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不遇職『翻訳家』が、古代龍の愚痴を聞きながら異世界飯で聖獣娘を囲う件  作者: 寝不足魔王


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第7話 龍様に異世界カレーを作ってみた

朝の陽光が辺境の小さな家を優しく照らしていた。


屋敷のすぐ横に、巨大な黒い影が横たわっている。

全長40メートルを超える古代龍ヴォルガリス――通称ヴォル爺。

昨夜からそこに居ついて以来、辺境の住民たちは遠巻きに恐る恐る見守るばかりで、誰も近づこうとしない。


俺は庭に出て、龍の巨大な頭の前に立った。

金色の瞳がゆっくりと開き、俺を見下ろす。


「ヴォル爺……昨日の愚痴の対価として、食事を作ります。どうでしょう?」


龍の低く重厚な声が響いた。


「ふむ……食事か。1000年ぶりじゃのう。よかろう」


脳内ではリリが即座に大興奮で叫んだ。


「やったぁぁぁ! ユウマくん、完璧や! ここで地球の味を披露するチャンスやで~! 絶対カレーや! この世界の材料で再現できるはず! 玉ねぎをしっかり炒めてからルーを作って……スパイスは香草で代用できる! 唐揚げも一緒に! あたしもうワクワク止まらんわ~♡ ユウマくん、キッチン行こ! あたしが全部レシピ教えたる!」


リリの関西弁が頭の中で止まらない。

俺は心の中で苦笑しながらも、台所に向かおうとした。


その時、元気いっぱいの声が飛んできた。


「ユウマ! おはよ~! 龍様に料理するって本当!?」


桜井花音がポニーテールを揺らして駆けつけてきた。

彼女は龍の巨体をチラッと見て少しビビりながらも、すぐに俺の腕を掴んで笑顔全開だ。


「私も手伝うよ! 絶対美味しいもの作ろう! ねえねえ、何作るの? 私、野菜切るの得意だよ! 龍様に喜んでもらえるように頑張るから、一緒にやろう!」


花音の活発な声が朝の空気に響く。

彼女は俺を引っ張りながら、キッチンに向かってスキップし始めた。


リリがさらに興奮した。


「花音ちゃんも来たで~! かわいいわ~! ほらユウマくん、カレー作る材料集めよか! 玉ねぎ、にんじん、じゃがいも……この世界にもあるはずや! ルーの味付けは……あたしが全部サポートしたるから! これで龍様が気に入ったら、もっと面白いことになるで~!」


こうして、古代龍のために初めての異世界カレー作り が始まった。

辺境の朝は、いつもより少しだけ賑やかだった。


キッチンに入ると、花音が早速袖をまくって動き始めた。


「ユウマ! 私、野菜洗うね! にんじん、じゃがいも、玉ねぎ……これでいいよね? 龍様に絶対喜んでもらおう!」


花音は元気いっぱいに野菜を洗いながら、笑顔で俺に話しかけてくる。

彼女のポニーテールが跳ねるたびに、朝のキッチンが明るくなる。


脳内ではリリが本格的にレシピ指導を始めた。


「よしユウマくん! ここからが本番やで! まず玉ねぎを薄切りにして、弱火でじっくり炒めるんや! この世界の玉ねぎは少し甘めやから、焦げないように注意! 次ににんじんとじゃがいもを一口大に切って……あ、肉は鶏肉でええよ! この辺境の市場で手に入るやろ?


スパイスは香草と唐辛子で代用できるはず! カレーのルーは小麦粉を炒めてから香辛料を混ぜて……ほら、ユウマくん、昨日あたしが教えた配合覚えてる? 玉ねぎの甘みを活かしてルーを濃いめに仕上げたら、1000年分の愚痴なんか吹っ飛ぶで~!」


リリの関西弁が止まらない。

俺は玉ねぎを切る手を止めずに心の中で返した。


「リリ、細かすぎる……本当に全部覚えてるのか?」


「もちろんや! あたし暇人女神やから、地球のカレーレシピ100パターン暗記済みやで! ほら、玉ねぎが透明になってきたら肉を入れて炒めて……あ、唐揚げも一緒に揚げよう! 衣は小麦粉と水でシンプルに! ユウマくんが作るカレー、想像しただけでお腹すいてきたわ~♡ 龍様が気に入ったら、次はたこ焼きやラーメンや! あたし毎日新メニュー提案したるから!」


花音が隣で鍋をかき混ぜながら、俺の顔を覗き込んできた。


「ユウマ、また女神さんと話してる顔だよ! なんか楽しそう! 私も手伝ってるのに置いてけぼり~! ねえ、どんな味になるの? 龍様に『美味しい!』って言わせたいよね! 私、ルーを味見していい? あ、熱い! でもいい匂い! ユウマ天才!」


花音はスプーンでルーを少しすくって味見し、目を輝かせて俺の肩を叩いた。

彼女の活発な動きでキッチンがどんどん賑やかになる。


リリがさらに興奮した。


「花音ちゃん可愛いわ~! ほらユウマくん、ルーが煮詰まってきたで! 最後に塩コショウで調整して……完璧や! この世界の材料だけでここまで再現できるなんて、ユウマくんの腕前やで! 龍様が食べたら絶対1000年分の愚痴が止まるわ! あたしもう触れ込み流したくなってきちゃった~!」


鍋から立ち上るスパイシーな香りが、辺境の小さな家全体に広がっていった。

材料集めから調理まで、予想以上にスムーズに進んでいる。


花音が最後に皿に盛り付けながら、俺にウィンクした。


「ユウマ、完成だよ! 龍様、絶対喜ぶよね! 私も一緒に持ってくよ!」


こうして、異世界カレーがついに完成した。

巨大な古代龍にどうやって提供するのか……その瞬間が近づいていた。


カレーが完成した。


鍋から立ち上るスパイシーで甘い香りが、辺境の小さな家全体を包み込んでいる。

花音が皿に盛り付けたカレーライスを両手で持ち上げ、目を輝かせた。


「ユウマ! できたよ! めっちゃいい匂い! 龍様、絶対喜ぶよね!」


問題はここからだった。

巨大な古代龍ヴォル爺の口は、俺たち人間の身長より遥かに高い位置にある。

どうやってこのカレーを届けるのか……。


脳内ではリリが大笑いしながら提案してきた。


「アハハ! ユウマくん、コミカルすぎるわ~! ほら、花音ちゃんと一緒に大きな葉っぱか木の板に盛り付けて、龍様の鼻先に持って行き! あたしが言う通り、龍様の舌は繊細やから、熱々で提供してあげて! これで1000年分の愚痴が一気に吹っ飛ぶで~!」


花音がすぐに反応した。


「わかった! 私、大きな木の板探してくる! ユウマはカレー温めてて! 龍様に喜んでもらおうよ!」


彼女は元気いっぱいに外へ飛び出し、すぐに大きな平らな木の板を抱えて戻ってきた。

二人でカレーを板の上に豪快に盛り付け、湯気を立てながら龍のいる庭へ運ぶ。


ヴォル爺の巨大な頭がゆっくりと持ち上がった。

金色の瞳が俺たちをじっと見下ろす。


「……ほう。これは……?」


俺は板を地面に置き、精一杯の声で叫んだ。


「ヴォル爺、これが愚痴の対価です。異世界の味……カレーといいます。どうぞ、召し上がってください」


花音が隣で小さく拳を握って応援している。


龍がゆっくりと鼻を近づけ、香りを嗅いだ。

次の瞬間、巨大な口が開き、板ごとカレーを一気にすくい上げた。


ゴクン……。


辺境全体が静まり返った。


龍の金色の瞳が、ゆっくりと大きく見開かれた。


「……なんだこれは……!」


低く震える声が響く。


「1000年ぶりじゃ……舌が震える……!

この甘さとスパイシーさ、肉の柔らかさ……わしは今まで雲しか食べておらんかったが……これが人間の食い物か! たまらんわ!」


ヴォル爺の巨大な尻尾が、嬉しそうに地面を軽く叩いた。

1000年分の愚痴が、一瞬で吹き飛んだかのように見えた。


脳内ではリリが大勝利の雄叫びを上げていた。


「やったぁぁぁ! 龍様、大絶賛や! ユウマくん、完璧すぎるわ~!

これで女神の触れ込み流したる! 全国の聖獣たちが『龍様がいるなら安全でしょ!』って集まってくるで~♡」


花音が俺の腕を掴んで飛び跳ねた。


「ユウマ! 龍様、めっちゃ喜んでる! すごいよ! 私も一口食べたかったけど……龍様の反応見てたらもう満足だよ!」


龍がもう一度、満足げに低く唸った。


「もう一皿……くれぬか?」


こうして、古代龍との初めての食事は大成功に終わった。

辺境の空に、甘いカレーの香りが漂い続けていた。


ヴォル爺の巨大な口が、もう一度ゆっくりと開いた。


「……もう一皿……くれぬか?」


低く満足げな声が響き渡る。

金色の瞳が細められ、1000年ぶりに本物の「喜び」が浮かんでいた。


俺は思わず笑みがこぼれた。

花音が隣で飛び跳ねながら大声を上げた。


「やったぁ! 龍様、気に入ってくれた! ユウマ天才! 私、すぐに第二弾作るよ! もっとたくさん作ろう!」


彼女は興奮したままキッチンへ駆け戻り、残りのルーを慌てて温め始めた。

活発な動きが止まらない。


脳内ではリリが完全に勝利モードだった。


「やったぁぁぁ! 大絶賛やでユウマくん! 龍様の愚痴が一瞬で止まったわ~!

1000年ぶりに舌が震えたって……これで女神の触れ込み流したる! 全国に『翻訳家さんのところに行けば、龍様が喜ぶ地球の味が食べられるよ~♪』って鳥や風の精霊に広めちゃう!

聖獣たち、きっと次々来るで~! 狐耳娘とか人魚姫とか……楽しみすぎるわ♡」


リリの関西弁が頭の中で弾けるように続く。

俺は心の中で小さく息を吐いた。


これで……本当に始まったんだな。


ヴォル爺が二皿目を平らげながら、満足そうに低く唸った。


「ふむ……この味、忘れられぬわ。

わしはしばらくここに居つかせてもらうとするかのう。

愚痴だけでなく、飯も……楽しみじゃ」


巨大な尻尾が優しく地面を叩く。

辺境の空に甘いカレーの香りがまだ漂っていた。


花音が新しい皿を抱えて戻ってきて、俺の肩をポンと叩いた。


「ユウマ、これからも一緒に頑張ろうね! 龍様も喜んでるし、私も毎日来るから! 次は何作る? 唐揚げ? たこ焼き? 絶対もっと美味しくなるよ!」


彼女の笑顔がまぶしい。

リリが最後に嬉しそうに囁いた。


「これで聖獣娘ハーレムへの第一歩や!

ユウマくん、これからもっと面白くなるで~!」


辺境の朝は、カレーの香りと古代龍の低い満足げな息遣いに包まれていた。

不遇職の翻訳家が、静かに世界を変えていく予感がした。


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