第19話 女神実体化(1回目)でアイスパーティー
温泉大騒動の翌々日、満月の夜が訪れた。
辺境の家は静まり返り、みんながそれぞれの場所でくつろいでいた。
キツネビは庭で尻尾をゆらゆらさせながら昼寝、ミズナは池のような水溜まりに浸かって尾びれをパタパタ、花音は仕事から帰ってきて俺と一緒に夕食の片付けをしていた。
突然、頭の中にリリの声がいつもより鮮明に響いた。
「ユウマくん! 今月は実体化タイムやで~! 月に1回、1時間だけ地上に降りられるんや! 今すぐ庭に来て! みんなも呼んで! あたし、待ってるで~♡」
声が途切れた瞬間、庭の中央に柔らかい銀色の光が降り注いだ。
光の渦が収まると、そこに小さなシルエットが現れる。
銀髪ツインテール、白い巫女服風のドレス、背中に小さな羽が生え、身長145cmのロリ巨乳姿。
リリアーナ――通称リリ――が実体化して立っていた。
「ユウマくん! やっと会えた~!」
リリが飛びついてきて、俺の胸にぎゅっと抱きついた。
関西弁が直接耳に届き、柔らかい感触と甘い香りが伝わる。
「実体化……本物なんだな」
「本物やで! 1時間だけやけど、触れられるし、声も直接聞こえるし、アイスも一緒に食べられる! 今日はアイスパーティーや! 地球のアイス再現して、みんなで食べよう~! キツネビちゃん、ミズナちゃん、花音ちゃん、龍様も呼んで!」
リリが俺の手を引っ張って家の中に飛び込み、みんなを呼び集めた。
キツネビが狐耳をピクピクさせて駆け寄ってきた。
「女神様! 本物の女神様~! かわいいです~! 耳も尻尾もないのにこんなに可愛いなんて……! 私、女神様に会えて幸せです~!」
ミズナが尾びれをパタパタさせて近づき、鱗をキラキラさせながら目を輝かせた。
「女神様……実体化……! 私の海の女神様みたい……! アイスって冷たくて甘いご飯ですか? 楽しみです~!」
花音がポニーテールを揺らして飛び込んできた。
「女神様! 本物だ! ユウマの頭の中でいつも話してる女神様が……こんなに可愛い! 私、花音です! よろしくお願いします! アイスパーティー!? 私も手伝うよ! ユウマ、一緒に作ろう! 女神様、めっちゃかわいい~!」
ヴォル爺が庭から低く覗き込み、金色の瞳を細めた。
「……ふむ。女神か。
久しぶりじゃのう。」
リリが龍に向かって手を振った。
「龍様! 久しぶり~! あたし、リリアーナやで! ユウマくんの推し女神! 今日はアイス食べてゆっくりしてな~! 龍様にも少しあげるから!」
みんなが庭に集まり、リリが実体化能力で持ってきた材料(氷、牛乳、砂糖、果物など)でアイス作りが始まった。
リリが元気よく指導しながら、俺に抱きついたまま話す。
「ユウマくん、氷を砕いて! 牛乳と砂糖を混ぜて、果物をトッピング! バニラアイスにフルーツソースかけて、みんなでシェアや! キツネビちゃんは狐耳みたいに可愛い盛り付け、ミズナちゃんは海鮮風に海藻トッピングで! 花音ちゃんは味見係! あたしも食べる~♡ ユウマくん、推しに会えて嬉しいやろ? あたしもユウマくんに会えて超幸せや~!」
キツネビが狐耳をぴくぴくさせながら盛り付けを手伝い、尻尾を振った。
「わあ~! アイスって冷たくて甘いんですね~! 女神様、ありがとうございます~! 龍様にもあげましょう!」
ミズナが尾びれをパタパタさせて喜んだ。
「冷たくておいしい……! 私の海にもこんなご飯があったらいいのに~! 女神様、ありがとうございます~! 実体化してくれて嬉しいです~!」
花音が一口食べて目を輝かせた。
「女神様! ユウマ! これめっちゃ美味しい! 私、毎日食べたい! 女神様、かわいいし優しいし……ユウマの女神様最高! 次も絶対来てね!」
リリが俺にさらに抱きついて笑った。
「ユウマくん、みんな喜んでるで~! あたしも幸せや! 1時間しかないけど……みんなと一緒にいられて嬉しいわ~♡ 次はもっとすごいパーティーにするから、楽しみにしててな!」
ヴォル爺がゆっくりとアイスを一口食べ、低く唸った。
「……ふむ。
冷たくて甘い……悪くないのう。
女神よ、久しぶりじゃ。」
リリが龍に手を振った。
「龍様! また来月も来るからね~! ユウマくんの推し活、ずっと続けるで!」
時間が近づくと、リリが少し寂しそうに言った。
「もう時間や……また来月な! ユウマくん、みんな、ありがとう! 次はもっとすごいパーティーにするで~!」
光がリリを包み、彼女の姿がゆっくり消えていく。
みんなが手を振って見送った。
キツネビが狐耳を少し寂しげに下げた。
「女神様、行っちゃいました……また来てほしいです~!」
ミズナが尾びれをパタパタさせて言った。
「女神様、優しかった……私の海にも来てほしいです~!」
花音が俺の袖を引っ張った。
「ユウマ! 女神様、ほんとに可愛かったね! 次はもっとみんなで楽しもう! 私、女神様のファンになったよ!」
ヴォル爺が低く息を吐いた。
「……女神も……賑やかじゃのう。」
辺境の夜は、アイスの甘い余韻と、みんなの温かい笑顔に包まれていた。
女神の実体化は短い時間だったが、みんなの絆をさらに深め、日常をより楽しくした。
不遇職の翻訳家生活は、ますます温かく、賑やかなものになっていく。




