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第五章(9) 意外な僕の一面 By 湊

波ちゃんが学校に復活してから3日目。

いつもと同じように波ちゃんと一緒に車に乗って、波ちゃんの可愛さを褒めようと思ったら、波ちゃんが僕の目をじっと見ていた。

「どうかした?」

「あ、いえ」

「何でもいいよ?言ってごらん」

そう言うと、少し言いにくそうにしてから、話し始めた。

「えっと、大変申し訳ないのですが・・・」

「うん?」

「帰り、は、一緒に帰ることができなくなり、そうです」

「どうして?波ちゃん 僕と一緒に帰るの嫌?」

僕は波ちゃんがどうしてそんな事を言うのか、わからなかった。

「そ、そういうわけではなくて・・・・」

「うん?」

「あの、お、お友達と一緒に帰ってみたいのです」

「お、お友達?」

波ちゃんからお友達という言葉が聞こえたことに驚いた。

「は、はい。ずっと、私の心配をしてくれていた方で、昨日、一緒に帰ろうと、お誘いを受けて・・・」

「なるほど」

昨日一緒に昼ごはんを食べていた人だろうか?

「今日、湊様に確認して、明日から、その方と帰れたらな、と思いまして・・・」

「うーん。明日から、ね」

「は、はい」

「昨日、一緒に昼ごはんを食べていた人?」

「はい、そうです」

彼女か。どこの令嬢か、きちんと見ておかないとな・・・。

「それなら、僕が今ここで判断することはできないから、今日の夜までに、中宮家に連絡するようにする。それでいい?」

「は、はい!」

そう言うと、波ちゃんはとても安心した顔をして、窓から外の景色を眺めた。


僕は昼休みに波ちゃんと一緒にお弁当を食べてる女の子を確認し、クラスの座席表で名前を確認して、家に帰ってから彼女のことを調べ始めた。


彼女の名前は山田美保。

一流企業『山本家』の第一子会社にして、親会社よりも業績好調で有名という、業界では珍しい企業『山田家』の娘だった。業界の資料から彼女の名前を引くと、しっかりした令嬢らしく、悪い噂はないようだった。


彼女なら波ちゃんのお友達も務まるだろう。

そう思って僕は、それらの資料や写真などの全てを中宮家当主の連絡先に送った。するとすぐに電話がかかってきたので、僕が事情を説明すると、波ちゃんから詳しい話を聞く、情報ありがとうございました、とのことだった。


そこまでして、はっと気づく。こんなこと龍也にもしてない。僕は、僕と波ちゃんの時間をこんなにも邪魔されたくないと思っているんだな、と自覚した。

僕は思ってなかった意外な自分を見つけてしまい、複雑な気持ちになった。

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