最終章(1) 美保様との再会
私は退院後、無事に中宮家へ帰ることが出来ました。
安在さんがとても心配してくださったようで、少しの間ご飯が私の好きなもので溢れていたこともありました。
退院後すぐに学校へも復帰することが出来ました。
学校へ復帰することで、嬉しいことが一つ。
それは美保様に会えることです。
大宮様から聞いたところによると、彼女は私と湊様に遠慮なさって病室に入れない日が続いたのだそうです。
「中宮様!」
「美保様!」
感動の再会、というやつなのでしょうか?ここは学校の廊下ですが、私達は、ハグをしています。
「お元気そうで何より。心配しましたのよ?」
「すみません」
「今は平気?無理してない?」
「ええ。大丈夫です」
「なら良かった。早く元気にならないと、月末になっちゃうわよ?」
「っ!それは困ります!」
「え?」
「私は美保様と食べるあのワッフルが世界一好きなのです」
「そうなの?」
「はい!」
あの日、大宮様に聞かれてから考えていました。
美味しい物が増えた、楽しいことが増えた、その理由を。
考えてすぐに気が付きました。
どれも一人で食べていないのです。
中宮家の人と、美保様と、湊様と。
ずっと誰かと一緒に食べていたのでした。
その中でもワッフルは美保様だけでした。美保様の好きなワッフル屋さんのワッフルが美味しいだけなのかもしれません。けれど、それでも、他の誰ともあのワッフルは食べたくないと思っていることに気がついたのでした。
「これからは必ず美保様のお隣を離れないとお約束します!なので、これからも・・・・」
この間美保様は迷惑をかけてしまって、山田家の皆様には謝罪をさせてしまった。そんな私がこんなお願いをすることは彼女を困らせてしまうかもしれない。そんな事を考えながらも伝えてみようと言ってみた私の言葉は、途中で途切れました。
「もちろんよ!私だって、あれから一人でワッフル屋に行けないのよ。中宮様がいないと美味しくないような気がして!」
そんな嬉しい美保様の言葉によって。
「月末までに回復してくださると嬉しいけれど、無理は駄目よ」
「は、はい!」
そう言った時、チャイムの音が鳴りました。
私達は、笑いながら急いで教室に入って行くのでした。




