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第六章(2) あの人に再会しました

美保様がワッフルを買われているのをいつも通り近くで見ていると、強い力で急に腕を引っ張られました。

そしてそのまま、人通りの少ない道に連れて行かれました。

「何楽しそうにしてんだよ」

何が起こったのかわからず身動きの取れない私の耳に届いた声はあの人のものでした。その人の服装は上下ともジャージで、もこもこの帽子をかぶって、サングラスをしていました。

「・・・・!」

「何見てんだぁ?」

「も、申し訳ございません」

「お前が制服なんか着てんのかぁ」

「も、申し訳ございません」

「この世界はお前みたいなのでも、キレイな服が着れるんだなぁ」

「・・・・」

身分不相応、そう言いたいのが分かりました。

「前よりも肥えたな」

「・・・・」

「美味しい飯はどうだった?お前に不相応な飯は、さぞ、不味かっただろ?」

「・・・・」

黙って、話していることを聞く。この人を怒らせないためにはそれしかない事を私は知っている。

「まあ良い。明日帰るぞ」

「・・・・!」

か、える?

「嫌かな?」

「・・・・」

嫌じゃない。嫌じゃない。ずっと望んでたことです。

だけど何故かすぐに返事ができませんでした。

「俺に逆らうのかな?」

「い、いえ。あ、ありがとうございます」

私は帰る。ずっとずっと、望んでいたこと。それが急で驚いただけ。

「・・・・まあいい。明日、この紙に書いてある場所に来い」

あの人は私に小さな紙を渡してきました。

「俺の服を着て、な」

「はい」

「まあ、こっちの飯を食えるのも最後だ。あの服が着れる程度に、食っとくといい(笑)」


あの人はそれだけ言うと、すぐに何処かへ行ってしまった。紙に書いてある場所は学校の近くのホテルの一室でした。ここなら、一人でも行くことができる。

やっと帰れる、あの人のところへ。

あの人のもとに帰れる。

あの人のところにいることが私の役目。

そう言い聞かせながら歩く私自身が怖くて、ワッフル屋さんの近くへと走って戻った。

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