖獣娘を囲う件  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/19

第8話 龍様が「ここに住む」と宣言

ヴォル爺の二皿目のカレーを平らげた後、辺境の空は少しだけ甘いスパイスの香りが残っていた。


巨大な黒い体が屋敷横の広場にゆったりと横たわり、金色の瞳を半分閉じて満足げに息を吐く。

時々尻尾が軽く地面を叩き、低い唸り声が響く。

「ふむ……この味、1000年ぶりに舌が震えたわ……」


辺境の住民たちは遠くから恐る恐る集まり、木陰や家の陰から龍の様子をうかがっている。

誰も近づこうとしない。魔王復活かと思われた古代龍が、ただカレーを食べて満足している姿に、誰もが言葉を失っていた。


俺は庭の端に立ち、龍の巨大な頭の前に少し近づいた。

心臓がまだ少し速く鳴っている。


「ヴォル爺……カレー、気に入っていただけましたか?」


龍の金色の瞳がゆっくりと開き、俺をじっと見下ろした。

重厚で低く、でもどこか優しい声が響く。


「気に入ったなどという言葉では足りぬ。

わしは1000年、雲しか食べておらんかった。

この甘さとスパイシーさ、肉の柔らかさ……わしの心まで温かくなったわ。

おぬし、天野悠真よ。おぬしの翻訳と飯のおかげじゃ。」


脳内ではリリが即座に大興奮で叫び始めた。


「やったぁぁぁ! ユウマくん、龍様完全にメロメロや! 1000年ぶりに心が満たされたって……あたしもう泣きそうやわ~! これで触れ込みの本気モード発動やで! 鳥や風の精霊に『翻訳家さんのところに龍様が住んでて、地球の美味しいご飯が毎日食べられるよ~♪』って全国にばらまいたる! 聖獣娘たちが次々来るはずや! キツネビちゃんとか人魚姫とか、みんな『龍様がいるなら安全でしょ!』って勘違いして集まってくるわ~♡ ユウマくん推し活史上最高の瞬間や!」


リリの関西弁が頭の中で止まらない。

俺は心の中で小さく苦笑した。


「リリ、勝手に全国宣伝すんなよ……本当に聖獣が来たらどうすんだ」


「ええやん! ユウマくんが不遇職から一気に人気者になるチャンスやし! ほら、龍様がここに住むって言ったら、もう辺境は『聖獣御用達の家』やで! カレーだけじゃなく、唐揚げやたこ焼きも開発して、毎日新メニュー出したら聖獣ハーレム完成や! あたし毎日レシピ提案したるから! 楽しみすぎてあたしもう飛び跳ねてるわ~!」


その時、いつもの元気いっぱいの足音が聞こえてきた。


「ユウマ! 今日も龍様のご飯お疲れ~!」


桜井花音が中央文書課から仕事終わりに駆けつけてきた。

栗色のポニーテールを揺らして、俺の横にぴょんと飛びついてくる。

彼女はヴォル爺の巨体をチラッと見て少しビビりながらも、すぐに笑顔全開になった。


「龍様! カレー二皿目も完食したんですね! すごい! ユウマのカレー、ほんとに世界一だよ! 私も手伝ったけど、龍様がこんなに喜んでくれるなんて……ユウマ天才! ねえねえ、龍様、私もご挨拶していいですか? 私は花音! ユウマの幼馴染で文官です! これからも毎日来てご飯作りますから、よろしくお願いします!」


花音は龍の前で元気よく頭を下げ、ポニーテールを大きく振って笑った。

活発な彼女は龍の威圧感に負けず、むしろ目を輝かせて話しかけている。


ヴォル爺が低く笑った。


「ふむ……小娘よ。おぬしも飯の手伝いをしたのか。

よい心がけじゃ。わしはここにしばらく居つかせてもらうとするかのう。

愚痴を聞き、飯を食べ……この場所はわしにとって久しぶりの安らぎじゃ。」


その言葉が辺境全体に響き渡った瞬間、周囲の住民たちがざわめいた。

「龍様が……ここに住むって……」「魔王じゃなくて本当に住むの……?」


龍の宣言は明確だった。

「ここに住む」と正式に決めたのだ。


俺は少し緊張しながらも、深く頷いた。


「……はい。どうぞ、ごゆっくり。ここはヴォル爺の家です。」


花音が俺の腕をぎゅっと掴んで大喜びした。


「やったぁ! 龍様、正式に住むんだ! ユウマの家が龍様の家になるなんて……これから毎日もっと楽しくなるよ! カレーも唐揚げもたこ焼きも、龍様のためにいっぱい作ろうね! 私も毎日手伝うから! ユウマ、すごいよ! 翻訳家なのに龍様を家に招き入れるなんて、私の幼馴染最強!」


彼女の笑顔がまぶしい。

ポニーテールを振り乱しながら、龍に向かって手を振っている。


リリが脳内で大勝利の雄叫びを上げた。


「これで龍様居つき正式決定や! ユウマくん、完璧すぎるわ~!

女神の触れ込みが本格的に効いてくるで! 聖獣娘第一号が来るのももうすぐや!

ユウマくん、これからハーレム加速スタートやで~♡ あたしもう次の触れ込み第二弾も準備中や! 楽しみすぎるわ!」


ヴォル爺が満足げに目を細め、低く唸った。


「ふむ……わしはここに居つかさせてもらう。

飯と愚痴と……この温かさ。

若いドラゴンどもに自慢してやろうかのう。」


巨大な翼が軽く動き、辺境の風が優しく吹いた。

金色の瞳に、1000年ぶりの安堵と楽しげな光が宿っている。


辺境の空に、龍の低い満足げな息遣いと、カレーの残り香が混じり合っていた。

不遇職の翻訳家が、古代龍を正式に家に招き入れた瞬間だった。


女神の触れ込みが、静かに、でも確実に全国へと広がり始めていた。

これから辺境は、もっともっと賑やかになる予感がした。


花音が俺の肩をポンと叩きながら、笑顔で言った。


「ユウマ、これからも一緒に頑張ろうね! 龍様と一緒に、毎日楽しい日々にしよう!」


リリが最後に嬉しそうに囁いた。


「これで聖獣娘ハーレムへの第一歩や!

ユウマくん、次はもっと面白くなるで~!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ