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バレンタイン戦線〜ガムテープを添えて〜

作者: 妄想ちゃん
掲載日:2026/02/15

※閲覧注意⚠️

──私は、油断していたんだ。














奴の存在を、完全に失念していた。













これはあくる日の私の葛藤を描いた、完全ノンフィクションストーリーである。












※※



私は、部屋で一人小説を執筆していた。


出版業界に興味があった為、少しでも近しいものに触れておこうと思ったのだ。

そして、あわよくば誰かの目に止まってくれれば、と。


それにしても、集中力が低くて頂けない。

五百文字程書いたところで、私は少し休憩を取ることにした。


──その時だった。


私の視界は確かに捉えたのだ。

椅子の足元に──奴の姿を。



※※



どうして忘れていたのだろう。

いつかあの日が再来すると、分かっていた筈なのに……



※※



あの日、私の視界には一匹の蠢く物体が映っていた。

直ぐさま臨戦態勢を整えたが、 奴は黒い甲冑を身に纏った奴は、案の定暗闇へと息を潜めてしまった。しかし所詮は、人ならざる者。

滑稽にもカサカサと足音を立ててしまい、完全に気配を消すことができていない。

だが、それが私の恐怖を異次元の速さで加速させる。これが奴なりの闘い方だと言うのか……。



一人では無理だと悟った私は、直ぐに応援を呼びに行くことにした。奴が、あの隠れ蓑から動かないことを願いながら。


駆けつけてきた助っ人は、ホウキと塵取り、それから謎のスプレーを携えている。奴専用の物でないのが少しばかり気掛かりだったが、その時の私にはとても頼もしく感じられた。

『これで闘える』と意気込んだ私は──



助っ人の後ろで、傍観の構えをとる。



覚悟は決めた筈なのだ。しかし、やはり無理なものは無理であった。


そもそもの話、私はあのグループに属するもの全てが嫌いである。それなのに、よりにもよって奴と闘えなどというのは、余りにも酷すぎる話なのである。


故に……仕方が無かったのだ。


結局、スプレーの前に奴はひれ伏し、数多のゴミ達と運命を共にしたのであった。



※※



不意に、過去の記憶がフラッシュバックする。

脳が無意識のうちに危険を察知し、対処法を探っていたのかもしれない。

しかし、役立ちそうな情報は何も無かった。

それは何故か──

今回の奴は、暗闇に身を潜めることなく、部屋の中を堂々と移動していたからである。

これでは、例の装備を用意している暇が無い。


今、頼ることができるのは──

部屋の中に常備してある、一つのガムテープのみであった。


私は決意した。このガムテープ一つで、必ず奴を仕留めて見せると。

怖くて手も足も出なかったあの日の私へ。

リベンジ戦が、静かに幕を上げた。



※※



私は反復横跳びの発展の様な動きをし、目にも止まらぬ速さでガムテープを手に取る。

そして、奴の元へと静かに忍び寄った。


奴はその無駄に長い触覚を使い、地面の感触を確かめている。

今から私に退治されることになるとは微塵も考えていないんだろう、呑気なものだ。


そして──奇しくも今日は、バレンタインデーである。

世のリア充共が、恋人と二人だけの空間を楽しんでいるであろう中、私は奴と二人きり……

日頃の行いは反映されないことが証明された瞬間である。


不幸中の幸いだったのは、奴が未だ未熟な姿だったことだろうか……。

それに、カーペットで足元が悪いからだろう、心なしか足が遅い。そして、あの耳障りな足音も無しときた。

これなら、十二分に闘えるだろう。


万が一に備え、ガムテープを三枚ほど千切り、足に付ける。

頼んだぞ……マジで。


奴と同じ空間にいる手前、深呼吸はできなかったが、落ち着いて集中力を高めていく。

そして遂に、私は奴の身体を捉えることに成功した。



──のならば、どれだけ良かっただろう。

これは、完全に誤算だった。



ガムテープの粘着力が、足りていなかった……



※※



奴は、いとも容易くガムテープの下を潜り抜ける。

完全に失念していた。まさか、粘着力が足りていなかったとは……。

あれは普段、八本足のあいつを捕まえるに常備していたもの。奴を相手するには、少々荷が重かったようだ。

それならば、質より量である。私は、足に付けた二枚目のガムテープを手に取り、二刀流の構えをとった。



肝心の奴といえば……まずい、布団付近に接近中。

全身の細胞という細胞が叫びを上げる。


このままでは、奴が寝た後の布団で夜を明かさなければならなくなってしまう。

よりにもよって、バレンタインデーに。

これは、絶対に避けなければならない最悪の

シナリオだ。


私は、やるときはやる女。すかさず二枚のガムテを駆使し──触覚が触れる寸前で、方向転換させることに成功した。

奴はその場で姿を止める。



作者、人生最大のファインプレーである。



※※



静止した奴を、ガムテは決して逃がさなかった。

何とか逃げ出そうと藻掻く足が、何とも気持ち悪い。思い出しても鳥肌が立つレベルである。


こういうときは、封印しておくのが一番だと相場が決まっている。

左手に持った二枚目、更には足に付けた三枚目を召喚し、厳重に固めていく。



そうして奴は、やはり数多のゴミと運命を共にする定めにあったのだ。



※※



私は、心に強く誓った。

──必ず、この戦記を書ききってみせると。

そして……より強力なガムテープを、常備しておこうと。











※この話は作者の実体験を元に作られています。










私の処女作品、楽しんで頂けたなら幸いです!


この作品はカクヨムの方でも投稿してます。

今後はこの様な日常×コメディーや、ダークファンタジー

和風ファンタジーなど幅広く展開していく予定ですので、何卒よろしくお願い致しますm(_ _)m




初投稿この話で良かったんか?

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