第21話 ドラゴン娘リルが「父上!」と慕って登場
ゆるふわ日常が続くある朝、辺境の空に小さな翼の音が響き始めた。
最初は風の音かと思ったが、次第に近づいてくる。
俺が庭に出ると、空から赤い鱗に覆われた少女がゆっくり降り立った。
人間サイズのドラゴン娘で、頭に小さな角が生え、背中に折りたたまれた翼、長い尻尾がゆらゆら揺れている。
見た目は15歳くらい、ツリ目でツンデレ気質がにじみ出る表情、赤い髪が風に揺れ、鱗が朝陽にキラキラ反射していた。
彼女は金色の瞳でヴォル爺の巨体を見つめ、即座に駆け寄った。
「父上! やっと見つけました! ここにいたんですね!」
ヴォル爺がゆっくり目を覚まし、低く唸った。
「……誰じゃ、おぬしは……?」
ドラゴン娘――リルがツリ目をさらに吊り上げ、頰を少し赤らめながら胸を張った。
「リルです! 父上の遠縁にあたるドラゴン族の娘です! 父上の匂いを追ってここまで来ました! これからは父上のそばで暮らします! 文句ありませんよね!?」
キツネビが狐耳をピクピクさせて駆け寄り、尻尾をブンブン振った。
「新しい子~! ドラゴン娘さんですか~? 角と翼と尻尾がすごい! 赤い鱗キラキラで可愛いです~! 私、キツネビです! よろしくお願いします~! 一緒にご飯食べましょう~!」
ミズナが水溜まりから尾びれをパタパタさせて顔を出し、鱗を輝かせながら言った。
「新しい妹さん~! 私の海にようこそ~! 鱗がキラキラで綺麗です~! 一緒に泳ぎましょう~! 龍様のそばにいるなら、みんな家族です~!」
花音がポニーテールを揺らして飛び出してきた。
「ユウマ! ドラゴン娘だよ! 可愛い! 角と翼と尻尾がすごい! 私、花音! ユウマの幼馴染で文官! 一緒にご飯作ろう! ユウマの家、みんなの家だよ! リルちゃん、歓迎するよ!」
リルがみんなを見て少し後ずさり、ツンデレで頰を赤らめた。
「べ、別にみんなに歓迎されても嬉しくないですけど……! 父上のそばにいるために来ただけですから!」
脳内リリが大興奮でまくしたてた。
「来たで! ドラゴン娘リルちゃんや! ヴォル爺の遠縁って言い張って父上呼びするパターンやで~! ツンデレ全開で可愛すぎるわ! 翼パタパタしてるし、尻尾もピクピクしてる! ユウマくん、唐揚げで落とすで! 鶏肉の下味は塩コショウと醤油と生姜で30分漬けて、衣は小麦粉と片栗粉1:1でカリッと! 揚げ時間は中火で黄金色になるまで3分! リルちゃんの翼がパタパタ喜ぶ瞬間、絶対最高や! ハーレム3人目ゲット確定やで~♡」
ヴォル爺が低く否定した。
「……わしは子などおらぬ……遠縁など知らぬ……」
リルがツリ目をさらに吊り上げ、ツンデレで押し通す。
「べ、別に父上が好きとかじゃないですけど……! 遠縁として責任取ってください! 父上の匂いがするから来たんです! ここに住みます! 文句ないですよね!?」
キツネビが尻尾を振って歓迎。
「住んでいいですよ~! みんなでご飯食べましょう~! リルちゃん、唐揚げ好きですか~?」
ミズナが尾びれをパタパタ。
「私の海に新しい妹さん~! 一緒に泳ぎましょう~! 唐揚げ、私も食べたいです~!」
花音が俺の袖を引っ張った。
「ユウマ! リルちゃんも仲間だよ! 唐揚げ作ってあげよう! みんなで歓迎パーティー! リルちゃん、ユウマのご飯は世界一だよ!」
俺はキッチンに向かいながら頷いた。
「わかった。じゃあ、唐揚げ作ろう。リル、食べてみて。」
リルがツンデレで頰を赤らめながら言った。
「べ、別に父上のために食べに来たわけじゃないですけど……少しだけ、いただきます……」
キッチンで唐揚げを揚げ始めると、いい匂いが庭に広がった。
リルがそわそわしながら近づき、翼をパタパタさせて匂いを嗅ぐ。
「こ、この匂い……父上のために……少しだけ味見します……」
一口食べた瞬間、リルの金色の瞳が大きく見開かれた。
「……! 父上……この味……最高です……! カリッとジューシーで……温かくて……」
翼がパタパタと喜びで動き、尻尾がブンブン振れ、ツンデレの頰がさらに赤くなる。
「ここに住みます! 父上のそばで! 文句ありませんよね!?」
ヴォル爺が低く笑った。
「……ふむ。
飯が美味いなら……構わぬぞ。」
キツネビとミズナが大喜びで手を叩き、花音が俺に抱きついた。
「ユウマ! リルちゃんも仲間だよ! これで3人だね! みんなでご飯作ろう!」
リリが脳内で勝利宣言。
「ハーレム3人目ゲットや! ツンデレドラゴン娘完璧すぎるわ~!
これで序盤ハーレム体制完成や! 次は争奪戦とかもっと面白くなるで~♡」
遠くの空に、かすかな翼の影がもう一つ見えた気がした。
辺境の空に、唐揚げの香りと、ドラゴン娘の翼の音が混じり合った。
不遇職の翻訳家生活は、ますます賑やかで、温かいものになっていく。




