第15話 ミズナ専用・海鮮丼開発と「ここが私の海!」勘違い定住
温泉騒動の翌朝、辺境の家はさらに賑やかになっていた。
ミズナは尾びれをパタパタさせて庭の池のような水溜まりに浸かり、青い髪を湯気のように揺らしながら「ここが私の海~!」と大満足げに宣言している。
鱗が朝陽にキラキラ光り、尾びれが水を跳ねさせて小さな波を作る姿は本当に美しい人魚姫だ。
キツネビは狐耳をピクピクさせながらミズナの横で座り、尻尾を優しく振って話しかけている。
「ミズナさん、昨日は大騒ぎでしたね~! でも楽しかったです! 龍様も『うるさいのう』って言いながら笑ってましたよ~!」
花音が朝ごはんの準備を手伝いながら駆け寄ってきた。
「ミズナちゃん! おはよ~! 尾びれキラキラでかわいい! 私、花音! 今日も一緒にご飯作ろうね! ユウマ、海鮮丼作るって! ミズナちゃんにぴったりだよ!」
俺はキッチンで新鮮な魚をさばきながら、脳内リリと相談中だった。
「ユウマくん! ミズナちゃんの定住確定やで~! ここは海鮮丼で完全に落とすチャンスや! この世界の川魚と海藻で再現できるはず! ご飯は炊いたてで、魚は刺身と煮付けのミックス! 醤油ベースのタレにわさび代わりに辛味噌で! 盛り付けは丼に魚を美しく並べて、海藻で飾って……ミズナちゃんの尾びれがパタパタ喜ぶ瞬間、絶対かわいいわ~! あたしもう想像しただけで興奮止まらん!」
リリが興奮でまくしたてる声が止まらない。
俺は心の中で返した。
「リリ、海鮮丼のレシピ細かすぎ……本当に全部覚えてるのか?」
「もちろんや! あたし暇人女神やから地球の海鮮丼パターン20種類暗記済みやで! ミズナちゃんは人魚やから、海の味を再現してあげて! これで『ここが私の海!』って勘違いがさらに深まるわ! 龍様にも少し分けてあげて! あたしもう次のドラゴン娘の触れ込みも準備中や~♡」
花音がキッチンに飛び込んで、魚を洗いながら大はしゃぎ。
「ユウマ! 海鮮丼作るの!? ミズナちゃん喜ぶよね! 私、魚切るの手伝うよ! キツネビちゃんも具飾りして! みんなで作ったら絶対美味しい!」
キツネビが狐耳をぴょこぴょこ動かして参加。
「わあ~! 海鮮丼ですか? ミズナさんにぴったりですね~! 私、海藻飾り担当します!」
ミズナが尾びれをパタパタさせてキッチンに近づき、鱗をキラキラさせながら覗き込んだ。
「海鮮丼……? 地球のご飯……? 私の海の味がするのかしら……? 楽しみです~! ここが私の海……龍様の家……幸せです~!」
俺たちはみんなで海鮮丼作りを始めた。
リリがリアルタイムで細かい指導を飛ばしてくる。
「ユウマくん、ご飯を炊きながら魚をさばいて! 刺身は薄く切って、煮付けは軽く火を通すんや! タレは醤油とみりんと砂糖で甘辛く……海藻は新鮮なやつを飾って! ミズナちゃんの鱗がキラキラ反射するように盛り付け美しく! わさび代わりに辛味噌でピリッと! これでミズナちゃんの尾びれが大パタパタやで!」
花音が魚を切って盛り付けを手伝いながら興奮。
「ユウマ! すごい! 魚新鮮でキラキラしてるよ! ミズナちゃん、ほら見て! これが海鮮丼! 絶対美味しいよ! 私、ミズナちゃんに一番最初にあげたい!」
キツネビが海藻を飾りながら尻尾を振った。
「わあ~! 綺麗です~! ミズナさん、龍様にも分けてあげましょう!」
完成した海鮮丼を大きな葉っぱの皿に盛り、まずはミズナに差し出した。
「はい、どうぞ。熱いところもあるから気をつけて」
ミズナは尾びれをパタパタさせて受け取り、鱗をキラキラさせながら一口食べた。
「……!? んんんっ……!」
次の瞬間、ミズナの尾びれがビュンッと大きく跳ね上がり、鱗が朝陽に反射して虹色に輝いた。
青い瞳がまん丸になり、頰がぷくっと膨らむ。
「おいしい……! 新鮮な魚の甘みとタレの甘辛さ……海藻の食感……これが地球のご飯……! 私の海の味……! 龍様~! これ食べてください! めっちゃ美味しいです~!」
ミズナは尾びれをパタパタさせて龍のところへ皿を持って泳いでいった。
ヴォル爺がゆっくり口を開け、数切れを平らげた。
「……ふむ。
この海の恵み……また新しい味じゃ。
新鮮さとタレのバランス……わし、気に入ったぞ。」
龍の低い声に満足げな響きが混じる。
ミズナは尾びれをパタパタさせて大喜び。
「龍様、喜んでくれました! 翻訳家さん、花音さん、キツネビさん、ありがとうございます! 私、毎日食べたいです~! ここが私の海……ずっとここにいます!」
花音が俺の横で拳を握って興奮。
「ユウマ! ミズナちゃんの尾びれパタパタすごかった! 絶対ハマってるよ! 私ももっと作るから、次は龍様にもいっぱいあげようね! ミズナちゃんも一緒に毎日作ろう!」
リリが脳内で大勝利宣言。
「やったぁ! ミズナちゃん完全メロメロや! 尾びれと鱗の反応最高すぎるわ~!
これで聖獣娘第二号も完全に落ちたで! ハーレム2人体制完成や! あたしもうドラゴン娘の触れ込みも流したくなってきた~♡」
ミズナが尾びれを優雅に揺らし、青い瞳を輝かせて俺を見た。
「翻訳家さん……これからも毎日美味しいご飯、作ってくださいね! ここが私の海……龍様とみんなの海……幸せです~!」
辺境の朝は、海鮮丼のいい匂いと、人魚姫の明るい尾びれ音に包まれていた。
不遇職の翻訳家生活は、ますます賑やかで温かいものになっていく。




