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最終章(10) 卒業と束縛

私がこの世界に来て約二年が過ぎ、今日、私は学校を卒業することが出来ました。


学校の卒業は、同時に結婚する日が近づいているという証でした。


「波ちゃん!」

「湊様、ご卒業おめでとうございます」

「それは波ちゃんもね!良かった、卒業できて」

「おい、失礼な言い方になってんぞ」

「そうよ!私の親友は卒業出来て当たり前です〜。私がついてますから」

龍也様はこの一年、美保様と婚約されてからというもの、中宮家へと遊びに来る回数が減りました。美保様は龍也様といる時間も増えたそうですが、私との時間も増えました。また、この四人で会うことも多くなり、美保様が湊様へ遠慮なくお話出来るようになりしました。


「二人とも、今日は予定は?」

「ディナーと結婚式の打ち合わせ」

お二人の結婚式の準備は順調な様ですが、その分忙しいと美保様はよくおっしゃいます。

「湊達は?」

「僕たちは今日はデート」

そう、今日は湊様とデートなのです。

「デート多くね?」

「別にいいじゃん!美保様も龍也とデートしたいでしょ」

「私は家でゆっくりお話する方がいいです」

美保様達はいわゆるお家デート、というものがいいらしいのです。

「あ、そう。な、波ちゃんは、デート、嫌?」

「いいえ」

確かに特別なお出かけ、というには回数が多い気がしますが、私はこの世界を知るためにも外に出ておく必要があると思うのです。

「良かった〜」

正直に言えば、湊様と一緒なら、どこでもいいのです。

そんなこと、恥ずかしくて言えませんけど。


「今度会うのはワッフルの日か・・・。寂しい」

「そうですね。学校がなくなると月に一回しか会えませんものね・・・」

学校に行く必要が無くなって、私達はワッフルを食べる日しか会う約束が無くなるのです。


「波ちゃん、美保様なら、いつでも連絡していいよ?二人だけならいつ会っていいし」

「・・・・湊、こいつの行動、お前の許可がいるのか?」

「え?うん。そりゃそうじゃん。波ちゃんに変な奴が近づくと怖いし」

「湊様、束縛キツいんですね」

「え、束縛?」

「変な奴なんかつかないだろ。ちゃんと車で行くから運転手もいるだろ?」

「え、いやいや。男はいるじゃん」

「「・・・・」」

何に何を思ったのか、龍也様と美保様は二人見つめ合って黙ってしまいました。

「波様、しんどくなったらすぐにうちに来て下さいね!匿います」

「美保様、何言ってんの?」

「僕も協力する。湊の事でなんか困ったらすぐに誰かに相談しろ」

「龍也も!僕、悪いことしてないよね?!」

「束縛キツいと嫌われますよ」

その言葉を聞いて、湊様の顔色は悪くなりました。

その様子を見て、お二人は笑い出したのです。


私もその三人の様子がおかしくて、ついつい笑ってしまうのでした。

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