表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/89

第三章(13) 清掃員の話 By 龍也

次の日の放課後、僕と湊がおじさん家に行くと、応接室に通された。

今日一日、湊からは何も話されていない。学校も何もなかったのように終わった。


「おまたせしてすみません」

そう言って部屋に入ってきたのはおじさんとおばさん、そして知らない人だけだった。

「波ちゃんは?」

「はい。あの娘は今もまだ現状を理解できておりませんゆえ、今日は不参加とさせていただきたく・・・」

「えー。じゃあ、話し合い終わったら二人でお見舞いに行ってもいい?もちろん、お二人の同席の上で」

「わかりました」

勝手にお見舞いに行くことになっているが、もう、しょうがない。


「ありがとう。じゃあ話してもらえる?昨日と同じ話」

「はい」

湊が知らない人にそういうと、彼女は話しだした。


彼女は1年前に勤め始めた、学校の清掃員だった。

しかし、昨日学校に来て、朝一番の掃除をしていたとき、一人の生徒が声をかけてきたらしい。

「私、自分と皆さんの立場の違いが多すぎて、学校のことを詳しく知ろうとしていなかったんです。だから、はじめは声を掛けられて驚きました。そしたらご令嬢様は自ら名乗りなさって、私はこの人とお話できていることを夢のように思いました」

しかし、彼女はその女の提案を聞いて、それはまずいのではないかと思ったそうだ。

「ご令嬢様がおっしゃった内容は今、世間でイジメと疑われるものだとすぐにわかったので、断ろうとしたんです。だけど、脅されて、私は引き受けざる負えませんでした」

彼女は昼休み前に、トイレを清掃中のため立ち入り禁止の看板にして、あいつが来る時間だと言われた時間だけ、その看板を外したそうだ。

「私、ここの令嬢様が中に入られて、その後でご令嬢様達が入られて、また、看板をかけました」

その後のことは何が行われているのかは分からなかったそうだ。

「でも、言われた通り、皆様が出て行かれた後、掃除に入ったんです。そしたら・・・」

床は水浸しで、昼食だろうものが落ちていたという。

「私、信じられなくて、怖くなりました。私の知っていたイジメを超えていたからです。すぐに片付けて私はその場を離れました。体調不良を訴えて隠れていました」

無事に授業時間が終わり、やっと清掃員の待機部屋で今日のことを後悔していた時、湊が来て、正直に話したそうだ。

「・・・話してくれて感謝する」

「いえ、感謝などされる覚えはありません。それに私が断れていれば・・・」

「あの、質問、いいですか?」

「はい。大丈夫です」

「誰なんですか」

「・・・・・・」

「湊は聞いてんだろ?教えろ」

「それが教えてくれないんだよ。僕も昨日教えてって言ったのに」

「すみません」

「お前、言わないと今回の件を学校に報告して、クビにしてもらうぞ」

「龍也君?!」

「それは困ります!」

「お前がやってるのはイジメへの加担だ。お前が逆らえない状況だったとしても、それは変わらない。主犯でなくても犯罪者が逮捕されるのと同じだ」

僕がそういうと、彼女は少し悩んでから、

「わかりました。お話します」

「そうか。で、誰だ」

「それはーーーーーー様です」


僕と湊は声を発することが出来なかった。


清掃員は今日もおじさん家に泊まることになった。

僕は常に僕の家に雇われている探偵に至急情報提供を頼んだ。

そして、明日、またここで話すことになった。


僕達は話された人物に驚きすぎて、あいつのお見舞いどころではなくなり、今日は帰ることにしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ