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最終章(4) デートの行き先と私の気持ち

学さんから許可を頂けて、美保様とワッフルを食べに行くことが出来た週の末、湊様のお誘いを受けてデートというものに出かけることになりました。


「波ちゃん、今日は僕の家に招待しようと思ってるんだ〜」

「え?」

今回は珍しく、どこに行きたい?とか何が食べたい?とか聞かれないな〜と思っていたのですが、まさかご自宅へ招待されるとは・・・

「ご、ごめん。急だったよね」

「いえ。驚きましたけど、大丈夫です」


最近、私の反応の悪さが原因で湊様に先に謝らせてしまうことがよくあることに気がついたのです。

「私こそ、婚約者という立場でありながら、今まで一度もご自宅へ出向くことが出来ず、申し訳ございません」

今思った事をそのまま伝えること。

それが大切で、けれどそれがとても難しいということを皆様から学びました。

「それを言うなら僕もだよ。勝手に婚約者にしてごめん。嫌だったら、素直にそう言ってほしいな」

「嫌、なはず無いです。あの時は、驚きましたけど、でも・・・」


これは、伝えても大丈夫でしょうか?

私なんかが、伝えても、神様はお怒りになられませんでしょうか?


「私がこの世界で出会ってきた人は少ないです」


美保様がお話してくれたのです。

沢山の人と出会って、沢山の人を知って、探すのだと。

自分が死ぬ時まで一緒にいたいと思える人を。

その人と死ぬ時まで一緒にいることが出来れば、それは幸せ以外の何物でもないのだと。

けれど、探すことがとても大変なのだと。

そして、婚約者になるということは、『二人は死ぬ時まで一緒にいる』と仮の約束をしてくれている、ということなのだと。


「それでも、私は湊様の婚約者がいいです」

「・・・・・」

「私の事をずっと気にかけてくださったのは宮家以外の方で湊様だけですから」


湊様は、始めて会った時から親しくしてくださった。

私が異世界の人間だと知っても近くにいてくださった。

私を引き止めてくださった。

大切な仮の約束をしてくださった。


湊様以外の方と婚約するなんて、私には考えられませんでした。


「波ちゃん!!!」


湊様はそう言うと、車の中という身動のとれない状態で、私の手を強く握ったのでした。

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