第三章(9) 龍也からのお願い By 湊
僕が家に帰って勉強をしていると、机の電話がなった。
「はい」
『湊様、龍也様よりお電話でございます。どうなさいますか?』
「出る」
『分かりました。2番におつなぎいたします』
「ありがとう」
お礼を言ってから電話りを切って、2番のボタンを押し、
「もしもし」と声をかけると、いつもとは違った龍也の声が聞こえた。
『湊か?』
「僕だけど?」
『今、学校に電話できるか?』
「学校?なんで?」
話が見えてこないし、いつもと違う龍也のテンションについていけない・・・
『学校で行方不明なんだよ!』
「誰が?」
『中宮家の令嬢』
え?波ちゃん?が、行方不明・・・?
「何それ、どういうこと?!やばいよ!」
『だから、電話をかけてんだ!』
「今、探してんの?」
『今から探す。学校の防犯カメラに映ってないんだよ、あいつ』
「え?外にいるってこと?」
『そうしか考えられない』
「学校はどう対応してるの?」
学校だって、行方不明なんて、対応してるに違いない。
そう思ったのに。
『一応宮家だけど、令嬢とはいえ養子だし、それも子会社のだからあんまり動いてない』
「そんなの、酷くない?」
差別があるのは知ってる。だけど、命が関わってても、差別で協力してくれないなんて、ひどすぎる。
『そこで湊にお願いしたい』
「何でも言って!僕は何をしたらいいの? 」
『まず清掃員を集めろ』
「清掃員?なんで?」
急に出てきた清掃員という言葉にまた話が見えてこなくなる。
『トイレに行ったのが最後に目撃されてるからだ』
「あ、そうだったね。何を聞いたらいいの?」
『そこで変なものが見つかってなかったか、とか、そういうの、いろいろ聞いてくれ』
「分かった。それだけで大丈夫?」
『あとは、そうだな。なんか見つかった時に、誰が最後にそこに入ってたか、とかだな。何より、何も知らないって、清掃員全員言ってるみたいだからな。誰に指示されたのか、まで聞いてくれると助かる』
「了解。今からすぐ学校行く」
『ありがとう』
「その代わり、必ず波ちゃん見つけてね」
『分かった。じゃ』
そこで電話が切れた。
僕は急いで制服に着替え直して、運転手に声をかけて、学校まで急いでもらった。
学校に着くと 清掃員の待機部屋まで行き、そこで声をかける。
「あのー、すいません。ちょっとお話いいですか?」
「岸様!いかがなざいましたでしょうか?」
「あのここ、今、全員います?」
「はい。全員います」
「じゃあ、質問なんですけど、今日の女子トイレの清掃担当って誰ですか?」
「私です!」
名乗り出ないのかと思ったから、驚いたけど、やることが減って助かった。名乗り出た女は震えていた。
「何があったのか、話せる?」
僕がそういうと、女は少しづつだが話しだした。




