第23話 3人娘の料理争奪戦スタート
リルが定住して数日、辺境の家は朝から賑やかになっていた。
キツネビが狐耳をピクピクさせてキッチンに立ち、尻尾をブンブン振った。
「今日のご飯は私が作ります~! 甘いパンケーキでみんなを幸せにします~!」
ミズナが尾びれをパタパタさせて水溜まりから顔を出し、鱗をキラキラさせながら言った。
「私の海の味で作ります~! 海鮮スープとご飯で、みんなの体を癒します~!」
リルがツリ目を吊り上げ、翼をパタパタさせて割り込んだ。
「父上のご飯は私が作ります! べ、別に父上が好きとかじゃないですけど……! 肉料理で父上を満足させます!」
3人娘が一斉にキッチンに集まり、料理争奪戦が勃発した。
花音がポニーテールを揺らして俺に駆け寄った。
「ユウマ! みんな料理したいって言い出してる! 可愛いけどカオスだよ! 私も手伝う! ユウマ、仲裁して! みんなの料理食べたい!」
俺はキッチンの端で材料を並べながら、脳内リリと会話をしていた。
「ユウマくん! 3人娘の料理争奪戦スタートや! キツネビちゃんの甘いもの、ミズナちゃんの海鮮、リルちゃんの肉料理で競うパターンやで~! キッチンがカオスになるわ! あたしもう笑いが止まらん! ユウマくん、フォローしてあげて!」
リルがツンデレで鍋を火にかけた。
「父上のために……肉を焼きます! べ、別に父上が喜ぶ顔が見たいとかじゃないですけど……!」
キツネビが甘い生地を混ぜながら尻尾を振った。
「パンケーキも作ります~! みんなに甘い幸せを~!」
ミズナが海藻を投入しようとして尾びれで水を跳ねさせた。
「私の海の味も入れます~! 海鮮スープでみんなを元気に~!」
キッチンが一瞬でカオスに。
リルの肉が焦げ始め、キツネビの生地が溢れ、ミズナの海藻が鍋に大量投入され、味が混ざり合って変な香りが漂う。
花音が鍋をかき混ぜながら大笑い。
「ユウマ! 何これ!? 甘じょっぱい海鮮肉パンケーキ!? みんながんばってるけど……味がすごいことに!」
リルがツリ目を潤ませて落ち込んだ。
「父上に……こんなもの出せない……私、失敗しちゃった……」
キツネビが狐耳をぺたんと下げて謝った。
「ごめんなさい~! 私のパンケーキも混ざっちゃって……」
ミズナが尾びれをしょんぼりさせて言った。
「私の海の味が……みんなの味になっちゃいました~……」
ヴォル爺が庭から低く覗き込み、鍋を一口食べた。
「……ふむ。
全部混ざった味……悪くないのう。
わしは全部食う。」
龍様が巨大な口で鍋ごと平らげ、満足げに唸った。
「……これも……味じゃ。」
みんなが一瞬固まり、次に大笑い。
キツネビが狐耳を立てて言った。
「龍様が食べてくれました~! みんなの料理、成功です~!」
ミズナが尾びれをパタパタ。
「みんなの味になりました~! これからも一緒に作りましょう~!」
リルがツンデレで頰を赤らめながら言った。
「べ、別にみんなと一緒に作りたいとかじゃないですけど……! 父上のために……また作ります……!」
花音が俺に抱きついて笑った。
「ユウマ! みんな可愛い! 料理争奪戦も楽しかったよ! これからも毎日こうしよう!」
リリが脳内で締めくくった。
「3人娘の争奪戦大爆笑や! 失敗から絆深まるパターン最高やで~!
これでハーレム3人体制の日常基盤できたわ! 次はもっとすごい騒動来るで~♡」
辺境の朝は、変な味の料理とみんなの笑い声に包まれていた。
不遇職の翻訳家生活は、ますます賑やかで、温かいものになっていく。




