表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不遇職『翻訳家』が、古代龍の愚痴を聞きながら異世界飯で聖獣娘を囲う件  作者: 寝不足魔王


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/20

第12話 龍様の愚痴タイムが本格的に始まった

たこ焼きとお好み焼きの余韻が残る夕暮れ時。


辺境の家はキツネビの明るい笑い声で満ちていた。

狐耳をピクピクさせ、黄金色の尻尾をゆったり振るキツネビが、ヴォル爺の巨大な体に寄り添うように座っている。

彼女は龍の鱗を優しく撫でながら「龍様、今日もかっこいいです~!」と元気に話しかけていた。


俺は庭の端で洗い物を片付けながら、脳内リリと今日の振り返りをしていた。


「ユウマくん! キツネビちゃんの尻尾の動き最高やったで~! あたしもう毎日この光景見たいわ! でもほら、龍様がそろそろ愚痴タイムを求めてくる頃やで。今日から毎日ルーティンになるはずや! あたしが翻訳サポートしたるから、ユウマくんは相槌打つだけでOKや! 若いドラゴンたちの礼儀知らず話とか、雲の味が落ちた話とか……1000年分の愚痴を全部聞くんやで~!」


リリが興奮気味にまくしたてる。

俺は心の中で小さくため息をついた。


「毎日かよ……翻訳家が本領発揮すぎるだろ」


「ええやん! これがユウマくんのチート能力の正しい使い方や! 龍様の心が軽くなったら、もっとご飯リクエスト増えるし、聖獣娘もさらに集まってくるで! あたしもう楽しみで寝れへんわ~♡」


その時、ヴォル爺の低く重厚な声が響いた。


「……悠真よ。

愚痴を……愚痴を聞いてくれぬか?」


巨大な金色の瞳がゆっくりと開き、俺をじっと見つめてくる。

キツネビが狐耳をピクピクさせてすぐに反応した。


「龍様! 愚痴タイムですか? 私も聞きます~! 翻訳家さん、一緒に聞きましょう!」


花音がちょうど仕事終わりに駆けつけてきて、庭に入るなり目を輝かせた。


「ユウマ! 龍様の愚痴タイム始まるの!? 私も聞きたい! 絶対面白いよね! キツネビちゃんも一緒に座ろう! 私、メモ取るよ! ねえねえ、龍様、どんな愚痴ですか?」


花音はポニーテールを元気よく揺らして、キツネビの隣にぴょんと座った。

彼女の活発な声が辺境の夕暮れに響き渡る。


ヴォル爺がゆっくりと語り始めた。


「……若いドラゴンどもがのう……礼儀を知らぬ。

わしが昔、雲の上で瞑想しておると、急に突っ込んでくるんじゃ。『爺さん、邪魔!』と……1000年前はそんなことなかったというのに……」


俺は翻訳家能力で完璧に理解し、丁寧に相槌を打った。


「若いドラゴンたちが礼儀知らずで困っている……ということですね。

昔はもっと静かだったのに、最近は変わってしまった……と」


龍の金色の瞳がわずかに細められた。


「……ふむ。

おぬし、よくわかっておるのう。」


キツネビが狐耳をピクピクさせ、尻尾を興奮で左右に振った。


「若いドラゴンさんたち、ひどいですね……! 龍様にそんなこと言うなんて! 私だったら絶対失礼しませんよ~!」


花音が拳を握って大きく頷いた。


「そうだよ! 龍様、かわいそう! ユウマの翻訳、ほんとにすごいね! 私、全然わからないのにユウマが完璧に通訳してる……かっこいい! 龍様、もっと話してください! 私も一緒に怒ってあげます!」


リリが脳内で大笑いしながら長々と解説を始めた。


「ユウマくん、ええ感じや! この愚痴は龍様の定番やで! 若いドラゴン礼儀知らず話は毎回出てくるから、ちゃんと相槌打ってあげて! あたしが昔のエピソードも少し補足したるわ。1000年前は龍族の礼儀が厳しかったんやけど、今は若い子たちが自由すぎて……ほら、次は雲の味が落ちた話に移るはずや! ユウマくん、疲れてへん? あたしがずっとサポートしたるから安心して! これで毎日ルーティンになったら、聖獣娘ももっと集まってくるで~!」


ヴォル爺がさらに語り始めた。


「……それと最近の雲の味じゃ。

昔はふわふわで甘かったのに、今は味が薄うて……」


俺は即座に翻訳し、相槌を打つ。

キツネビの狐耳が興味津々でピクピク動き、花音が「雲の味って!?」と活発に突っ込みを入れる。

龍の声はどんどん軽くなっていく。


さらにヴォル爺の話は過去へと遡った。


「……昔、わしは若い頃……人間の里に近づいては、ただ見守っておっただけじゃった。

あの頃の人間たちは、わしを恐れず、時折果物を置いてくれたものじゃ……」


金色の瞳に懐かしさが浮かぶ。

キツネビが尻尾を優しく振って聞き入り、花音が「人間と龍様、昔は仲良かったんだ……!」と目を潤ませる。


リリが脳内で補足を入れる。


「ユウマくん、フラッシュバック来てるで! 龍様の過去は寂しがり屋の部分が多いんや。昔は人間と交流あったのに、鎖国以降は孤立して……だから今、ユウマくんが愚痴聞いてるだけで心軽くなってるわ! もっと相槌打ってあげて!」


ヴォル爺が最後に低く息を吐いた。


「……わしは寂しかったのじゃ。

誰もまともに聞いてくれんかった……」


俺は静かに頷き、言葉を返した。


「今は……ここにみんながいます。

愚痴、いつでも聞きますよ」


龍の瞳がわずかに柔らかくなった。


「……ふむ。

心が軽くなったわ。

明日も……聞かせてくれぬか?」


キツネビが狐耳をぴょこぴょこ動かして大喜び。


「はい! 私も毎日聞きます~! 龍様の愚痴、全部受け止めます!」


花音が俺の肩をポンと叩いた。


「ユウマ! 龍様、完全に懐いたよ! 私も毎日来て聞くから! これで毎日ルーティンだね!」


夕陽が沈む中、古代龍の1000年分の愚痴タイムは、穏やかに、でも賑やかに終わった。

辺境の空に、龍の低い満足げな息遣いと、狐耳少女の明るい笑い声と、花音の元気な反応が混じり合っていた。


リリが最後に嬉しそうに囁いた。


「これで毎日ルーティン確定や!

ユウマくん、これからもっと面白くなるで~!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ