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悪魔の落とし子  作者: ふたりぼっち
山籠りの老師に拾われた子、人里に現る
76/149

5-end

 






「中々の硬さだったが、所詮鉄は鉄だったな」


 いや、どうなのだろう?実際にはこれは鉄ではなく、もっと強度の高い何か別の代物だったのかもしれない。


 足元に転がる残骸を眺め、朝露で湿る森の中独り言を漏らす。


「全部…は無理だから一部だけ持って帰ろう」


 俺が受けた依頼は『魔物襲撃の原因を突き止め、それをどうにかする』という至ってシンプルで難題なものだった。

 故に原因だったこの魔導具と思わしき残骸を持って帰る必要はない。


「持っていかなくても持って行っても、結局小言を貰いそうだが…ま、いいか」


 持っていく場所はリーリャの元。

 俺が知る限り魔物を操る道具など存在しない。

 そして、博識であるリーリャからも聞いたことがない。


「導き出される答えは……悪魔絡み」


 そう。

 もし、この道具が悪魔絡みのものであれば、この近くに転がっていた身体の一部は悪魔のものである可能性が高い。

 何をしようとしていたのか定かではないが、碌なことではないのは確か。


 これを解明することにより、向こうの企みが分かれば未然に防ぐ手立てにもなる。

 そして、それを解明出来そうな人を俺は一人しか知らない。


















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「どうしたのかしら?そんなにソワソワして」


 いつものティータイム。普段であればその時間にアンジェリカはリビング(ここ)へ来ない。

 リーリャがルーティンを崩されることを嫌っていると知っているからだ。

 それでもアンジェリカが邪魔をしたのには理由がある。


「べ、別に…」


 そう言いつつもリーリャの手元へチラチラと視線を送る。

 その行動にリーリャは溜息混じりの声色で応えた。


「はあ…あんな朴念仁(面白味の無い人)のどこがいいのかしら?」

「な、なんのこと…?」

「残念ね。手紙にアンジーのことは書かれていなかったわ」


 優雅に紅茶を飲んでいるリーリャの手元にはティーカップと手紙があった。

 その手紙は蚕がガルグムントへ魔導具の残骸と共に託したもの。

 二人と一匹で向かうよりもガルグムント単体でここと要塞都市を往復する方が早いと、この方法を選択したのだ。


「そ、そう…」

「それよりも、強敵が出現しているわよ?」

「えっ!?」


 面白いことを思いついたとばかりに薄ら笑いを浮かべながら、気落ちしているアンジェリカへとリーリャは語り続けた。


「あの子、今は女奴隷と旅をしているようね」

「お、女…ん?奴隷?」

「そうよ。一般人だとただの仲間って線がまだ強いけど、奴隷よ?よっぽどあの子のタイプだったんじゃないかしら?」


 その言葉に俯き表情の分からないアンジェリカ。

 それをどうにか覗き込もうと頑張るリーリャ。


「あ…あ…」

「あ?」

「あのクソカイコぉぉぉっ!!」


 蚕は大きく勘違いされた。

 いや、蚕の言葉を借りるならば、無実だが有罪といったところか。


 今日もログハウスは賑やかだった。















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「ありがとうございました!カルディナ要塞都市を代表して御礼申し上げます」


 おつかいを頼んだガルが戻って来たので、俺達は要塞都市を旅立つことに。

 もう必要のない巨大な門は開かれたままになっており、現在はそこで見送りを受けているところだ。


 ルパート最高司令官の言葉の後、居並ぶ軍人と要塞都市に住む人達が声を揃えて礼を伝えてくれた。


 この街は最近まで危険地帯だった。

 一人では生きていけず、皆が皆協力し合ってこの窮地を乗り越えた。

 故に、心からの感謝が伝わる。


「義務だからな」


 その気持ちとは裏腹に俺が依頼を受けた切欠も覚悟も温度が低い。

 その温度差に気恥ずかしくなり、少しだけそっけない言葉での別れとなった。











「どうした?」


 ガルの背に揺られること暫し。

 何故か向かい合わせで前に座っているカレンが物言いたそうに見えた。


「…次の目的地は…と」


 前回はガル任せで俺は道中ずっと寝ていた。

 そして着いて早々にトラブルに巻き込まれ、カレンには怖い思いをさせた。

 いや、カレンが心配なのは自分の身ではなく、俺の身か。


「安心しろ。次はちゃんと調べておいた」

「い、いえ!奴隷の身でご主人様を疑うなど…」


 口は濁しているが、表情が物語っているぞ?

 俺が調べていると聞き、カレンの表情には安堵が浮かんでいた。


「次に行くところはどういったところなのでしょうか?」

「何もない」

「え?」

「何もない場所だ」


 え?

 遠くを眺めながら発した俺の言葉を、カレンは上手く飲み込めないのであった。
















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 【第一章】人物紹介&設定

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【登場人物】(登場順)

 蚕 早乙女(182/91黒髪ロング、口が悪い、Bランク冒険者、登場時15歳)

 拳信 早乙女(185/85白髪ロング、〜じゃのぅ口調、『拳王』、最高位三位、最期は七位)


 ギャリック伯爵領編


 ターナー(180/95ギルド職員、短髪で顔に傷がある、歴戦の元冒険者、50歳)

 ハミルトン(170/60ギルドマスター、白髪オールバック、70歳)

 ギャリック伯爵(175/65伯爵、金髪、40歳)

 キャサリン・ギャリック(165/55伯爵夫人、金髪、38歳)

 カミラ・ギャリック(140/35伯爵令嬢、金髪、14歳)

 アイラ(162/50受付嬢、茶髪、18歳)

 レイラ(160/49学生、アイラの妹、金髪、15歳)

 バロン(172/60伯爵家執事、白髪オールバック、60歳くらい)


 王都センティア編

(蚕Cランク15歳)


 ニーナ(160/48ヒーラー、金髪、ランクB冒険者、20歳)

 ユミフィ(165/55剣士、赤髪ポニーテール、ランクB冒険者、18歳)

 アマンダ(163/54魔法使い、紫ロング、ランクB冒険者、19歳)

 シュナイザー(178/65ギルドマスター、貴公子のような見た目、37歳)

 スバルフスキー・ド・ミシェットガルト(158/45第二王子、金髪、14歳)

 ユーフォルニア・ド・ミシェットガルト(175/63第一王子、金髪、17歳)

 ハーベストセンティア(158/44第一王女、第二王妃の娘、銀髪、14歳)

 アンナ(162/50第一王女専属侍女、伯爵家次女、茶髪、26歳)

 フレームベルク・フォン・ラテドニア(180/73第六皇子、金髪、22歳)


 アビス首長国連邦編

(蚕Bランク15歳)


 エイミル(168/58師団長、茶髪、猫耳族、28歳)

 アンジェリカ・シンドローム(156/41叡智の魔導師の孫娘、白髪ロング、魔族の末裔、登場時序列十二位程と思われる、15歳)

 マークセント(172/60ギルドマスター、白髪混じり、鹿のような角が特徴の鹿耳族、51歳)

 ラージャ・ユーナミファ(168/58元帥、男、白兎のような見た目、65歳)

 リンドーン(172/60首長、現最年少首長、男、狸耳、50歳)

 神獣ガルグムント(250/750神獣、白毛の巨大な九尾の狐、各首長国家で神獣扱いされていたので連邦設立の礎となった、1000歳以上不明)


 黄昏の国編(ヒュンゲル王国)

(蚕Bランク15歳)


 八代目ヒュンゲル(178/80国王、ウェーブ掛かった茶髪、人族、47歳)

 キューリィー(170/55宰相、撫でつけられた白髪混じりの髪型、60歳)

 エイギル(171/52序列七位、ウェーブ掛かった茶髪、落ち窪んだ瞳、31歳)

 村長(168/53カティーシャ村村長、中身は悪魔男爵ローカイド、50歳)


 ティアメーテル王国

(蚕Bランク16歳)


 ロン(170/57 ハーバー奴隷商店長、茶髪、25歳)

 カレン(155/39奴隷、茶髪ロング、16歳)

 ニューデル辺境伯(175/62辺境伯、58歳)

 ガイナ(176/70辺境伯家次男、転生者、18歳)

 ルパート・ド・ハッシュベル(180/75最高司令官、腰が低い、50歳)


【地理】

 洞窟〜魔の山脈〜ガルベット大陸〜

 初めての人の世〜ミシェットガルト王国〜

 初めての街〜ギャリック伯爵領〜

 二個目の街〜王都センティア〜

 敵国〜ラテドニア帝国〜

 二個目の国〜アビス首長国連邦〜

 初めての街〜フラクタル子爵領〜

 首都〜評議会議事堂、連邦軍本部〜

 三個目の国〜ヒュンゲル王国(黄昏の国)〜

 首都〜王城〜

 二個目の街〜レーシック侯爵領領都〜

 初めての村〜カティーシャ〜

 エルフの国〜リーリャの家〜(神域の森又は不可侵の森)

 五個目の国〜ティアメーテル王国〜

 一つ目の街〜ニューデル辺境伯領領都〜

 二つ目の街〜カルディナ要塞都市(副都)〜


【魔力】

 体内〜闘気〜保持している武器防具に纏うことも可能〜

 体外〜魔法〜詠唱の長さと込める魔力に強さが比例〜

 両方を使うことは困難で、天性の才能がなければ器用貧乏どころではない。


【魔法】(物語において主要なもの)

 3-2 炎獄岩インフェルノキャノン

 3-5 氷結地獄アビュソリュートゼロ

 4-6 煉獄炎弾・連と極

 同上 流星群

 4-8 踊れ、氷の演舞アイス・デスダンス

 同上 魔法対消滅マジックディケイ


【悪魔】

 男は黒髪で女は金髪。

 争うことや競うことに特化した人類。

 髪色の統一以外、見た目は天使達と変わらない。

 獣人もエルフもいるが、やはり髪色は黒と金のみ。


【天使】

 普通の人々。地球人と感覚はそう変わらない。

この話で第一章を終えます。

次は幕間を挟んで新章の始まりです。

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