第五章(6) 学校
湊様と学校に来たはいいものの、廊下で湊様と別れた後、足が進まなかった。
やはり、私は帰るべき。ここにいてはいけない。
「中宮さん!」
そう思って、階段の方向へ足を進めた時、声をかけられた。
「中宮さん、大丈夫?体調悪い?」
声をかけてきた人は、いつも私に声をかけてくれていた、味方でいてくれていた人だった。
「あ、あなたは・・・・」
「同じクラスの山田美保です」
「山田様、私は大丈夫です。お気になさらず」
「保健室行こ!一緒に行ってあげるから!」
「いえ、本当に、大丈夫ですから・・・」
断り続ける私を、山田様は強引に保健室に連れて行ってしまった。
保健室の先生は、私の顔色を見るとすぐに横になることを許してくれた。彼女が一緒にいることも許したようで、彼女は私が横になっているベッドの横に椅子を持ってきた。
「私の事はいいから、山田様は戻られて?」
「え、嫌」
「どうしてです?」
学校に行かないといけないことは、学さん達の雰囲気から凄く分かっていた。だから、私の為に保健室にいるから授業を受けないなんて、許されないと思った。
「私、今のクラスメイト、嫌いなの」
「どうしてですか?」
「だって、あなたにひどいこと言ったもの」
「でも、それは事実ですわ。私は、ひどいことを言われる立場なのです」
「そんなことないわ!それが本当のことでも、それでも、人は家柄で測ってはいけないのよ」
「それは・・・・」
「私、ずっと心配だったの。貴方、ずっと来ないんだもの。私は貴方を待っていたのに・・・・」
「申し訳ございません」
「謝らないで。謝らないといけないのは、私。あの時、最後まで貴方の味方でいれなくて、ごめんなさい」
私は、何を謝りているのか、わからなかった。
そもそも、謝られたのことがあまりないから。
「私は、貴方と、お友達になりたいの」
お友達・・・
「だめ、ですか?」
「私なんかで良ければ、何卒宜しくお願い致します」
私にお友達ができたこと、それが、今日の良いことでした。




